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日経記事;『日立、米ITグローバルロジックを買収 1兆円規模』に関する考察 [アライアンスとM&A]

                                                        2021年4月5日


皆様、

こんにちは。グローバルビジネスマッチングアドバイザー 山本 雅暁です。

 

331日付の日経新聞に、『日立、米ITグローバルロジックを買収 1兆円規模』のタイトルで記事が掲載されました。

本日は、この記事に関して考えを述べます。

 

本記事の冒頭部分は、以下の通りです。

『日立製作所は米IT(情報技術)企業のグローバルロジックを買収する。買収額は総額で96億ドル(約1500億円)で、電機業界では過去最大級となる。ITを軸とした成長戦略を掲げ、相乗効果の低いグループ企業の売却を進めてきた。モノの売り切りに依存してきた製造業ではソフトやサービスに軸足を移す動きが広がっている。。。』

 

日立製作所は、2回目の大きな集中と選択作業を行っています。今回の集中と選択は、モノからソフトウェアへの業態変更の加速化と、海外販路の確立を目標としています。

 

日立は、既存の製造事業者からの転換を行っています。例えば、日立の有力子会社であった日立金属、日立化成、日立電線などを素手売却済、もしくは売却予定としています。この一連の動きから、日立が、モノからソフトウェアへの変更を加速化させていることは確実です。

 

今回、日立が買収するグローバルロジックは、2000年に創立され、米国シリコンバレーに拠点をもつIT企業です。この企業は、デジタルトランスフォーメーション(DX)を支援するシステムを開発・実用化して、米欧の大手企業に採用されています。

 

日立は、グローバルロジックを買収することで、自社の次世代主力事業であるIoT対応のプラットフォームであるLumadaの強化と、海外販路の拡大・強化を狙っています。日立は、Lumadaを「顧客企業との協業・連携(アライアンス)によりIoT対応を軸としたプラットフォームであり、このプラットフォームを活用したサービス・商品の提供である」としているとの印象をもっています。詳しくは、日立の下記Webサイトをご覧ください。

https://www.hitachi.co.jp/products/it/lumada/about/index.html 

 

日立がこの大型買収を成功させるかどうかは、まさに協業・連携(アライアンス)を上手くいかせるかどうかにかかっています。日立が今回行う協業・連携(アライアンス)には。二つの意味が含まれます。

 

一つは、今回買収するグローバルロジックとの協業・連携(アライアンス)です。日立がグローバルロジックとの組織融合に成功して、日立とグローバルロジックとお互いに「Win/Win」となる関係が築けるかが重要になります。グローバルロジックは、基本的にIT企業ですので、ここで働くソフトウエアエンジニアが企業の価値になります。グローバルロジックから、日立の買収後にエンジニアが大量に離職すれば、この企業の資産価値は大きく下がります。

 

もう一つは、顧客企業との協業・連携(アライアンス)です。Lumadaは、顧客企業とのアライアンスなくして成功しません。日立は、今まで国内事業の収益が大きな柱になっていました。日立は、グローバルロジックの買収を機に、海外企業との協業・連携(アライアンス)を積極的に行おうとしています。日立がこの海外企業との協業・連携(アライアンス)に失敗すれば、グローバルロジックの買収効果は限定的になります。

 

一方、最近中小企業のM&Aが再び活性化しつつあります。これは、一つの要因として中小企業の後継者不足や事業承継の観点から、M&Aが増えています。また、もう一つの要因は、今回の日立と同じように自社事業基盤の強化や再構築を目指して行うことが原動力となっています。

 

私の経営支援メニューの中に、協業・連携(アライアンス)とM&Aがありますので、中小企業からの要請により当該案件数が増えています。

 

私は、中小企業のM&Aについては、実行する前に自社の経営状況(事業収益、キャッシュフロー、金融機関から借金、人的資源など)を客観的に検討・確認して、今行うべきかどうか判断することを勧めています。

 

M&Aで買われる企業は、事業収益が低く、金融機関からの借金が相対的に大きいと、売却価格を安く買いたたかれます。中小企業には、M&Aの実施には、少なくとも34年の準備期間を置いて、検討・確認・実施することを勧めています。

 

また、M&Aで他企業を買収する企業も同じです。M&Aで最も重要であり、必要なことは買収した企業との組織融合です。一般的に、M&Aを行った企業が、相手先との組織融合に失敗すると、買収した企業の社員が辞める、モチベーションが低下して、事業収益が悪化するなどのネガティブ要因が多くなります。

 

特に、今まで他社との協業・連携(アライアンス)を一度も行っていない企業については、M&Aによる他社買収行為を止めさせて、先ずは他社との協業を最優先で行うようにしてもらいます。

 

私の経験則では、他社との協業・連携(アライアンス)ができない、あるいは経験がない中小企業が、M&Aによる他社買収をうまく行えません。ほとんどのケースでは、失敗しています。その大きな原因は、買収後の組織融合です。

 

国内企業の中で、M&Aを数多く行っている会社の一つが日本電産です。日本電産によると、M&A成功の要因は以下の通りです。

・適正な価格で買収する。

・買収後の企業経営に注力する。

・相乗効果のある案件を選ぶ。

 

上記三つの要因は、まさにM&A成功の主力要因です。「買収後の企業経営に注力する。」は、私が上記で言っています組織融合になります。組織融合を成功させるには、自社のやり方を押し付けず、相手企業の経営のやり方を認めることにあります。私は、このことを経営の自治権と言っています。もちろん相手企業の経営全般は、買収企業が責任をもちます。

