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アライアンスが決まる要因は? ブログトップ

日経記事;『京都発EV、商用で再起 スタートアップが中国と分業』に関する考察 [アライアンスが決まる要因は?]

                                                      2022年9月2日


皆様、

こんにちは。

グローバルビジネスマッチングアドバイザー 山本 雅暁です。

 

92日付の日経新聞に、『京都発EV、商用で再起 スタートアップが中国と分業』のタイトルで記事が掲載されました。

 

本日は、この記事に関して考えを述べます。

本記事の冒頭部分は、以下の通りです。

『電気自動車(EV)スタートアップのフォロフライ(京都市)が商用EVを相次いで日本で販売する。2021年に発売したバンタイプは運送大手に納入するほか、226月にはトラックを開発し提供を始めた。小間裕康代表は前に起業した会社でスポーツタイプのEVを開発した経験を持つ。スポーツカーは量産まで至らなかったが、その経験が商用車に生かされている。再起への軌跡を追った。。。』

 

本日も、EVに関するブログ・コラムを書きます。

 

私は、自動運転機能付EVの開発・実用化は、既存自動車メーカーが1社単独で実施することは難しく、特に自動運転機能の実装は、ソフトウェアの開発、AIIoT対応などが必要であるため、と述べてきました。

 

一般的に、既存自動車メーカーが自動運転機能の実装を行う場合、ITなどの他企業とのオープンイノベーション;事業連携(アライアンス)を組む必要があります。

 

本日の記事にあります、フォロフライ;folofly(株)は、EV本体を他企業とのオープンイノベーション;事業連携(アライアンス)を組んで実現しています。

https://folofly.com/ 

 

フォロフライは、現在、バンとトラックのEVを商品化しています。今後、当社は、毎年1商品を新規に市場導入する計画をもっています。

 

バンとトラックは、近隣の配達用EVに特化して商品化されています。当社のWebサイトをみますと、以下の商品スペックが説明されています。

・積載量:普通免許運転可能車種※で最大積載量 950Kg

・航続距離:航続可能距離300Km、物流に必要なラストワンマイルを可能に

・バッテリー保証:5年間あるいは12万㎞までの製品保証つき

Seating Capacity 乗車定員 2

Max. Mileage 航続可能距離(km) 300km

Charge Time 充電時間 DC (Fast Charge) : 1.5hs / AC (Slow Charge) : 6.513hs、など

 

また、EVの販売価格は、ガソリンエンジン車と同程度に抑えていると書かれています。

 

当社は、近隣の配達に使用できるよう手ごろな価格でのEVを開発・実用化するため、オープンイノベーション;事業連携(アライアンス)を活用して、徹底的な水平分業方式を採用しています。

 

当社は、EVの開発、企画、設計に特化する。EVの車体は、中国メーカーから入手する。車体は、ガソリンエンジン車で実績のあるものを使用する。

 

本体に実装するソフトウェアや車体への電池実装などの自動車製造は、EVの中国メーカーに委託する。

 

国内市場でのEVの販売および保守点検は、丸紅オートモーティブに委託する。

 

フォロフライのビジネスモデルは、完全な水平分業方式で成り立っています。外部委託先と「Win/Win」の関係が維持できる限り、このビジネスモデルは有効です。

 

国内市場では、近隣の商用目的のEVがほとんど実用化されておりません。フォロフライは、その潜在需要に着目して、低価格なEVの開発・実用化を成功させました。

 

最近、中国のEVメーカーが、国内のバス市場などに参入しつつあります。国内市場は、現時点ではHVPHVの使用台数が、EVをしのいでいます。

 

しかも、今後、電池性能の向上や、EVの省電力化などの技術革新が進みますと、ガソリンを使わないEVの潜在需要が高まる可能性があります。

 

水平分業方式でEVの開発・実用化を行う企業の強みは、工場をもたないファブレスにあります。

 

ファブレスの強みは、工場や製造設備をもたないため固定費を低く抑えることにあります。

 

一方、水平分業方式を可能にするオープンイノベーション;事業連携(アライアンス)が成立する前提は、当事者間で「Win/Win」の関係が維持できることです。

 

