日経記事;『日立、日立物流を売却 KKRが6000億円超で買収へ』に関する考察 [何故アライアンスが必要なの?]
皆様、
こんにちは。
グローバルビジネスマッチングアドバイザー 山本 雅暁です。
4月21日付の日経新聞に、『日立、日立物流を売却 KKRが6000億円超で買収へ』のタイトルで記事が掲載されました。
本日は、この記事に関して考えを述べます。
本記事の冒頭部分は、以下の通りです。
『日立製作所はグループ会社の日立物流を売却する方針を固めた。現在株式の4割を保有する筆頭株主だが、比率を1割まで引き下げる。米大手ファンドのKKRに売却に向けた優先交渉権を与えた。KKRは6000億円超を投じ、日立物流を買収して非公開化する見通し。IT(情報技術)を軸に進めてきた日立のグループ再編がほぼ完了する。。。』
日立の集中と選択作業については、何度か本ブログ・コラムでも取り上げてきました。本日の記事によると、日立が日立物流を売却することが決まりそうです。
この売却が決まると、日立が2009年の巨額赤字計上後、10年強の期間で行ってきた「集中と選択作業」がほぼ終わりになります。
日立が一連の集中と選択作業で行ってきたのは、経営の柱となるIT関連事業への集中的な経営投資です。ITと遠い事業は、日立から切り離してきました。
日立はIT事業分野で特に注力しているのは、IoT対応の強化です。また、IT以外では、環境および産業関連が日立の新規事業分野になります。
日立の競合企業は、国内ではなく、主に欧米企業になります。特にIT分野では、米国企業との熾烈な競争になります。
日立が米国などのITを含めた競合企業との競争に打ち勝つには、旧財閥系企業が採用していた伝統的な経営手法でなく、迅速な意思決定と行動力が必要になります。
伝統的な国内企業の経営手法では、事前に入念な情報収集と検討を行い、経営陣の意思疎通を行うための根回しを行い、意思決定と行動計画をまとめ、実行します。
そして、新規事業立上のようなリスクが発生することについては、周りの企業の状況などをみながら、慎重に検討して、対応していきます。
IT分野では、このような慎重な牛歩の速度経営は、全く通用しません。国内企業が、世界市場でシェアを落としていることの理由の一つが、海外企業との競争に打ち勝つ強い気持ち・方針が無いことによります。
私は、国内ベンチャー・中小企業の経営支援を行っている中で、国内の中堅・大手企業との事業連携(アライアンス)を組もうとすると、多くの場合、直面するのが相手企業の慎重さや意思決定の遅さになります。
一般的に、欧米企業との事業連携(アライアンス)は、お互いに是々非々ベースで会話して、「Win/Win」の関係が明確になれば、すぐに実行する動き方ができます。
日立の顧客の多くは、企業です。企業との関係の結び方も、日立の事業展開と密接に関係してきます。
IT分野では、ソフトウエア開発のやり方の一つとして、アジャイル開発が注目されています。
アジャイル開発は、ウィキペディア(Wikipedia)のWebサイトで説明されています。
アジャイル開発が注目されたのは、インターネット・ITの急速普及により、迅速に変化するビジネス環境下、ソフトウエアに対する要求の変化も激しさを増してきたため、変化に柔軟に対応する必要性によります。
アジャイル;Agileは、機敏さを意味します。
一般的に、アジャイル開発は、1週間から1カ月の反復期間を設け、その反復ごとに機能の追加を継続する「反復増加型」の開発プロセスによって実行されます。
これに対して、伝統的なソフトウエア開発のやり方は、要件定義、設計、開発、実装、テスト、運用までの各工程を段階的に完了させていくウォーターフォール開発と言われます。
アジャイル開発とウォーターフォール開発の大きな違いは、ウォーターフォール開発はソフトウエア開発途中での仕様変更や追加対応が困難なことになります。
もしソフトウエアの開発期間内に、仕様変更などがなければ、ウォーターフォール開発は有効です。
ソフトウエアの開発期間中に、仕様変更などが予想されるのであれば、アジャイル開発の方が有効になります。
事業環境が急激に変化する状況では、ソフトウエア開発は、アジャイル開発の手段が効果的です。
日立が今後ソフトウエア開発をどのように行うかが、欧米企業との競争に大きな影響を与えます。この視点から、日立のIT事業の展開のやり方に注目していきます。
また、日立は、IT分野だけでなく、環境および産業関連分野でも、多くの海外企業との競争に打ち勝つ必要があります。
日立がこれらの3つの事業分野で勝ち組になるには、1社単独で事業展開するやり方は通用しないと考えます。
IT分野以外でも、事業環境の変化が速いため、日立は迅速に開発、設計、製造、販売の経営プロセスを回す必要があります。
メーカーが、上記経営プロセスを迅速に回すための、やり方の一つが他社との水平分業方式になります。多くの欧米企業がこのやり方を採用しています。
そのため、日立は、水平分業方式での事業展開をより一層強化して、競合企業の事業展開の速度以上の速さでビジネスを行うことが必要になると考えます。
水平分業方式は、海外を含む他社との事業連携(アライアンス)を行って、アライアンス先との「Win/Win」関係を構築維持していく経営手法です。
今後、日立が集中と選択作業を終了して、欧米企業との競争に打ち勝つために、どのような経営手法を採用していくのかについても注目していきます。
日立は、国内を代表とする企業の一つとして、欧米市場で勝ち組になることを期待します。
よろしくお願いいたします。
グローバルビジネスマッチングアドバイザー GBM&A 山本 雅暁
日経記事;『日産がエンジン開発終了へ まずは欧州、日中も段階的に』に関する考察 [何故アライアンスが必要なの?]