 

「相乗効果のある案件を選ぶ。」は、他社との協業・連携(アライアンス)成功の基盤となる「Win/Win」の関係が構築できることです。したがって、上記しましたように、M&Aを行う企業は、事前に他社との協業・連携(アライアンス)の経験をもっておき、「Win/Win」の関係構築を成功させておくことが、重要であり必要になります。この「Win/Win」の関係構築ができそうな相手先を事前に探して、検討・確認することが、他社との協業・連携(アライアンス)を成功させる要因の一つです。

 

このように、中小企業がM&Aをを活用して、自社収益の拡大を実現するには、その前に他社との協業・連携(アライアンス)を経験しておくことが重要であり、必要になります。

 

よろしくお願いいたします。

 

グローバルビジネスマッチングアドバイザー代表 GBM&A 山本 雅暁

 


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日経記事;『パナソニック、米ソフト大手買収 7000億円で最終協議』に関する考察 [アライアンスとM&A]

                                                 2021年3月10日


皆様、

こんにちは。グローバルビジネスマッチングアドバイザー 山本 雅暁です。

 

38日付の日経新聞に、『パナソニック、米ソフト大手買収 7000億円で最終協議』のタイトルで記事が掲載されました。

 

本日は、この記事に関して考えを述べます。

本記事の冒頭部分は、以下の通りです。

『パナソニックは、ブルーヨンダーの買収により工場や倉庫の業務を効率化する事業を強化するパナソニックは、ブルーヨンダーの買収により工場や倉庫の業務を効率化する事業を強化する。パナソニックはサプライチェーン(供給網)の効率化を手がける米ソフトウエア大手、ブルーヨンダーを買収する方針を固めた。。。』

 

パナソニックは、以前、ソニーと共に日本の家電業界をけん引した家電メーカーです。何度か本ブログ・コラムで書きましたように、国内家電業界は、米国の巨大IT企業(マイクロソフト、アップルなど)や、台湾、韓国、中国の企業に、打ち負かされました。

 

国内家電メーカーは、画期的な商品開発、コスト競争などの分野で負け組になりました。ソニーやパナソニックは、何度か大きな「集中と選択」作業を行いましたが、良い結果につながりませんでした。

 

ソニーの場合は、平井氏がトップになった後、大胆なビジネスモデルの変革を行い、家電商品への依存度を下げました。競争力のない家電事業分野から撤退を行うことと並行して、デジタル、エンターテインメントなどのソフトビジネスモデルの徹底的な強化を図りました。そのビジネスモデルの変化が、現在のソニーの好業績につながっています。

一方、パナソニックは「集中と選択」作業の結果が出ずに現在まで来ています。最近、パナソニックは経営陣を刷新しました。この新経営陣のもとで、新機軸を打ち出そうとしています。

 

本日の記事にあります内容は、その一環になります。この記事の中に、「ハードとソフトの融合」という言葉が使われています。

この言葉は、国内の家電を含む多くの製造事業者が、米国などの大手IT企業に対する対

応するために、今後の実行課題の一つになっていました。

 

しかし、多くの国内メーカーは、現在を含めて実現できていません。実現できない理由は、いくつかあります。

・私が以前勤めていました家電メーカーでもそうでしたが、ハードウェア商品の差別化・差異化で競争力を担保している。

・ハードウェアで競争力をもっていれば、国内および海外で売れると考えている。

・ハードウェア中心の考えであり、ソフトウェアはハードの付属品的な価値観をもっている。

・このことからソフトウェアの必要性や真の意味での価値観を理解できない。

・一般的にハードウェア中心の企業は、自社内の一気通貫の縦割り思考で事業展開を行っている。

・このため、他社との協業;連携(アライアンス)が苦手である。など。

 

このようなハードウェア中心の企業が、ソフトウェアの価値を理解して、今はやりの言葉で言う「ソフトウェアファースト」の考え方を本質的に理解することは、非常に難しいです。

 

「ハードとソフトの融合」の本質を理解して、対応できる製造事業者は、現時点では少数派です。しかし、このことが理解できた企業は、新型コロナウイルスの影響拡大下でも、着実に収益を拡大しています。

 

私は、この視点からパナソニックが、ブルーヨンダーを買収して、「ハードとソフトの融合」を実現して、当社の事業付加価値をどのように高めていくのか、大きな関心をもって注目していきます。

 

トヨタ自動車は、パナソニックの良い先行事例となります。トヨタが、EV、水素燃料電池車、自動運転車などの事業分野で、激しい競争に打ち勝てるかどうかは、今後の進展次第です。

 

しかし、トヨタは経営トップの明確な方針のもとで、米欧日などの主要市場で、「ハードとソフトの融合」を実現しつつあります。

 

私は、パナソニックのM&Aの歴史について、専門的な知識をもっていません。しかし、マスコミで流れる記事情報からは、パナソニックがM&Aを巧みに行って、自社ビジネスの付加価値を向上させてきたとの印象をもっていません。

 

ブルーヨンダーは、ソフトウェア企業です。パナソニックがブルーヨンダー買収後に、上手く組織融合を行わないと、すべてが絵に描いた餅になってしまいます。

 