Win/Win」の関係が維持できないと、オープンイノベーション;事業連携(アライアンス)は崩壊します。

 

フォロフライの力の源泉、つまり強みは、EV商品の開発、企画、設計から生み出されます。

 

米アップルのiPhoneは、当社の商品企画力、デザイン、開発、設計の結集により、魅力的なスマートフォンが生み出されました。

 

iPhoneの商品力が、アップルの水平分業方式でのビジネスモデルを成功させたと考えています。

 

もし、フォロフライの商品化開発力が落ちると、水平分業方式を可能とする「Win/Win」の関係が維持できなくなる可能性があります。

 

ベンチャーや中小企業が、オープンイノベーション;事業連携(アライアンス)を活用して新規事業の立上や既存事業の拡大を行うとき、自社の強みを明確にもっていないと、基本的に「Win/Win」の関係構築や維持ができません。

 

オープンイノベーション;事業連携(アライアンス)をきちんと、確実に行うためには、参加企業の役割分担が明確化されており、お互いにメリットが生まれる状況にあることが必要不可欠になります。

 

オープンイノベーション;事業連携(アライアンス)を活用するビジネスモデルを考えているベンチャーや中小企業は、フォロフライの今後の事業展開に注目して、参考にすることをお勧めします。

 

私も、当社の今後の事業展開に注目していきます。

 

よろしくお願いいたします。

 

グローバルビジネスマッチングアドバイザー GBM&A 山本 雅暁


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日経記事;『トヨタ、米EV攻略迅速に自前の車載電池工場 米政権支援策、HV除外に危機感』に関する考察 [アライアンスが決まる要因は?]

                                        2021年11月2日


皆様、

こんにちは。

グローバルビジネスマッチングアドバイザー 山本 雅暁です。

 

1020日付の日経新聞に、『トヨタ、米EV攻略迅速に自前の車載電池工場 米政権支援策、HV除外に危機感』のタイトルで記事が掲載されました。

 

本日は、この記事に関して考えを述べます。

本記事の冒頭部分は、以下の通りです。

『トヨタ自動車が初の自前の車載電池工場の建設に踏み切る。場所はお膝元の日本ではなく、営業利益の約3割を稼ぐ米国だ。米バイデン政権は矢継ぎ早に主に電気自動車(EV)の電動車支援策を打ち出すものの、トヨタが得意とするハイブリッド車(HV)は対象外。世界の自動車メーカーがこぞって米国でEV投資を加速する中、乗り遅れかねない。自前戦略はEV市場での反転攻勢のカギを握る。。。』

 

トヨタは、次世代環境対応車として、水素燃料電池車とEVを想定しています。次世代環境対応車が本格普及するまでは、HVで対応しようとしています。

 

しかし、米国および欧州では、次世代環境対応車として、EVの本格普及を目指す動きになっています。これらの市場では、自動運転機能付EVの開発・実用化で主導権を取ろうとしていることによります。

 

トヨタが得意とするHVは、欧州市場では将来カーボンゼロを目指す視点から、環境対応車とは認められなくなります。欧州では、EVと水素燃料電池車が環境対応車となります。

 

水素燃料電池車の普及は、当該自動車の高額な開発費用と、水素燃料ステーションの普及が妨げになり、当分の間実用化される目途がたっていません。

 

必然的に、トヨタはEVの開発・実用化を迅速化させる必要があります。EVのコア部品は、言うまでもなく車載用電池です。

 

現在、トヨタはHV用の電池をパナソニックからの供給に頼っています。トヨタは、パナソニックとの連携・協業(アライアンス)により、HVに適した電池の提供を受けていると考えます。

 

今まで本ブログ・コラムでは、トヨタが自動運転機能付EVや水素燃料電池車の開発・実用化を行うには、他者との連携・協業(アライアンス)の活用が必要不可欠になっていると書いてきました。

 

この連携・協業(アライアンス)の組み方は、自社の経営状況、経営資源、事業環境などにより変化します。

 

他社との連携・協業(アライアンス)は、自社の強みを最大化しつつ、他社との「Win/Win」の関係を築くことにより、自社の事業収益を最大化することにあります。

 