皆様、
こんにちは。
グローバルビジネスマッチングアドバイザー 山本 雅暁です。
2月7日の日経新聞に、『日産がエンジン開発終了へ まずは欧州、日中も段階的に』のタイトルで記事が掲載されました。
本日は、この記事に関して考えを述べます。
本記事の冒頭部分は、以下の通りです。
『日産自動車は日欧中向けにガソリンエンジンの新規開発をやめる方針を固めた。世界的に強化される排ガス規制に対応するため、内燃エンジンから電気自動車(EV)やハイブリッド車(HV)向け駆動装置の開発に投資をシフトさせる。日本車大手でエンジン開発の終了方針が明らかになるのは初めて。世界的なEVシフトが車の基幹部品の開発にも及んでいる。。。』
本日のブログ・コラム記事は、昨日と同じようにEVに関するものになります。
日産のEVやHVへのシフトは以前から表明されておりましたので、本日の記事はそれを追認した形になります。
何故、昨日のトヨタ、本日の日産、あるいはすでに脱ガソリンエンジン車を表明しているホンダなどの国産自動車メーカーが、EVやHVへ積極的なシフトを行うとしているのか、予測販売台数から見ましょう。
その一つして、(株)富士経済が2021年7月9日に発表しました、HV・PHV・EVの販売予測台数があります。詳細は、下記Webサイトをご確認ください。
https://www.fuji-keizai.co.jp/file.html?dir=press&file=21067.pdf&nocache
富士経済の全世界販売予測台数は、以下の通りです。
2020年 2035年予測 2020年比
HV 269万台 1,359万台 5.1倍
PHV 96万台 1,142万台 11.9倍
EV 220万台 2,418万台 11.0倍
上記数字は、各種の予測データの一つになります。今回は、このデータをベースに考えます。
2020年の販売実績と2035年の販売予測台数を比較すると、HVは5.1倍の伸びに対し、PHVとEVの伸びは、共に11倍強となっています。
また、EVの2035年度の販売予測台数は、HVとPHVの合計台数とお穂同じになります。HVとPHVは、電池・モーターとガソリンエンジンの両方を搭載しているのに対して、EVは電池・モーターのみの設置で済むことにより低コスト化が図れます。この低コスト化は、EVがHVやPHVに対する価格競争力をもつことを意味します。
更に、EVの構造は、HVやPHVに比べてシンプルであり、ガソリンエンジン車の開発・実用化のノウハウをもたない企業でも事業化できます。
つまり、今後20年から30年くらいの期間では、次世代環境対応車の中心がEVになるとの予測が成り立ちます。
この事業環境下、トヨタ、ホンダ、日産の国内自動車メーカーは、脱ガソリンエンジン車、EV化に舵を切りました。
トヨタは、経営体力がありますので、デンソーなどのグループ企業と共に、ほぼ自前でEVの開発・実用化を進めることができます。
トヨタの場合、EVのコアデバイスである電池は、自前での開発とパナソニックとの連携・協業(アライアンス)により、実用化します。
日産やホンダの場合、トヨタと比べると経営体力が小さいので、すべて自前で開発・実用化を進めることは、困難です。
ホンダの場合、EV本体のうち、北米で2024年にGMとの共同開発プラットフォームによる大型EVを市場に導入するとしています。
日産は、すでに資本提携の関係にある、ルノーと三菱自動車との3社による連携・協業(アライアンス)のにより、EVの事業化を実現します。
日産やホンダが、EVの事業を成功させるためには、上記しました連携・協業(アライアンス)を如何に巧みに活用するか、できるかにかかっていると考えています。
ここまでは、EV本体の開発・実用化について述べてきました。もう一つEVについて考える必要のあるポイントがあります。
近未来のEVは、AI・IoT対応などを実装した自動運転機能付自動車になることです。EV市場には、既存の自動車メーカーだけでなく、グーグル、アップル、アマゾン、ソニーなどの異業種企業が参入してきます。
これは、今までブログ・コラム記事で書いていますように、EVは動く電子端末機器化することによります。
既存の自動車メーカーは、基本的に自動運転機能などについて専門的な知見やノウハウをもっていません。
既存の自動車メーカーは、自動運転機能に関わるインターネット・IT・AI・IoT対応などについて、自前で開発・実用化をすることはできません。
この課題を解決するには、、IT企業などとの連携・協業(アライアンス)の実施が必要不可欠になります。
トヨタは、数年前からインターネット・IT・AI・IoT対応などに多額の投資を行うとともに、IT企業との連携・協業(アライアンス)を積極的に行っています。
日産とホンダが、動く電子端末機器としてのEVの開発・実用化を進めるため、EV本体や、インターネット・IT・AI・IoT対応などの自動運転機能の実装などに、連携・協業(アライアンス)をどのように活用していくか、注目していきます。
よろしくお願いいたします。
グローバルビジネスマッチングアドバイザー GBM&A 山本 雅暁
日経記事:『車用「全固体電池」、迫る日独決戦 トヨタは特許で先行』に関する考察 [何故アライアンスが必要なの?]