ソフトウェア企業の力の源泉は、ソフトウェアエンジニアです。ブルーヨンダーの買収後に、大量のソフトウェアエンジニアが退職してしますと、元も子もなくなります。

 

心から、パナソニックのM&Aが今後の成果につながることを祈念いたします。

今後ともパナソニックの動きについて注目していきます。

 

よろしくお願いいたします。

グローバルビジネスマッチングアドバイザー GBM&A 山本 雅暁

 


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経済産業省「中小M&Aガイドライン」策定・公開に関する考察 [アライアンスとM&A]

                                             2020年4月1日


皆様、
こんにちは。グローバルビジネスマッチングアドバイザー 山本 雅暁です。


2020年3月31日に、経済産業省は、中小企業におけるM&Aの更なる促進のため、平成27年3月に策定した「事業引継ぎガイドライン」を全面改訂した「中小M&Aガイドライン」を策定・公開しました。


本日は、この「中小M&Aガイドライン」について考えを述べます。


経済産業省が公開しました「中小M&Aガイドライン」は、下記Webサイトから入手できます。また、このWebサイトから、経済産業省がこの「中小M&Aガイドライン」を策定した背景などについて確認できます。
https://www.meti.go.jp/press/2019/03/20200331001/20200331001.html


「中小M&Aガイドライン」自体は、下記Webサイトからダウンロードできます。
https://www.meti.go.jp/press/2019/03/20200331001/20200331001-2.pdf   


このガイドラインは、88ページの構成になっています。全部読むのは難しい場合、下記の概要資料の閲覧をお勧めします。
https://www.meti.go.jp/press/2019/03/20200331001/20200331001-1.pdf


経済産業省は、従来、中小企業の事業承継をスムースに行うための手引書として、
「事業引継ぎガイドライン」を策定してきました。今回、「事業引継ぎガイドライン」を改訂して、「中小M&Aガイドライン」を新規に作成しました。


経済産業省は、この理由について上記Webサイトで、以下のように説明しています。


『後継者不在の中小企業にとって、M&Aを通じた第三者への事業の引継ぎは、事業承継の重要な手法の一つですが、中小企業経営者の中には、M&Aに関する知見を有しておらず、長年経営してきた自社を第三者に「売る」ことを躊躇する者も存在します。


また、中小企業におけるM&Aが円滑に促進されるためには、仲介業者や金融機関などのM&A支援機関が、適切に支援を実施することが重要です。


こうした現状を踏まえ、経済産業省では、昨年12月20日に策定・公表した「第三者承継支援総合パッケージ」に基づき、平成27年策定の「事業引継ぎガイドライン」を全面改訂し、「中小M&Aガイドライン」を策定しました。』


私は、自分の事業経験に基づいて、この経済産業省の目的に大いに賛成・同意します。


中小企業の事業承継問題は、深刻度を増しています。


中小企業庁が、毎年発行しています「中小企業白書」では、毎回中小企業の開業・廃業について記述されています。平成30年度(2018年度)中小企業白書では、「第5章 開廃業の状況」に書かれています。


この5章に、中小企業の休廃業・解散数は毎年増加しており、2017年度は3万件台だった数字が、2018年度は46,724となりました。


この休廃業・解散が発生する多くの理由は、現在、経営者の高齢化や後継者不足が多数を占めています。


私が経営コンサルタントを開業した2007年当時、私が行った中小企業に対する経営支援は、他社との事業連携(アライアンス)やM&Aなどでした。


これは、私が企業に勤務していたとき、辞める前の15年間くらい、事業撤退・事業連携(アライアンス)・M&Aを行っていたことによります。


この当時、多くのベンチャー・中小企業は、事業領域の拡大や新規事業立上のために、事業連携(アライアンス)やM&Aを活用していました。私も、会社勤務時に同じような目的で、事業連携(アライアンス)やM&Aを活用してしましたので、その経験やノウハウを活かして、ベンチャー・中小企業を支援できました。


当時の中小企業白書を見ますと、、中小企業の休廃業の理由の中で最も多くの割合を占めていたものは、「集客ができず売上がたたない」でした。後継者不足に悩む中小企業の割合は、それほど多くありませんでした。


中小企業の後継者不足問題が深刻化してくるのは、2015年前後からと理解しています。


従来、中小企業の後継者は、経営者の息子や娘などの親族になっています。しかし、現在、子供自体がいない、息子や娘は他の仕事に関心を持っており継がない、或いは経営者の奥様が社長業の大変さを知っているため、自分の子供たちに継がせたくないことから反対する、などの理由から、事業承継ができなくなるケースが多く発生しています。


実際、私のところに依頼があるM&Aの実行支援は、事業強化よりも事業承継が多くなっています。もっとも私自体の経営コンサルタント活動は、現在、新規事業立上や欧米アセアン地域などでの販路開拓・集客支援が多くなっています。


私は、M&A支援依頼の中で、事業承継課題の深刻さ、相談企業がもっている技術力、従業員のノウハウ蓄積などを考慮して、引き受ける案件を選んで対応しています。


多くのベンチャー・中小企業は、M&Aを行うこと上で大きな課題とリスクに直面します。


ベンチャー・中小企業がM&Aを行う場合、先ずは事前に経済産業省や中小企業庁が、発表しているM&Aのガイドラインや実例などを参考にして、十分な時間を取って検討・準備することが、必要であり重要なことになります。