米国大手IT企業では、自社の強みの出し方が変化しています。アップルは、2020年に自社が開発・実用化したSoCSystem on a chip(システム・オン・チップ) Apple M1チップを搭載したMacPCを市場に導入しました。このSoCは、プロセッサコアやマイコンなどを搭載した、MacOSやアプリケーションソフトを最適に動かすために開発・実用化されました。

 

最近、アップルは、さらに強力なSocであるM1 ProまたはM1 Maxチップを搭載したMacPCを市場に導入し、話題になっています。

 

グーグルは、新型スマートフォン「ピクセル6」と「ピクセル6プロ」を1020日に発表しました。ピクセル6とピクセル6プロは、グーグルが開発・実用化した自社設計のシステム・オン・チップ(SoC)「テンソル」を搭載しています。テンソルは画像処理やAIにおけるグーグルの強みを生かすよう最適化され、迅速かつ正確な音声認識を実現し、バッテリー寿命を改善するとされています。

 

日本のIT企業では、有力なAIベンチャーであるPFNPreferred Networks)は、Socとは異なりますが、自社のAIソフトウエアの能力を最大化・最適化するための計算基盤を、神戸大学などとの連携・協業(アライアンス)により実用化してています。

 

このように、米国や日本の有力なIT企業が、自前でSocや計算基盤を実用化するのは、自社の得意とするソフトウエアや商品化技術を最大化・最適化することにあります。

 

これらのIT企業にとって、Socや計算基盤の実用化は、垂直統合のやり方になります。アップルやグーグルは、自社のSoCを実用化するまでは、インテルなどのチップメーカーと、連携・協業(アライアンス)を組んでいましたが、自社の強みを最大化・最適化するために、コア技術を垂直統合方式で実用化するしました。

 

トヨタが、EV用の電池を垂直統合方式により自前で開発・実用化するのは、アップル、グーグル、PFNと同じ目的をもつことによります。

 

今まで何度か本ブログ・コラムで書きましたように、他社との連携・協業(アライアンス)は、自社の強みを最大化しつつ、「Win/Win」の関係が構築・維持できるまで行うことが、基本の基本です。

 

他社との連携・協業(アライアンス)は、自社にとってのメリットが薄れたり、事業環境が急変した場合、迅速に見直して、新たな枠組みを構築することが、必要であり重要なことです。

 

ベンチャーや中小企業が、新規事業を立ち上げたりするときに、他社との連携・協業(アライアンス)は有効な手段の一つになります。

 

この視点から、トヨタ、アップル、グーグル、PFNなどの連携・協業(アライアンス)の組み方は、有効な参考情報になります。

 

よろしくお願いいたします。

 

グローバルビジネスマッチングアドバイザー GBM&A 山本 雅暁


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日経記事;『ソニー成長へ、クラウド補完 米マイクロソフトと提携 サブスクを収益の柱に』に関する考察 [アライアンスが決まる要因は?]

                                               2019年5月23日


皆様、
こんにちは。
グローバルビジネスマッチングアドバイザー 山本 雅暁です。


5月18日付の日経新聞に、『ソニー成長へ、クラウド補完 米マイクロソフトと提携 サブスクを収益の柱に』のタイトルで記事が掲載されました。


本日は、この記事に関して考えを述べます。


本記事の冒頭部分は、以下の通りです。
『ソニーが米マイクロソフトと提携し、クラウドによる成長戦略にかじを切る。同社が提供するクラウドサービス「アジュール」を使い、ゲームなどのコンテンツや半導体の競争力を高める。マイクロソフトとの提携で手薄だったクラウドを補完し、収益源であるゲームなどのサブスクリプション(継続課金)を伸ばす狙いがあるとみられる。。。』


私は、本ブログ・コラムで何度か書いていますように、国内大手企業の典型的なオープンイノベーション;水平分業方式のやり方の事例として、トヨタ自動車の動きについて注目してきました。


今回の記事にあります、ソニーとマイクロソフトの事業連携(アライアンス)の動きについても、今後注目して行きます。


トヨタのオープンイノベーション、別な言い方では事業連携(アライアンス)を積極的に行っていますのは、米大手IT企業のグーグルなどが仕掛けています、自動運転付EVの開発・実用化に対抗するためです。