皆様、
こんにちは。
グローバルビジネスマッチングアドバイザー 山本 雅暁です。
6月3日付の日経新聞に、『車用「全固体電池」、迫る日独決戦 トヨタは特許で先行』のタイトルで記事が掲載されました。
本日は、この記事に関して考えを述べます。
本記事の冒頭部分は、以下の通りです。
『ポスト・リチウムイオン電池として期待される全固体電池の実用化を巡る競争がグローバルで過熱してきた。特許で先行するトヨタ自動車は年内に試作車の公開を検討する。独フォルクスワーゲン(VW)は米新興と組み電気自動車(EV)の航続距離を大幅に延ばす電池生産に2024年ごろから乗り出す。現行電池の生産規模で高いシェアを持つ中韓勢に対し、技術面の先行優位を生かせるかが問われる。。。』
EVの普及は、今後さらに進みます。このEVの性能を左右するのは、電池です。現在のEVに使用されている電池は、リチウムイオン電池です。この電池は、ソニーが世界で初めて開発・実用化しました。
ソニーは、すでにリチウムイオン電池の事業から撤退しています。ソニーは、この電池事業が収益を生むコア事業にならないと判断したことによります。
一方、電池はEVだけでなく、自然再生エネルギーにより発電した電気の保存機能という重要な役割が生まれています。今後、家庭用電池の需要も高まっていきます。
全固体電池の定義は、以下のようになります。
『『全固体電池』とは「電解液を使わず電極間を固体で繋ぐ電池」のことです。電解液というのは、正極と負極(電極)間で電気をやりとりするための電気を通す液のこと。自動車の12Vバッテリーなど鉛蓄電池には希硫酸液が使われているのは、長く自動車に乗っている方ならご存じですよね。現在の電気自動車のほとんどで動力用蓄電池として使われているリチウムイオン二次電池の多くに「有機溶媒(非水)系電解液」と呼ばれる電解液が使われています。
「有機溶媒系電解液」にもさまざまな種類がありますが、おおむね、この「有機溶媒」の可燃性が高いことから、リチウムイオン電池は「発火のリスクが高い」と言われる原因になっています。また、温度によってリチウムイオン電池の充放電性能が左右される要因でもあります。
全固体電池では電解液を使わないので、発火のリスクが小さく、幅広い温度域で安定した性能を発揮することが期待されています。』
出典元;https://blog.evsmart.net/electric-vehicles/all-solid-state-batteries/
全固体電池は、現在のリチウムイオン電池と比べて様々なメリットがあります。EV用途では、トヨタ自動車とフォルクスワーゲン、BMWなどが、開発・実用化を積極的に進めています。
どの自動車メーカーも、電池の専業メーカーではありませんので、当該電池の開発・実用化は、他社とのオープンイノベーション;事業連携(アライアンス)を積極的に行う必要があります。
フォルクスワーゲンの場合、米シリコンバレーのスタートアップ、クアンタムスケープと組んで開発しています。BMWは、米スタートアップのソリッドパワーと組んでいます。
一方、トヨタはパナソニックとのオープンイノベーション;事業連携(アライアンス)により、全固体電池の開発・実用化を進めています。
パナソニックが全固体電池を開発・実用化するとき、素材メーカーとの協業が必要です。この素材分野では、国内企業が大きな競争力をもっています。
可能であれば、次世代電池である全固体電池の開発・実用化は、トヨタ、パナソニック、日産、素材メーカーなどのオープンイノベーション;事業連携(アライアンス)によるオールジャパン体制で実現されればと考えています。
これは、自動車産業が日本の屋台骨を支える事業分野の一つであることによります。オールジャパン体制での全固体電池の開発・実用化は、参加企業のオープンイノベーション;事業連携(アライアンス)への取組姿勢によります。
オープンイノベーション;事業連携(アライアンス)は、参加企業がイコールパートナーシップで実行できることと、全ての参加企業が「Win/Win」の関係構築が可能になることが、必要かつ重要になります。
オープンイノベーション;事業連携(アライアンス)成功のためには、どの企業がリーダーシップを取るかにもよります。私の今までの経験では、今まで、オープンイノベーション;事業連携(アライアンス)を実施してきた企業が、イニシアチブを取ることが成功するための条件の一つになります。
私は、国内自動車業界の中で積極的にオープンイノベーション;事業連携(アライアンス)を行っているトヨタの動きに注目していきます。
トヨタがオープンイノベーション;事業連携(アライアンス)を駆使して、全固体電池の開発・実用化に成功すれば、国内ベンチャー・中小企業にとって一つのテンプレートになると考えています。
ますます複雑化・多様化・迅速化が進む国内外の市場で、国内ベンチャー・中小企業が勝ち組なるためには積極的にオープンイノベーション;事業連携(アライアンス)を実行する必要があります。
トヨタのような巨大企業でも、1社単独で全固体電池の開発・実用化を行うことができません。今後の新規事業立上には、オープンイノベーション;事業連携(アライアンス)を積極的に採用していくことが重要になります。
オープンイノベーション;事業連携(アライアンス)は、単なるお仲間作りではありません。参加企業が明確な達成目的を共有して、お互いにハッピーになる「Win/Win」の関係構築がポイントになります。
オープンイノベーション;事業連携(アライアンス)のやり方については、今まで何度かブログ・コラムに書いてきました。
近い将来、オープンイノベーション;事業連携(アライアンス)のやり方については、別途新規にブログ・コラムで書く計画をもっています。
よろしくお願いいたします。
グローバルビジネスマッチングアドバイザー GBM&A 山本 雅暁
日経記事;『ホンダ、自動運転「レベル3」発売へ 世界初の認可』に関する考察 [何故アライアンスが必要なの?]