M&Aのやり方は、一定のスタンダードがあります。同時に、各ベンチャー・中小企業の経営課題や経営環境は、異なります。


従って、M&Aのスタンダードに沿いながら、当事者である経営者が自分の頭で考え、自分の言葉で検討・実行していくことが必要不可欠です。


決して、金融機関やM&Aの専門支援機関に丸投げして行うことをしてはいけません。


必要に応じて、取引があり信頼できる税理士や経営コンサルタントなどの専門家の支援を受けることも、有効なやり方です。


本ブログ・コラムを読んだベンチャー・中小企業の経営者の方で、M&Aに関心がある方は、先ず、上記しました経済産業省の「中小M&Aガイドライン」をお読みになることをお勧めします。


よろしくお願いいたします。


グローバルビジネスマッチングアドバイザー GBM&A 山本 雅暁



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日経記事;『日本勢、国際M&Aの主役 1~6月、過去最高 シェア欧州超え 問われる巧拙』に関する考察 [アライアンスとM&A]

                                                      2018年7月21日

皆様、
こんにちは。
グローバルビジネスマッチングアドバイザー 山本 雅暁です。


7月21日付の日経新聞に、『日本勢、国際M&Aの主役 1~6月、過去最高 シェア欧州超え 問われる巧拙』のタイトルで記事が掲載されました。


本日は、この記事に関して考えを述べます。

記事の一部抜粋は、以下の通りです。


『 日本勢、国際M&Aの主役 1~6月、過去最高 シェア欧州超え 問われる巧拙

日本企業が世界のM&A(合併・買収)市場で存在感を強めている。2018年1~6月の海外企業をターゲットにしたM&Aは1122億ドル(約12.7兆円)と過去最高を記録し、欧州勢を上回った。人口減少などで国内市場の拡大は見込みにくく、海外事業の強化が避けて通れない。割高な案件も目立つようになっており、M&A戦略の巧拙が厳しく問われる時代になってきた。。。』


私は、会社に勤務していた最後の10年間強はM&Aと連携・協業(アライアンス)を担当していました。


当時勤務していた会社は、集中と選択を大々的に行っており、私も数多くの事業撤退を担当していました。


事業撤退は、不採算事業や固定費削減を実現する経営の合理化です。同時に事業撤退は、事業の縮小になりますので、経営規模は小さくなります。


特に事業撤退分野が、主力事業であると、事業撤退を行いながら、新規事業立上の準備を行わないと、経営の継続ができなくなります。


また、勤務先企業が収益悪化になった原因の一つに、米国企業(特にIT企業)が仕掛けてきた、短期間での既存事業基盤の破壊・再構築の動きに全く対応できなかったことによります。


そこで、早期に会社の経営資源の再配分と新規事業立上を行うために、M&Aと連携・協業(アライアンス)を駆使して、数多くのプロジェクト運営してきました。


正直言って、事業撤退、M&A、連携・協業(アライアンスの三つを同時並行で10年強行うと、心身ともに疲れ切った記憶があります。


ただ、この10年強の経験や多くの失敗は、私にとって大きな肥やしになりました。


現在、私は、経営コンサルタントとして、支援先企業の事業撤退、M&A、連携・協業(アライアンス)の支援を行えるのも、会社勤務時の経験があることにより良います。


そのM&Aについては、本日の記事にありますように、中堅・大手企業だけでなく、中小企業でも数多く採用されています。


私も最近、M&Aの支援案件数が増えています。但し、私の場合、M&Aを手掛けると他事業の時間確保が難しくなりますので、担当案件数は、限定しています。


一般的に、私の経験に基づくと、経営環境が激変したり、経営状況が悪化したりした状態での、M&Aは、売る方も買う方も上手くいかないケースが多いと考えます。


M&Aを行うときは、売る方も買う方も、落ち着いた経営状態で行うことが、双方がハッピーになる「Win/Win」の関係になれます。


また、初めてM&Aを行う会社に対しては、その前に他社との連携・協業(アライアンス)を行ってもらうようにしています。


M&Aを行う前に、連携・協業(アライアンス)を行う理由は、以下の通りです。


・連携・協業(アライアンス)を行うことで、今まで積極的に行ってこなかった他社との真剣な会話やコミュニケーションが取れるようになると共に、他社の動き方が理解できるようになります。


・既存事業基盤の強化新規事業立上を行うやり方として、連携・協業(アライアンス)とM&Aの両方のやり方の、メリットとデメリットを理解できるようになります。


M&Aの行為自体は、やり方が確立されていますので、その手順通りに行っていけば、一定の割合で失敗なしに実現できます。


一番大変なのは、買った側の企業が、新規に加わった事業部隊や会社との組織融合です。


この組織融合を誤ると、せっかく買ったものが宝の持ち腐れになるだけでなく、深刻な場合は本体経営にダメージを与えることになります。


最近、中小企業の中で、深刻さを増している事業承継を解決するための手法として、M&Aが採用されています。


私は、事業承継目的で、M&Aを行う場合、2~3年の時間をかけて、落ち着いた経営数字や環境下での実施を勧めています。


よろしくお願いいたします。


グローバルビジネスマッチングアドバイザー GBM&A 山本 雅暁



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M&Aは本当に必要ですか,或いは期待した効果が得られていますか? [アライアンスとM&A]

