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8.ライセンス契約のポイント [各種契約行為のポイント]

                            2006年12月22日

今回は、ライセンス契約の中の (7)保証条項 について述べます。

保証条項は、端的に言いますとライセンサーが、特許やノウハウの実施許諾をライセンシーに与える時に、保証しない事項を記述し、ライセンサーの立場をまもるためのものです。

例えば、無償のソフトウエアをWebサイトからダウンロードしようとすると、供給先から当該ソフトウエアについて制限保証に対する"同意"を求められます。

以下のような内容が出ていると思います。

””XXソフトウエアは、一切の保証または条件を伴わずに現状で使用許諾されるものとし、本ソフトウエアのもたらす成果や機能についてのリスクはすべて購入者に負担していただきます。
本ソフトウエアの使用、及びその成果の的確性、正確性、信頼性または最新性等に関して、いかなる明示または黙示の担保責任も負担しません。 など””


上記の例の場合は、お客さんが無償ソフトウエアを使用する場合、そのソフトウエアを使用する時に、不具合や色々な問題が発生したとしても、お客さん側で全て自己責任で行って下さい、と言っているわけです。

無償ソフトウエアの場合、一般的には無償だから"しょうがないかと"と言うことになりますね。


しかし、通常のビジネスでは、ライセンス契約は有償で締結されますので、上記
無償ソフトウエアのように”しょうがない”ではすまされません。

ライセンス契約を締結する場合、ライセンサー、ライセンシーの双方が納得のいくまで確認して、保証条項の内容をきちんと契約に盛り込む必要があります。

例えば、ある特許をライセンスする場合、ライセンサーは特許の実施許諾をするに際し、ライセンシーが当該特許を使って実施する時に、第三者の特許やパテントなどの知的財産の実施を必要としない事を保証しない、旨制限をかけます。

これは、第三者がライセンシー当該特許やノウハウを実施する時に、必然的にうちの特許を使う必要があるので、ライセンス料を払いなさい、或いは、実施の指し止めを要求されたとしても、ライセンサーの責任ではないので、ライセンシーが解決しなさい、と言っています。

 

どのような保証条項を入れるかは、ライセンサーとライセンシーの力関係により決まる事もあります。

ライセンシー側の立場で考えますと、実施許諾される特許などに関して第三者からクレームが入りそうな感じがする場合、ライセンサーに有利な保証条項の撤廃や緩和を要求する必要があります。

どうしてもライセンサーとの条件設定が上手く行かず、リスクが高いと判断する
場合、ライセンス契約を結ばない、選択肢も考える必要があります。

 

又、第三者が当該特許に対して侵害しているとクレームする場合への対処方法、内容も保証条項の大きな一つになります。

通常、ライセンサーの立場で考えますと、ライセンシーが特許侵害などで告訴されたりしましと、莫大な費用発生が伴う事になりますので、基本的なライセンサーのスタンスは、制限保証を設けてライセンシー側で対応しなさい、と言う事になります。

但し、ライセンシー側はこれではたまりませんので、当然のごとく、第三者から特許侵害のクレームがあった場合の保証を求めます。

この条件設定は、ライセンス契約交渉の中でも難しい一つになる事がたびたびあります。
この時、私の経験では、ライセンサーが最大限金額面で保証出来る範囲は、当該ライセンス事業からのライセンス収入の上限までだと考えています。

もし、ライセンシーが無制限の保証を強く求めてきて譲歩を引き出すのが難しい場合、リスクが高いと判断する時は、先に述べましたようにライセンサーはライセンス契約を結ばない決断も必要になります。

 

次回は、(8)契約期間条項 について述べます。

 

今回の記事について、ご関心或いはご質問がある方は、私まで下記アドレスにeメールにてご連絡下さい。

 bzsupmy@nna.so-net.ne.jp

私は、すぐにはご回答出来ない場合もありますが、24時間以内にはご連絡します。

よろしく御願いします。

以上、


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