皆様、
こんにちは。
グローバルビジネスマッチングアドバイザー 山本 雅暁です。
11月11日付の日経新聞に、『ホンダ、自動運転「レベル3」発売へ 世界初の認可』のタイトルで記事が掲載されました。
本日は、この記事に関して考えを述べます。
本記事の冒頭部分は、以下の通りです。
『ホンダは11日、高度な自動運転の機能を搭載した「レベル3」の乗用車を2020年度中に国内で発売すると発表した。高速道路での走行時に視線を前方から離しても運転が可能な機能を、高級車「レジェンド」に搭載する。同日、国土交通省からの認可を得た。レベル3の車の実用化を国が承認したのは世界で初めて。自動運転車の普及に弾みがつきそうだ。。』
自動運転技術には、以下の5段階のレベルが定義されています。
・レベル1;システム側が速度かハンドルの制御を担う。残りの監視・対応は運転手が行う。
・レベル2;システム側が両方の制御を担う。「前後」と「左右」の監視・対応の両方をシステム側が担う。運転手がシステムを常に監督する。ADAS(先進運転支援システム)搭載が代表事例。
・レベル3;一定条件下において全ての運転操作をシステム側が行う。緊急時には運転手が運転操作を担う。レベル2との違いは、基本的にはシステム側の責任において全ての自動運転が行われることにある。
・レベル4;限定領域内で全てシステム側が自動運転の主体として責任をもつ。つまり運転手が運転操作に参加することは想定されていない。
・レベル5;制限なしに、全てシステム側が自動運転の主体として責任をもつ。つまり完全自動化になる。
今回、ホンダは世界で初めてレベルアップ3の自動運転車の開発・実用化に成功しました。レベルアップの実用化では、独アウディが2017年にAudi A8を市場に出しています。しかし、この機能を使うには、世界各国の規制変更が必要なため、実際にはレベル2の実用にとどまっています。
ホンダが日本でレベル3の実用化ができたのは、日本において、道路交通法と道路運送車両法の改正で、2020年月にレベ3が解禁されたことにあります。
国内自動車メーカーでは、トヨタ自動車や日産自動車も、当然の如くレベル3の開発・実用化を進めていますが、ホンダが先陣を切ったことになります。
ここ数年間、国内自動車メーカーの中では、トヨタの独り勝ち状態になっています。ホンダは、以前にはトヨタの汎用的な自動車に対して、シビックやアコード、プレリュードなどの個性的な自動車を市場投入して、独自なスタンスをもっていました。
しかし、ここ数年間、ホンダはトヨタの後塵を拝してきました。ホンダが、世界で初めてレベル3の自動運転車を、市場投入することは大きな意義があります。
ホンダは、10月10日に「将来のカーボンニュートラル実現に集中し取り組んでいくために、今回、F1への参戦を終了するという判断をしました」と発表しました。文面通りに受け止めると、今後、ガソリンエンジン車の開発・実用化に大きな経営投資を行わないことになります。
これは、欧州や中国がCO2の排出量削減を国家目標に据えて、電気自動車(EV)の普及に邁進していることや、現在の日本の政権が2050年までにCO2排出量の大幅削減を目標に置いたこと、米国の次期大統領が同様に大胆なCO2排出量削減策を発表している世界情勢が影響していると考えています。
また、何度か本ブログ・コラムで書いていますように、グーグルなどの米大手IT企業が自動運転機能付EVの開発・実用化を強力に進めており、トヨタの経営者が100年に1度の大変革期にあると発言しています。
自動運転機能付EVの開発・実用化は、既存の自動車メーカーだけでなく、テスラモーターズのようなEVに特化したメーカーやIT企業など、多くの企業が参入しています。
恐らく、ホンダはトヨタと同じような危機感をもっており、この新しい事業環境下で積極的な手を打っていく覚悟を決めたのだと考えています。
また、CO2排出量削減策の観点からは、EVだけでなく水素燃料電池車の開発・実用化も進めていく必要があります。
自動運転技術については、グーグルが2018年12月、セーフティドライバーが同乗する形での自動運転タクシーサービスを有償で開始しています。さらに、2020年10月にはセーフティドライバーなしでのサービス提供も一般向けに一部で開始ししました。
中国ではネット検索大手の百度(バイドゥ)が2020年9月、中国・重慶で自動運転レベル4搭載のバスを中国で実用化しました。このように、世界の企業がレベル4や5の開発・実用化を進めています。
このような事業環境下で、ホンダが勝ち残っていくには、自動運転機能付の環境対応車(EVや水素燃料電池車)の開発・実用化を進めていく必要があります。
ホンダも、トヨタと同じように、1社単独ではこの新規事業立上を行うことは、不可能です。必然的に、ホンダは、オープンイノベーション;連携・協業(アライアンス)を積極的に行うことになります。
トヨタは、すでにオープンイノベーション;連携・協業(アライアンス)に邁進しています。ホンダが今後、どのような形でオープンイノベーション;連携・協業(アライアンス)を実行していくか注目していきます。
ホンダの動き方も、トヨタと同じように、ベンチャーや中小企業にとってオープンイノベーション;連携・協業(アライアンス)実施の参考事例になると考えていることによります。
よろしくお願いいたします。
グローバルビジネスマッチングアドバイザー GBM&A 山本 雅暁
日経記事;『「EV、車産業に価格競争」 世界経営者会議で日本電産会長』に関する考察 [何故アライアンスが必要なの?]