                                                  2010年11月16日

皆様、
おはようございます。
グローバル・ビジネスマッチング・アドバイザー 山本 雅暁です。

昨今、日経新聞などで、中小企業が事業の発展拡大のため、M&Aを活発に行うケースが増えているという記事を見かけるようになりました。
円高も後押ししてM&Aコストが低くなるとのことで、海外企業や事業の買収を行う案件も出てきているようです。

本日は、M&Aを支援している一人として当該経営手法について考えを述べます。

海外市場開拓を含めた新規事業展開や、新規技術・商品の獲得などを早期に行うには、『M&A』は非常に有効な手段です。

国内企業では、日本電産やミネベアなどの大手企業が、M&Aを積極的に活用し事業拡大を行ってきています。
これらの企業は、買収後の組織融合の方法にノウハウを持っており長けています。

今までM&Aをやっていない企業が、当該行為を行うとすると、目的・成果を得られないばかりか、大やけどをする場合があります。

一時、大手自動車業界で規模の拡大によるシェア拡大や、コスト削減などを狙って大型M&Aが活発に行われました。
どれも最終的には失敗しました。
失敗した原因の一つに、組織融合が上手く行かなかったことがあげられています。

私が今まで自分で行ったケースや、支援したもので上手く行ったM&Aは、例外なく買収後の組織融合が上手く行われています。
逆にいますと、組織融合が上手く行かないと、例外なく期待した成果を出せないか、失敗しています。

勿論、M&Aが失敗する理由は、他にもあります。
しかし、私が知る限り、買収後の組織運営の失敗が最大の原因になっています。

M&Aを通常の経営手法の一つとして活用している企業は、組織融合のやり方にノウハウを持っています。
今までM&Aを行ったことが無い企業の場合は、慎重な事前検討が必要です。

最悪のM&A行為は、他社が行ったとの理由で右に倣えで行うことです。
この場合100%、失敗します。

製造業の場合、他社の技術ノウハウ、特許、製品の獲得を狙って買収することがあります。
しかし、所定の成果が得られないことが多々発生します。
理由は、買収後にキーマン(中核となる技術者や技術者のリーダーなど)が辞めてしまうからです。

組織融合とは、如何に買収後の組織運営を円滑に行って、買収した企業の従業員のモチベーションを低下させないかです。
日本電産の場合、買収後の組織運営を任せるやり方を取っているようです。
これも組織融合を円滑に行う方法の一つだと考えます。

私が、中小企業の社長から企業買収の相談を受けた時に、この企業が他社との連携を行っているか、或いは連携を上手く活用しているか確認します。
連携を行っていない、或いは、上手く出来ていない企業の場合は、買収行為を勧めません。

他社と上手く連携できな企業が、買収後に組織運営を上手く行えるわけがないからです。
これは、私の経験則ですので、100%正しいかどうかは確証が持てませんが、かなりの確率で成立すると感じています。

そのような企業には、「先ず連携を上手く行って成果を出せるようにしましょう。連携以上の効果が得られるとの確証を持てた場合に、他社買収を行いましょう。」とアドバイス、支援しています。


M&Aの結果を分析した調査レポートは数多く発行されていますので、それらの良く読んで勉強する事も大事です。
例えば、2010年2月にKPMG Japanが発表しました、 『M&Aの成功要因に関する調査結果についての考察』があります。

私にM&Aの件でご検討依頼やご相談される場合、私が所属します 「日本経営士協会」の会員名簿からご連絡願います。

よろしくお願いいたします。

グローバル・ビジネスマッチング・アドバイザー 山本 雅暁


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日本の製造業は大胆な事業連合・集約で競争力向上を図る必要がある [アライアンスとM&A]

                                                      2010年8月12日

皆様、
こんにちは。グローバル・ビジネスマッチング・アドバイザー 山本 雅暁です。

8月7日付の日経新聞に『パナソニック、販路再編インドで先行、三洋とパナ電工、完全子会社化前に。
家電と住宅機器一体で』のタイトルで記事が掲載されました。

主な内容は、以下の通りです。

『パナソニックは子会社の三洋電機、パナソニック電工の完全子会社化をにらみ、販路の再編に着手する。

家電製品、照明など住宅用機器の一体販売が柱で、まず2010年度中にインドでパナ電工が持つ約1万2000店にのぼる住宅用機器の販路を通じパナソニック、三洋の家電製品を販売する。

海外市場で統合効果をいち早く引き出し新興国開拓のモデルとし、日米欧市場でも同様の再編を検討する。国内外の電機大手にはない多様な商品群を効率的に販売する体制を構築、収益力の強化を急ぐ。

パナソニックは11年4月に三洋、パナ電工を完全子会社化する予定。家電、住宅用機器とも世界的な販売競争が激化しており、完全子会社化を待たずに海外から販路の再編に取り組む。・・・』

以前に書きました様に、私はパナソニックが三洋との経営統合を急ぐ事に大賛成です。統合や撤退は、方針が決まれば短時間内に集中して行った方が効果的と考えています。

私自身の体験でも実証済みです。

パナソニックは、完全統合前に販路の統合を先行して始めようとしています。
出来るところからどんどん行うべきです。

他の電気・電子企業もより大胆に合併や提携を迅速に行って、経営体力の強化を早急に行う必要があるのではないでしょうか。
例えば、電池や液晶分野で、パナソニックとシャープが合併して、圧倒的な力で韓国、台湾、中国メーカーと戦っていくような構図もありかと考えます。