レベル3とレベル4の自動運転の開発・実用化が実現しますと、人と自動車の関わり方が大きく変化します。


レベル3とレベル4の自動運転車を利用する人は、車の運転に関心をもつ必要はなく、特に、レベル4の完全自動運転車が開発・実用化されますと、人は全く運転を行う必要がありません。


グーグルは、決して自動車メーカーになる事業意図はなく、自動運転車を動くインターネットの電子端末機器としてとらえています。


グーグルは、インターネットの検索エンジンで最強のプラットフォーマーになっており、自動運転車をインターネットの出口端末化することで、更なる広告宣伝収入を拡大することが事業目的です。


グーグルが、自動運転車の事業でプラットフォーマーになると、トヨタなどの既存自動車メーカーは、単なるハードウェアとしての自動車を提供する下請け企業になります。


しかも、EVのハードウェアは、ガソリンエンジン車に比べて、より容易に開発・実用化できますので、一般的にEVのハードウェアからの事業収益は、低下する可能性があります。


トヨタのオープンイノベーションは、この近々に起こるグーグルによる自動車事業基盤のゲームチェンジの動きに対応しようとしています。


一方、このグーグルは、3月に2019年内にゲーム市場に参入することを表明しました。グーグルは、クラウド経由でゲームを配信し、他のネットサービスと組み合わせることで、ソニーやマイクロソフトが手掛ける据え置き型のゲーム専用機によるビジネスモデルとは異なるやり方でゲームビジネスに参入します。


グーグルは、個人がゲームを自社のクラウド(データセンター)から、ストリーミング配信サービスを受けることで、ゲーム専用機やダウンロードも不要になるとしています。


ストリーミングは、コトバンクで、「インターネット上で動画や音声などのコンテンツをダウンロードしながら逐次再生すること。」と説明されています。
https://kotobank.jp/word/%E3%82%B9%E3%83%88%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%83%9F%E3%83%B3%E3%82%B0-4964


つまり、グーグルが仕掛ける自社クラウドによるゲーム配信サービスは、ソニーやマイクロソフトのゲームビジネスの、ゲームチェンジになります。


グーグルは、自動車およびゲームの両事業分野で、自社のインターネットプラット事業基盤を強化・拡大するために、ゲームチェンジを仕掛けています。


恐らく、アップルやアマゾンなどの他の大手IT企業も、グーグルの動きに追随すると見ています。


ゲームの端末機器は、専用機がメインではなくなり、現在普及しているスマートフォン、タブレット端末、インターネット接続されたテレビなどになります。


第5世代移動通信システム「5G」が2020年から実用化されます。一般的に5Gは、10Gbpsを超えるようなコンテンツを、ストレス無しに、「超高速」「大容量」「低遅延」「多接続」「高信頼」などを実現します。


このことは、ますますストリーミングサービスの利用拡大が増えることになります。


ソニーとマイクロソフトの事業連携(アライアンス)の内容は、今後順次発表されていきます。


現時点では、ソニーとマイクロソフトは、既存のゲーム専用機ゲーム事業に加えてクラウドゲーム事業を強化しつつあります。


ソニーが、今後、既存のプレステによるゲーム事業のビジネスモデルを、マイクロソフトとの事業連携(アライアンス)でどのように実現していくのか、グーグルやマイクロソフトの動きも含めて注目していきます。


オープンイノベーション;事業連携(アライアンス)の実施は、参画企業がお互いの強みを発揮しあって、「Win/Win」の関係を維持強化することで成立します。


しかも、参画企業は、グーグルに対抗するためには、迅速に動く必要があります。


トヨタとソニーという日本を代表する大手IT企業が、グーグル対抗のためのオープンイノベーション;事業連携(アライアンス)を如何に巧みに行って、その成果・果実をもぎ取るか、今後も注目していきます。


これは、両社のオープンイノベーション;事業連携(アライアンス)のやり方が、国内ベンチャー・中小企業の良き参考事例になることによります。


よろしくお願いいたします。


グローバルビジネスマッチングアドバイザー GBM&A 山本 雅暁






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