皆様、
こんにちは。
グローバルビジネスマッチングアドバイザー 山本 雅暁です。
11月11日付の日経新聞に、「EV、車産業に価格競争」 世界経営者会議で日本電産会長のタイトルで記事が掲載されました。
本日は、この記事に関して考えを述べます。
本記事の冒頭部分は、以下の通りです。
『第22回日経フォーラム「世界経営者会議」(主催=日本経済新聞社、スイスのビジネススクールIMD、米ハーバード・ビジネス・スクール)が10日、都内の帝国ホテル東京で開幕した。日本電産の永守重信・会長兼最高経営責任者(CEO)は「電気自動車(EV)の普及で、車産業は価格競争が起きる」と指摘。日本の自動車メーカーにも柔軟な対応を求めた。。。』
米国では大統領選挙がほぼ終わり、民主党の新大統領が誕生する見込みです。現在の大統領は、地球環境問題について関心がありませんが、新大統領は大きな関心をもっており、気候変動への対応を柱の一つに置いています。
また、日本の現政権は「2050年までに温室効果ガス実質ゼロ」を表明しています。欧州や中国も同様な環境対応を打ち出しています。
その中国では、国策として電気自動車(EV)の開発・実用化と、水素燃料関連技術の開発・実用化を加速させています。
地球温暖化対策の切札となりますのは、二酸化炭素(CO2)排出量削減です。自動車の分野では、CO2排出を抑える切り札は、EVになります。しかし、EVは搭載される電池の製造過程で排出されるCO2が多いとの指摘があり、必ずしもトータルな意味での環境対応車とは言えないようです。
究極の環境対応車と言われるのは、水素燃料電池車になります。現在、標準的なガソリンエンジン車を使用している一般的なユーザーが、手ごろな価格で水素燃料電池車を購入できるのは、水素ステーションの普及も含めて、まだ先になりそうです。
従って、各国政府は当面の環境対応車として、EVの普及促進を進めることになります。EVの主要部品は、製造コストの視点からは電池になります。日本電産の永守さんは、EVの主要部品としてモーターと電池を挙げています。
EVの特徴は、ガソリンエンジン車と比べて自動車の構造がシンプルであることです。このことは、EVについては現在の自動車メーカーの強みの一つとなっている、ガソリンエンジン車の開発・製造ノウハウがほとんど必要ないことを意味しています。
つまり、既存自動車メーカー以外の企業が、EVの開発・実用化を進めることができます。米国のIT巨大企業であるグーグルが、開発・実用化を進めています自動運転機能付EVの開発・実用化がそれにあたります。
EVのハードウェアは、将来、動くパソコン、あるいはタブレット端末のような位置付けになると考えています。
上記永守さんの発言は、その前提でEVハードウェアの製造コストは安くなり、EVの販売価格は、現在の1/5になると言われていると考えます。
多分、トヨタ自動車のトップは、永守さんと同じ理解をEVに対してもっていると考えます。豊田さんは、現在の自動車業界を、100年に1度の大変革期であると理解しており、まだ余力があるうちに、いろいろな対応を行うとしています。
トヨタは、Connected(コネクティッド)、Autonomous/Automated(自動化)、Shared(シェアリング)、Electric(電動化)といった「CASE」と呼ばれる新しい領域で技術革新が進む中、クルマの概念は大きく変わるので自ら自己変革を起こしています。
現時点でのEVの覇者は、EVの専業メーカーである米テスラモーターズです。テスラモーターズは、米国や中国市場でEVの売上を大きく伸ばしています。
トヨタが、今後、グーグルやテスラモーターズなどの新規競合企業との競争にどのような対応をしていくのか、大きな関心をもって見ています。
自動運転などの多機能のEV分野では、トヨタは1社単独で事業展開をできません。必ず多くのプレイヤーを巻き込んだオープンイノベーション;連携・協業(アライアンス)が必要になります。
トヨタが、今後他社とのオープンイノベーション;連携・協業(アライアンス)を巧みに活用して、自動車ビジネスを維持発展させて行くのか、注目しています。
よろしくお願いいたします。
グローバルビジネスマッチングアドバイザー GBM&A 山本 雅暁
日経記事;『未来の車、新素材で軽く 環境負荷低減に一役大王製紙は植物由来 帝人は樹脂で』に関する考察 [何故アライアンスが必要なの?]
グローバルビジネスマッチングアドバイザー 山本 雅暁です。
11月10日付の日経新聞に、『未来の車、新素材で軽く 環境負荷低減に一役大王製紙は植物由来 帝人は樹脂で』のタイトルで記事が掲載されました。
本日は、この記事に関して考えを述べます。
『未来の車に向けて、化学や製紙各社が新素材の開発を急いでいる。鋼板やガラスを植物繊維や樹脂に置き換え、車体を軽くする軽量化につなげる。環境への負荷の低減には電気自動車(EV)など動力の改善だけでなく、軽量化も不可欠だ。2040年に車体材料に占める非金属素材の比率は現在の数%から15%になるとの試算もある。』
国内の製造業界で、素材産業は自動車と並んで日本経済を支える柱の一つとなる重要な事業分野です。
幸い、これまで国内素材産業は、世界市場で強力な競争力を持ってきました。
一般的に新規素材の開発・実用化は長期間を要するため、腰を据えて行う企業しか実現することができません。国内の素材メーカーは、長期間を要する新素材の開発・実用化に向いた経営を行ってきました。
この経営のやり方は、日本企業が伝統的に持っているユニークさであり、強みの一つになります。
以前、大きな競争力を持っていたAV家電メーカーは、アップルなどの米大手IT企業に駆逐されてしまいました。
これは、国内の家電メーカーが、米大手IT企業が仕掛けた、急速に既存事業基盤を急速に破壊・再構築するやり方に対応できなかったことによります。
今、米大手IT企業の一つであるグーグルが、自動運転機能付EVの開発・実用化で、既存自動車産業の基盤を、急速に破壊・再構築を行うとしています。
トヨタは、この動きに大きな危機感を持っており、かっての強みの源泉であった自前主義の垂直統合方式を止めて、急速にオープンイノベーションのやり方を取り入れて、自動運転機能付EVの開発・実用化に邁進しています。
国内の自動車メーカーの中で、トヨタは上述のようにオープンイノベーションのやり方を取り入れて動いていますが、日産やホンダの動き方が、以前と変わらい方法で経営しているように見えています。
自動車産業は、国内経済の柱でありますので、日産やホンダの動き方に、大きな関心を持っています。
一方、国内素材産業は、今までIT化の大波にさらされてきませんでした。しかし、今後、新規素材の開発・実用化は、創薬分野と並んで、ITの動きに大きな影響を受けます。
特に、AI(人工知能)が、新規素材の開発・実用化や、創薬の開発・実用化に積極的に活用されつつあります。
これらの分野では、現在、スーパーコンピューターが使われています。最近、量子コンピューターの開発・実用化が急速に進んでいます。
現時点では、量子コンピューターはまだ実用化されていませんが、ここ3~4年で、新規素材の開発・実用化や創薬のような、用途が限定された分野で、実用化が急速に進んでいます。
量子コンピューターや関連アプリケーションソフトウエアが、一般企業で使われるようになりますと、東レ、帝人、日本製紙、大王製紙などの素材メーカーに大きな影響を与えます。
つまり、上述しました国内素材産業は、IT・AIを駆使して、より短期間に新規素材の開発・実用化を行わないと、海外企業に先行されるリスクがあります。
東レや帝人などが、長期間多額の資金を投じて、開発・実用化にこぎつけた炭素繊維は、国内素材産業の強さの良い事例になります。
しかし、今後の新規素材の開発・実用化は、IT・AIをフル活用して、オープンイノベーションのやり方をより積極的に取り入れていかない海外企業に先行される可能性があります。
本日の記事にありますEV用途の素材の開発・実用化は、軽量化・耐久性・加工のしやすさ・低コスト化・環境負荷低減などの多面的な視点から、短期間に行うことが求められます。
日本の素材産業は、今までの強みの源泉である垂直統合方式での開発・実用化のみに執着しないで、競合他社の動きなどを見ながら、状況に応じてオープンイノベーションのやり方を取り入れる柔軟性が求められます。
たとえば、新規素材の開発・実用化に特化した量子コンピューターと関連するアプリケーションソフトウエアの実用化は、そう遠くないとの印象を持っています。
このような視点から、今後の国内素材メーカーの動き方に注目していきます。
よろしくお願いいたします。
グローバルビジネスマッチングアドバイザー GBM&A 山本 雅暁
日経記事;『トヨタ、次世代車主導へ貪欲に 移動連合にマツダやスズキなど5社 基盤固め急ぐ』に関する考察 [何故アライアンスが必要なの?]