パソコンだと、1社か2社に集約して競争力を高める、或いはスマートフォンを含む携帯電子端末も同様に集約して、世界市場で戦える力をつける、ような発想の転換を期待します。

流通業界などで起こっているように、外資は、今後より積極的に日本市場に入ってくると見ています。
グローバル企業にとって、日本は一ローカル市場として扱われます。

狭い国内市場で多くの企業が過当競争を行っている場合ではありません。

もし、民間企業同士で出来ないならば、政府が音頭をとって業界再編を行う必要があると思います。

如何でしょうか。

よろしくお願いいたします。

グローバル・ビジネスマッチング・アドバイザー 山本 雅暁


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「100メートル走の経営」に挑むパナソニック:頑張れニッポン企業 [アライアンスとM&A]

                                              2010年8月2日

皆様、
おはようございます。
グローバル。ビジネスマッチング・アドバイザー 山本 雅暁です。

8月1日付の日経新聞に『「100メートル走の経営」に挑むパナソニック 「緩やかな連携」から転換 スピード経営 優先』のタイトルで記事が掲載されました。

主な内容は、以下の通りです。


『パナソニックが、三洋電機とパナソニック電工を完全子会社にする。「SANYO」ブランドは原則なくなり、「Panasonic」に一本化される。

完全子会社化の狙いは2つだ。
・ひとつは意思決定のスピードを上げ、設備投資などで韓国や中国のメーカーに負けない体制をつくること。「世界の同業他社は100メートル競走の速さで変革している。我々は中距離走のスピードだったのではないか」(大坪文雄パナソニック社長)との危機感が背景にある。
サムソンなどのライバルのスピード感に「三洋、パナソニック電工、パナソニックで独立性を保ちつつ、役割分担して調整をしながら進めるコラボ」では、勝てないと判断した。

・もうひとつは消費者の要望にまるごと応えられる製品やサービスのラインアップ作りだ。同社はそれを「家まるごと」戦略と呼ぶ。

 例えば、各社のテレビ、音響機器や照明を単品で売れば、厳しい価格競争に陥る。だが設計や施工、保守点検をまとめて売り込めば、消費者にとっても便利だし、グループ全体の相乗効果も高まる。

 「家やオフィスビルの内部を一括して引き受ける、一種のソリューション(問題解決型)事業」を進めるには、意思決定をひとつにする必要があったわけだ。「2018年に電機業界で売り上げ世界一になる」との目標を達成できるかどうかは、内外で相乗効果を発揮できるかどうかにかかってくる。

 日本は市場規模の割に家電や自動車などの社数が多く、メーカーは国内勢同士の競争で体力を消耗しているといわれてきた。この点で、パナソニック以外の電機メーカーも、生き残りを懸け事業の選択と集中に取り組みだしたことが注目される。。。』


私は、以前、有効な経営手法の一つに他企業との連携があると述べました。
これは、財政基盤や人材が不足するベンチャー・中小企業が、お互いに不足する機能を補い合って事業展開する時に有効だからです。
この連携のポイントは、同業他社を入れない事です。異業種企業での連携がキーです。

パナソニック、三洋、パナソニック電工の三社は、ブランドが異なり、さらに、製品や事業領域も重なる部分がありました。M&A後もお互いの自主権を尊重する経営のやり方を取りました。
M&Aの衝撃を和らげるため為に上記コラボで緩やかに連携していくやり方を取ったわけです。

これでは、集中してスピードある経営が出来るわけがありません。
今回、パナソニックは「パナソニックブランド」への統合を含めて正しい経営判断を取りました。

競合企業は、国内の会社ではなくサムソンです。
サムソンに世界市場で勝たなければ、パナソニックの将来はないといっても過言ではありません。

集中とスピードが重要です。パナソニックは、環境に軸足をおいた事業展開を計画しています。
今後のパナソニックの事業展開が楽しみです。

ベンチャー・中小企業も、得意分野に集中してスピード感ある経営を行う事は重要です。
連携を組みながら、スピードを伴った経営の実行をどう行うか、知恵を絞っていく必要があります。

私も現在支援している幾つかの連携事業のスピードがあがるよう、更に強化して行う必要性を再確認しました。

頑張れ!ニューパナソニック

よろしくお願いいたします。

グローバル・ビジネスマッチング・アドバイザー 山本 雅暁


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富士通から見れる世界戦略の展開事例について [アライアンスとM&A]

                                                 2010年7月10日

皆様、
こんにちは。グローバル・ビジネスマッチング・アドバイザー 山本 雅暁です。

7月9日及び10日付の日経新聞に、富士通の動きが掲載されました。

10日付の日経新聞では、『富士通、海外で競争力強化 大型M&Aも視野に』のタイトルで以下の記事が掲載されました。

『 富士通が海外戦略を加速する。米マイクロソフト(MS)と、ネットワーク経由でソフトウエアや情報システムを提供する「クラウドコンピューティング」事業で提携。海外で大型M&A(合併・買収)の検討にも着手した。クラウド分野では米国勢が大きく先行し、日本市場でも攻勢を強めている。富士通は提携やM&Aをテコに海外での競争力を強化、生き残りを目指す。

「グローバルでサービスを提供するには、もはや自社のリソース(資産)だけではまかなえない」。9日の富士通の経営方針説明会で、山本正已社長はこう強調した。

説明会では言及しなかった今回のMSとの提携も、技術・サービス力の補完が狙いだ。富士通は1990年代に英ICLと米アムダールのコンピューター大手2社を買収。両社をサービス会社に衣替えして、一定の顧客を獲得してきたが、海外で確実に売れるクラウドサービスは持っていなかった。今回、富士通はMSが持つソフト技術力を自社サービスに取り込み、クラウド事業の世界展開を本格化する。

