9.ライセンス契約のポイント [各種契約行為のポイント]
2006年12月26日
今回は、ライセンス契約の中の (8)契約期間条項 について述べます。
ライセンス契約の契約期間は、ロイヤルティーの支払い期間と一致しますから、非常に重要な規定の一つです。
「特許」のみのライセンス契約の場合は、契約期間は「対象特許そのものが消滅するまで」とします。
もし、特許の有効期間よりも、契約期間が短い場合、契約満了後も当該特許を使用した製品の販売を続けると“特許侵害”になります。
この場合、再度、ライセンス契約を結ぶ必要性が出て来ます。
このような、ライセンサーとライセンシーの双方に無駄な労力を強いることになりますので、特許の有効期間とライセンス契約の期間は一致させておくことをお薦めします。
逆に、特許が満了した後も、ライセンサーがロイヤルティーの支払い義務を課すことは“独占禁止法違反”となる可能性が高くなります。
「ノウハウ・ライセンス契約」の場合、
必ず“10年”とか“15年”という明確な契約の有効期間を記載します。私が今まで携わった契約では、基本的には10年間の期間を設定しました。
10年後に、ライセンシーからライセンス契約の延長を要請された場合、新規に契約を締結することにしています。この時、ロイヤルティも見直すことになります。
又、ライセンシーの立場から言っても、契約の期限の無いライセンス契約を結ぶのは、非常に高いリスクを持つことになります。そのノウハウを使用する限り、永久にロイヤルティーを支払わねばならなくなります。
アメリカでは、「永久にロイヤルティーを支払うという契約も合法である」という、有名な判例が過去に出されました。
契約の契約期間を10年間とする場合、ライセンシーの立場とライセンサーの立場で各々の見方について述べます。
ライセンシーの立場では、「10年経過した後は、ライセンスは支払い済み、して、その後は、ロイヤルティーを払わずに、自由にそのノウハウを使用できる」とする条項を入れる必要があります。
最悪の場合、10年経ったら、ライセンサーは、新規契約を拒否しますと、当該ノウハウを使用出来なくなるリスクがあります。
ライセンサーの立場からは、特許とノウハウの両方をライセンスする契約の場合、「最後の特許が消滅する時か、契約日から10年経過した時のいずれか遅い方」と、その有効期間を二者択一とする事が望ましいです。
特許が成立しなかったり、特許が早期に無効になってしまった場合でも、最低限10年間分のロイヤルティーを確保出来ます。
勿論、上記契約期間の設定内容は、ライセンサーとライセンシーの力関係で双方とって望ましい条件でなくても、妥協せざるを得ない事も多々あります。
しかし、通常ライセンス契約は、10年以上の長期にわたる契約になりますので、契約期間の扱いは、ライセンサー・ライセンシーの双方とも知恵を最大限出して、自社の経営に影響が出ないように、慎重に設定する事が肝要です。
次回は、(9)終了(契約解除)条項 について述べます。
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