こんにちは。
グローバルビジネスマッチングアドバイザー 山本 雅暁です。
6月29日付の日経新聞に、『トヨタ、次世代車主導へ貪欲に 移動連合にマツダやスズキなど5社 基盤固め急ぐ』のタイトルで記事が掲載されました。
本記事の冒頭部分は、以下の通りです。
『トヨタ自動車は、自動運転を見据えた移動サービスで主導権を握る体制づくりを急ぐ。28日にはソフトバンクとの移動サービスの新会社にマツダやスズキなど5社が出資すると発表し、中国のインターネット検索大手の百度(バイドゥ)が進める自動運転の開発連合にも参画することが明らかになった。自動車業界のプラットフォーマーを目指し、幅広く企業と組みリードを狙う。』
トヨタの次世代自動車事業環境への積極的な対応については、本ブログ・コラムで何度か書いています。
トヨタの事業展開のやり方は、典型的なオープンイノベーションになります。オープンイノベーションは、他企業との協業・事業連携(アライアンス)そのものです。
トヨタは、どの企業や団体とも、出資によりアライアンスに対するコミットメントをしつつ、イコールパートナーシップで実行しています。
次世代自動車は、現時点では自動運転機能付EVの開発・実用化になります。この次世代自動車には、今までトヨタが競争してこなかった米大手IT企業、具体的にはグーグル、アップル、アマゾンが積極的に参入してくることです。
米大手IT企業の事業展開のやり方は、既存事業基盤を急速に破壊・再構築して、自社に有利なプラットフォームを構築することです。
日本の家電AV事業は、米大手IT企業にほぼ完全に負けた形になっています。トヨタは、この家電業界の競争結果をよく見ています。
既存のガソリンエンジン車中心の自動車業界は、ある種かっての家電業界以上に、ハードウェア中心であり、今まで垂直統合方式で競争力を維持強化してきました。
垂直統合方式は、商品の開発・実用化・製造・販売までを、一気通貫で行うことにより、競争相手を圧倒するやり方です。
既存の自動車メーカー同士の競争は、お互いに垂直統合方式での戦いで済んでいました。
しかし、オープンイノベーションのやり方で、急成長してきた米大手IT企業との競争は、トヨタにとって今まで経験したことのない土俵で勝負することになります。
トヨタが米大手IT企業との競争に打ち勝つには、必然的にオープンイノベーションのやり方を積極的に取り入れて、戦う必要があると認識していますので、今回の記事にあるような動きをしています。
また、将来の自動車市場自体が、現在の主力になっている「所有」か「共有、シェアリング」の形態に変化する可能性があります。
この動きが現実化しますと、自動車市場の規模が縮小します。ハードウェアの販売のみに頼っているビジネスモデルでは、収益確保・拡大が見込めなくなります。
例えば、アップルは、iPhoneの加速度的普及台数に陰りが見えていますので、iPhone、 iPad、 MacPCのハードウェアをプラットフォームにして、アプリケーションソフトやデジタルコンテンツなどの、ライセンス収入を主な収益源にするビジネスモデルに変えつつあります。
トヨタが目指すのは、本記事に書かれていますように、次世代の移動サービス「MaaS」の分野での「プラットフォーマーとしての存在」です。
このトヨタの事業展開のやり方が収益源になるかどうかは、オープンイノベーションのやり方の巧みさに依存します。
現在までのトヨタの動き方は、ほぼすべきことをきちんとやっていると考えます。
このトヨタの事業展開のやり方は、中小企業がオープンイノベーションを実行する時の良い参考事例になります。
私がトヨタの動き方に注目しているのは、上記理由によります。2020年は、トヨタにとって大きな勝負の年になります。
今後のトヨタの動きに、注目していきます。
よろしくお願いいたします。
グローバルビジネスマッチングアドバイザー GBM&A 山本 雅暁
日経記事;『自動車産業にCASEの重圧 直近ピーク比、時価総額57兆円減』に関する考察 [何故アライアンスが必要なの?]