山本社長は9日の説明会でM&Aにも言及。「フリーキャッシュフロ(純現金収支)は今後毎年1500億円程度の黒字が見込め、資金の使い道としてM&Aは重要な手段だ」と述べた。買収相手としては海外のソフト開発会社や情報システム会社を想定しており、1000億円規模の買収も視野に入れている。同社はここ数年の構造改革で財務が大幅に改善しており、攻めの経営に転じて海外展開を加速する。2009年度に37%だった海外売上高比率を、11年度に40%に引き上げる方針だ。』

また、別の記事では、『富士通が海外戦略を加速する。MSと、ネットワーク経由でソフトウエアや情報システムを提供する「クラウドコンピューティング」事業で提携。海外で大型M&A(合併・買収)の検討にも着手した。クラウド分野では米国勢が大きく先行し、日本市場でも攻勢を強めている。富士通は提携やM&Aをテコに海外での競争力を強化、生き残りを目指す。』と掲載されています。


富士通は、最近、急速に需要が伸びている「クラウドコンピューティング」事業で世界展開を目指す動きを加速させています。

規模が限られた日本市場で頑張っても、売上・利益を伸ばす事は難しく、世界市場で戦う経営戦略を明確に打ち出した事を高く評価します。

今回の戦略のポイントは、以下のようになると考えます。

1.富士通は、、ここ数年間行ってきた構造改革で財務状況を大幅に改善してきた。結果として、毎年1500億円程度のフリーキャッシュフロを確保可能になった。

2.このフリーキャッシュフロを単に貯めておくのではなく、自社の不足する機能や、新規に必要なコアをM&Aで獲得する為の資金として活用する。

3.経営展開する主市場を、世界+クラウドコンピューティングの右肩上がりが期待されるところに集中する事を明確化した。
グローバルな市場で世界企業と競合して勝ち抜くためには、経営資源を主事業に集中して他社との差異化を可能にする事が必要です。
この観点から見ますと、富士通は集中と選択を行って、クラウドコンピューティング事業に集中する戦略を取ったのだと考えます。

4.クラウドコンピューティングは、どのIT企業も1社だけで行う事は難しいと思います。
富士通もそう判断し、クラウド事業の海外市場の展開をアライアンスにより実行しようとしています。

この時に大事なことは、“強者連合”を組める相手先を探す事です。
単に規模を大きくする、補完し合うだけのアライアンスでは、“強者連合”になりません。

富士通の場合、MSを連携相手に選びました。
新聞情報だと、以下の役割分担になるようです。

・富士通は世界16カ国、約90カ所でデータセンターを運営する。これらのデータセンターでMSとの協業サービスを開始する。富士通は、これらのデータセンターに、協業に必要な専用設備を配備する。

・MSは、クラウドコンピューティングに必要なソフト開発と提供をおこなう。

・MSは昨年、米シカゴとアイルランドに巨大データセンターを建設するなど世界各地でクラウド事業展開を急いでいるが、アフターサービスなど顧客支援体制で手薄なため、富士通の協力を得ていく。
富士通と組めばグローバル展開する日本企業との契約がしやすくなると判断している

・両社で投資してデータセンターを増強することも検討している。データセンター建設には1棟あたり数百億円かかるため、共同利用で投資を効率化できる。


上記の事を両者が各々の強みを持ち寄って展開できれば、“強者連合”となり得ます。


今後の富士通の動きに注目したいと考えています。

よろしくお願いいたします。
以上、

グローバル・ビジネスマッチング・アドバイザー 山本 雅暁


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アジア展開を行う上でのM&A/アライアンスの手段選択に関する考察 [アライアンスとM&A]

                                                    2010年7月2日

皆様、

おはようございます。
グローバル・ビジネスマッチング・アドバイザー 山本 雅暁です。

7月2日付の日経新聞に『対アジア企業、M&A件数9割増 1~6月73件』のタイトルで記事が掲載されていました。

主な内容は以下の通りです。

『日本企業によるアジア企業を対象にしたM&A(合併・買収)が急増している。今年1~6月の件数は前年同期比で9割増の73件と、3年半ぶりの高水準となった。日本国内でのM&Aが減少したため、全体の件数は低調だったが、その中で成長市場であるアジアへの進出を急ぐ動きはむしろ強まっている。

M&A助言のレコフ(東京・千代田)によると、海外企業に対するM&A(出資を含む)は前年同期比28%増の176件だった。地域別で見るとアジアが92%増で、北米(14%増)や欧州(6%減)を大きく上回った。

日立建機は3月、225億円を投じてインド・タタ自動車グループとの合弁会社への出資比率を4割から6割に引き上げ、子会社にした。同業のコマツも4月にタイの建設機械などの販売代理店に4割出資した。

内需企業もM&Aによるアジア展開に積極的だ。日本製紙グループ本社は6月、中国の段ボール原紙大手、理文造紙公司(L&M)に12%を出資した。大手保険会社やメガバンクによるアジア企業への出資も目立つ。