こんにちは。
グローバルビジネスマッチングアドバイザー 山本 雅暁です。
4月21日付の日経新聞に、『自動車産業にCASEの重圧 直近ピーク比、時価総額57兆円減』のタイトルで記事が掲載されました。
本記事の冒頭部分は、以下の通りです。
『自動運転など新しい技術の潮流「CASE(ケース)」が、世界の自動車産業を揺さぶっている。ソフトウエアなど不慣れな領域で投資・開発の負担が膨らみ、IT(情報技術)大手など異業種との競争も激化する。「100年に一度の大変革期」に突入した自動車産業。投資マネーは離散し、自動車株の時価総額は2018年1月の直近ピーク比で約57兆円(21%)減少した。。。』
これは、今までの自動車産業の歴史の中で、大きな転換期が起こりつつあることによります。
自動車産業は、日本経済を支える重要な事業分野です。もし、トヨタ、ホンダ、日産などの大手国内自動車メーカーが、自動運転機能付EVの開発・実用化に後れを取ると、国内経済基盤は、大きな打撃を受けます。
私は、特にトヨタが高い危機感をもって、この荒波に立ち向かおうとしている姿勢に共感をもっています。
トヨタは、現時点では大きな事業収益を確保していますので、この事業環境下で、多額の投資を行って、他業界の企業と事業連携(アライアンス)・協業を行うことにより、自動運転機能付EVの開発・実用化で先陣を切ろうとしています。
トヨタに対する次世代自動車の競争先は、GMやベンツなどの既存自動車メーカーではなく、グーグルに代表される巨大IT企業になります。
これらの巨大IT企業は、今まで既存事業基盤を急速に破壊・再構築してきました。
現在、その主戦場が自動車産業になっています。
自動運転機能は、インターネット・IT・人工知能(AI)・IoTなしには実現できません。
電気自動車(EV)の開発・実用化には、既存のガソリンエンジン車のノウハウや強みを発揮できません。
既存ガソリンエンジン車は、かっての国内家電メーカーが作っていたテレビやVTRなどと同じ、アナログ技術が支えています。
自動運転機能付EVの開発・実用化には、デジタル技術が必要不可欠であり、この分野は、グーグルなどに代表される米大手IT企業の独壇場になっています。
トヨタは、このデジタル技術を巨額投資と他企業との事業連携(アライアンス)・協業で獲得して、グーグルなどの米大手IT企業に対抗しようとしています。
私は、このトヨタの動きに大いに期待しています。トヨタが、オープンイノベーション;水平分業方式のやり方≪他企業との事業連携(アライアンス)・協業≫で成功すれば、中小を含めた国内企業にとって、大変良い参考事例になることによります。
オープンイノベーション;水平分業方式のやり方≪他企業との事業連携(アライアンス)・協業≫の実行には、一般的に大きな資金負担は生じません。
トヨタの場合は、短期間にデジタル技術のノウハウ獲得や、新規事業分野を行う必要がありますので、開発投資や出資などを積極的に行う必要があります。
オープンイノベーション;水平分業方式のやり方≪他企業との事業連携(アライアンス)・協業≫を有効に行うには、当該プロジェクトを実行する社員は、チーム運営能力やノウハウ、あるいはコミュニケーション能力などをもつ人々を選んで行う必要があります。
今まで他社との事業連携(アライアンス)・協業を行った経験がない企業が、いきなり当該プロジェクトを実行しても、上手く行きません。
今後、多くの中小を含む国内企業は、国内だけでなく、米欧アセアンなどの海外地域で、事業化や販路開拓・集客を行う必要があります。
このような事業環境下で、大きな資金負担を行わないでビジネスを行うやり方の一つに、、オープンイノベーション;水平分業方式のやり方≪他企業との事業連携(アライアンス)・協業≫があります。
私は、ときどき企業から要請を受けて、当該企業の社員に、他企業との事業連携(アライアンス)・協業のやり方を、教育訓練しています。
また、先日(4月8日)に、日本テクノセンターのご依頼により、「共同研究・開発の進め方と技術アライアンス成功のポイント ~演習付~」のセミナー講師を務めました。
トヨタが、オープンイノベーション;水平分業方式のやり方≪他企業との事業連携(アライアンス)・協業≫を徹底的に有効活用してグーグルなどの米大手IT企業に対抗できれば、多くの国内企業にとってとっても良い参考事例になります。
私は、今後ともトヨタのオープンイノベーション;水平分業方式のやり方≪他企業との事業連携(アライアンス)・協業≫のやり方を、注目していきます。
よろしくお願いいたします。
グローバルビジネスマッチングアドバイザー GBM&A 山本 雅暁
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日経記事;『アマゾン、自動運転参入 米スタートアップに投資 成長鈍化、次の手探る』に関する考察 [何故アライアンスが必要なの?]
こんにちは。
グローバルビジネスマッチングアドバイザー 山本 雅暁です。
2月9日付の日経新聞に、『アマゾン、自動運転参入 米スタートアップに投資 成長鈍化、次の手探る」のタイトルで記事が掲載されました。
本日は、この記事に関して考えを述べます。
記事の冒頭部分は、以下の通りです。
『米アマゾン・ドット・コムは7日、自動運転で有力なスタートアップ企業として知られる米オーロラに出資し、同市場に参入した。ネット通販など主力の北米事業では、ライバルの巻き返しで逆風が吹く。大手IT(情報技術)では既に米グーグルや米アップルが自動運転を手掛ける。アマゾンも自動運転を射程に入れ、データの蓄積などを通じて自社サービスを向上するなど、次なる成長機会を探りたい狙いだ。。。』
今まで、米アマゾンは自動運転機能付自動車産業に入ってくることが噂になっていました。
今回の米アマゾンが、投資を決めたオーロラは、以下のような企業です。
https://aurora.tech/
設立者は、グーグル自動運転部門の元最高技術責任者(CTO)、Uberの自動運転部門出身の機械学習のエキスパート、テスラの「オートパイロット」開発チームの主要メンバーが中心となっています。
この企業の事業目的は、人間の介入を必要としない完全な自動運転技術を実現すること、つまりレベル4および5の実現です。
・自動運転レベル4 :特定の場所でシステムが全てを操作する。
・完全自動運転レベル5 :場所の限定なくシステムが全てを操作する。
このオーロラの技術は、先行しているグーグルに対抗できるものになるとの予測もあります。
アマゾンがオーロラに投資することは、自動運転車の開発・実用化に名乗りをあげたことになります。
アマゾンは、グーグルと同じように、自動車メーカー自体になる計画をもっていないと考えます。
アマゾンは、当面、グーグルと同じように、インターネット出口端末を増やして、インターネット通販利用数の拡大を行うとともに、インターネット通販顧客への自動配送網の構築などの実現を目指すとみています。
更に、自動運転車の普及は、人工知能(AI)・IoT活用の機会が増えますので、アマゾンのクラウドサービス(AWS)の拡大にも寄与します。
また、アップルも自動運転車の開発・実用化研究を進めています。
この結果、今後の自動運転車の開発・実用化は、当面の間ますます、複雑化しつつ競争が激化していきます。
この複雑な事業環境下で、勝ち組になるためには、他社とのオープンイノベーション:他社との協業・連携(アライアンス)を、如何に高効率に行うかが重要な要員の一つになります。
現時点では、グーグルは欧米のフィアット・クライスラー、ジャガー、日産・三菱と連携・協業(アライアンス)しています。
インテルは、先ごろ独BMWや米フォードとの連携・協業(アライアンス)を行うようになっています。
トヨタの事業環境は、複雑さを増しており、グーグル、アマゾン、アップルの米大手IT企業との熾烈な競争になっています。
トヨタには、オープンイノベーションのやり方をさらに徹底して行い、自社のコアの強みを最大化しつつ、戦い抜く必要があります。
今後も、日米欧の自動運転車の開発・実用化の動きに注目していきます。
よろしくお願いいたします。
グローバルビジネスマッチングアドバイザー GBM&A 山本 雅暁
日経記事;『ビジネスTODAY後発トヨタ、陣営作り急ぐ 自動運転技術を公開 グーグル系を追う』に関する考察 [何故アライアンスが必要なの?]
こんにちは。
1月9日付の日経新聞に、『ビジネスTODAY後発トヨタ、陣営作り急ぐ 自動運転技術を公開 グーグル系を追う』のタイトルで記事が掲載されました。
本日は、この記事に関して考えを述べます。
本記事の冒頭部分は、以下の通りです。
『自動運転技術のデファクトスタンダード(事実上の標準)を巡る争いが激しくなってきた。トヨタ自動車は7日、開発中の運転支援システム「ガーディアン」を外販する考えを示した。未完成の中核技術の開放を明らかにするのは異例。自動運転技術で出遅れ気味のトヨタは、リードするグーグル系のウェイモの前にシステムの外部提供に踏み切り、自社技術を使う企業の囲い込みを急ぐ。。。』
このガーデニングの技術内容を発表・説明したのは、Toyota research Institute, Inc.(トヨタ・リサーチ・インスティテュート、TRI)のトップです。
TRIは、2016年にトヨタが巨額投資を行ってアメリカのシリコンバレーに設立した、インターネット・IT・人工知能(AI)・IoT対応の大型研究拠点です。
TRIは、言わばトヨタの自動運転技術の開発・実用化を行う米国内の拠点になります。
今後、トヨタは、自動運転機能付EVの開発・実用化で、米大手IT企業のグーグル(ウェイモ)と激しい競争を戦い抜く必要があります。
トヨタがグーグルとの激しい競争を勝ち抜くには、何度か本ブログ・コラムで書いていますように、従来の1社単独で行ってきた垂直統合方式の開発・実用化のやり方ではなく、オープンイノベーションを有効に活用するやり方で、開発・実用化を行う必要があります。
今回のTRIの発表は、他社とのオープンイノベーションを具体化するやり方の一つになります。
ガーディアンは、自動運転技術のプラットフォームになります。TRIは、このガーディアンを、現時点では、他社に有償で提供することを発表しました。
トヨタは、このガーディアンを自動車業界に広めることで、グーグルが行おうとしている自動運転技術のプラットフォーム提供に対抗する狙いがあります。
グーグルは、何度か本ブログ・コラムで書いていますように、決して自動車メーカーになる経営意図はもっていません。
グーグルは、欧米フィアット・クライスラー・オートモービルズ(FCA)と連携・協業(アライアンス)を行うことにより、ハードウェア製品である自動車本体を確保します。
グーグルは、スマートフォンのプラットフォームであるOSのアンドロイドを、無償で提供することにより、スマートフォンOSのプラットフォーマーになっています。
グーグルは、この立場を利用して、自社の検索エンジン、翻訳エンジン、地図情報サービスなどのアプリケーションソフトを無料で提供して、企業が行うインターネット広告宣伝収入を稼いでいます。
グーグルが自動運転機能付EVの開発・実用化を行っているのは、自動運転車のプラットフォームになるOSを自社のものにすることで、スマートフォンと同じように動く電子端末機器化することにあります。
グーグルが自動運転車に適用するビジネスモデルは、スマートフォンと同じです。
トヨタの社長は、このグーグルの動きに、深刻な危機感をもっています。これは、グーグルやアップルなどの米大手IT企業が、行ってきた既存事業基盤を急速に破壊・再構築する動きをみていることによります。
自動運転車の市場をグーグルが支配した場合、トヨタなどの自動車メーカーは、単なるハードウエアの供給者になります。
今後、自動運転車は、EVが主流になると見込まれますので、現在のガソリンエンジン車の強みは、生きません。
国内の自動車産業は、日本経済の大きな柱の一つです。この自動車産業が、過去に日本のAV家電商品と同じように、米大手IT企業との競争に負けると、その影響は計り知れないものになります。
この視点から、今回、トヨタが打ち出したオープンイノベーションの施策が、広く受け入れらるようにする必要があります。
このオープンイノベーションの実行部隊がTRIであれば、ガーディアンが自動運転車のプラットフォームになる確率が高くなります。
TRIは、米国の優秀なIT技術者達で運営されており、言わば、米国のIT企業になります。
トヨタ本社は、TRIにFull Autonomy(完全な自治権)を与えて、このプラットフォーマー化を推し進めるのが、成功のカギになります。
トヨタの今後のオープンイノベーションのやり方に注目していきます。
よろしくお願いいたします。
グローバルビジネスマッチングアドバイザー GBM&A 山本 雅暁