海外企業による日本企業のM&Aもアジアが5割超となり買い手としての存在感も高まっている。』


現在多くの企業は、アジア市場とのビジネスで売上・利益を確保しています。
しかも、アジア市場はここ当分伸びる事が見込まれており、アジア企業との結びつきは更に加速する事になると考えています。

アジア企業との結びつきを迅速に高め、かつ、自社内に必要な機能・インフラを取り込むには、M&Aが有効な選択肢です。
今までは、一般的な傾向として日本企業はM&Aに慎重であり、特に海外企業との合併・買収に積極的ではありませんでした。

その傾向に変化が見られ始めたのは、欧米企業がアジア市場での事業展開に積極的にM&Aを多用し、急速に進化しており、日本企業も対抗上迅速な手段で事業展開を図る必要に迫られているからと考えます。


確かにM&Aは迅速な結果が得られる有効な手段ですが、組織の融和に失敗すると効果は半減どころかマイナスになる事が多いので、実施する時は慎重に検討し、M&A後の経営のあり方をしっかりと想定して行う事が肝要です。

他社が行ったから、自社も行わないと取り残されると考えて安易に考えて実行するととんでもないやけどをおう事があります。

何時もブログやコラムで言っていますが、M&A以外の選択肢としてアライアンス(連携)もあります。
迅速さは、M&Aより劣りますが、柔軟性があり、経営環境の変化に合わせて進化させていく事が可能です。

自社にとってどちらがより有効な方法か、良く検討して決める事をお勧めします。
決定したら、どちらの方法も迅速に動く事が必要です。


例えば、自社の経営のやり方を見直して、アジアに展開する子会社や関連会社の経営幹部に現地人を積極的に採用していく方法を考えている企業は、M&Aを積極的に活用して迅速な事業展開を行なえる可能性が高いと思います。

よろしくお願いいたします。
以上、

グローバル・ビジネスマッチング・アドバイザー 山本 雅暁


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GEの新規事業拡大策としてのM&A手法に関する考察 [アライアンスとM&A]

                                              2010年6月30日

皆様、

おはようございます。
グローバル・ビジネスマッチング・アドバイザー 山本 雅暁です。

アメリカのGE(ゼネラル・エレクトリック)が水ビジネスに経営主力の一部を集中し始めています。
これは、GEの経営戦略の一つである、「エコマジネーション」:環境と経済を両立させる、の一環での動きになっています。

具体的には、以下の企業を買収して事業規模の拡大を図っています。

・ベッツ:水処理薬品会社
・オスモニックス:逆浸透膜(RO膜)
・アイオニックス:海水淡水化装置
・ゼノン:限外ろ過膜(UF膜)、など

特にGEは、海水淡水化や下水などの水処理技術である各種の膜処理技術分野に力を入れており、M&Aをてこにスピーディな参入に成功している。
シーメンスもGEと同様にM&Aで市場に参入した。

GEやシーメンスが、M&Aを駆使して短期間に事業分野の拡大を図れるのは、経営組織や運営方法がM&Aの実施を前提としたものになっていると考えます。
そうしないと、短期間にM&Aを行って組織の融合を図ることはできません。

かって、欧米の自動車メーカーが規模の拡大を目的にM&Aを行って、その効果を活かしきれずにマイナス面が大きくなり、自滅していった状況とは大きく異なります。

日本のメーカーでは、日本電産がM&Aを活用して事業範囲の拡大を図っていく経営戦略を採用している代表企業の一つです。

6月28日のブログで述べました様に、アメリカの企業は、制度改革での需要増を見込んで医療関連のIT(情報技術)分野でM&Aが活発に行われています。
これらの企業もM&Aを経営手法の一つとして活用しているから、容易に実行できます。


M&A前提の経営手法を実施している企業にとって、迅速な事業展開を行う上で、M&Aはとっても有効なやり方です。

一方、M&Aに抵抗があったり、不慣れな企業の場合、M&Aを採用すると大やけどする可能性があります。
この場合有効な方法が、アライアンス(事業連携)です。
M&Aに比べてスピードは及びませんが、自社や相手企業の状況を考えながら柔軟に動けます。

M&A、アライアンス、どちらの手法を選ぶかは、その企業の経営戦略によります。自社にとってより有効な方法を選ぶ事が肝要です。

ご参考情報として、私は、通常の事業連携を“ソフトアライアンス”、M&Aを“ハードアライアンス”と使い分けて定義しています。

両者の定義を私なりの理解で言いますと次のようになります。


◆事業連携(ソフトアライアンス);自社と他社の”他人同士間”で”Win/Winスキーム”を確認しながら、お互いにビジネスのやり方の違い等を尊重し、売上、利益の最大化等の目標に向かって協同で活動する行為。
⇒多少時価間がかかっても、他社との距離を置きながら、穏やかな企業同士の連合を作っていける。
 

◆M&A(ハードアライアンス);自社と他社が会社の一部或いは全ての部分を対象に、”同じ屋根の下”で一緒にビジネスを行う行為。言わば、人間に例えると、結婚の形に近い。行為が発生する経緯が、友好的な場合と、一方的な場合の双方のケースが混在する。
⇒短期間に成果を出せる。お金を投資していたり、組織的に一緒(婚姻関係)になっていたりしますので、なかなか”縁切り”は簡単にいきません。”縁切り”には経済的な損失を含む痛みを伴う。
 

よろしくお願いいたします。
以上、

グローバル・ビジネスマッチング・アドバイザー 山本 雅暁

 


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