日経記事;『クボタ、小型建機1兆円に 巨人との競合避けて天下取り』に関する考察 [新規事業開拓・立上]
皆様、
こんにちは。
グローバルビジネスマッチングアドバイザー 山本雅暁です。
3月28日付の日経新聞に、『クボタ、小型建機1兆円に 巨人との競合避けて天下取り』のタイトルで記事が掲載されました。
本記事の冒頭部分は、以下の通りです。
『クボタは米国のCTL需要の急増に対応し、2022年に稼働したカンザス州の新工場に追加投資している。クボタの建設機械事業が成長している。米国のインフラ投資を追い風に2023年12月期の建機売り上げは6000億円を超え、5年以内の1兆円達成が目標だ。けん引役は独自開発の小型建機。米キャタピラーなど大手との正面からの勝負を避けつつ、市場を開拓する。農機にも共通する、小兵ならではの生き残り戦略が奏功している。。。』
この記事の内容は、ベンチャー・中小企業が海外市場で新規事業を立ち上げる際の参考になります。
ベンチャー・中小企業は、海外市場で新規事業を立ち上げる時、中堅・大手企業が参入しないニッチ市場で、自社の差別化・差異化可能な技術やサービスを提供して、高いシャアを獲得するやり方が王道です。
ニッチ市場と言えども、競合企業が魅力を感じれば必ず参入してきます。この後で参入する企業との競争に勝つには、自社の商品やサービスが強みをもっていることが必要です。
自社の強みと海外市場のニーズをマッチングさせる方法について、以下の通り概説します。
1. 自社の強みを明確にする。
独自の技術、商品、サービス、顧客との関係など、自社の強みを具体的にリストアップします。
競合企業と比較して、自社がどのような点で優れているのかを明確にします。この時、競合企業の商品やサービスなどの特徴や強みは、下記のやり方で調査、確認します。
・競合企業のWebサイト、商品やサービスのカタログなどからの情報収集
・可能であれば、国内外の展示会に出席や出展を行って、関連情報を収集
・競合企業の商品やサービスに関して掲載されたBlogやSNS上の記事情報、など
このようにして集めた情報から、自社商品やサービスの強みが、どのような顧客ニーズを満たすことができるのかを検討、考察します。
2. 海外市場のニーズを調べる。
調べる前に、調査目的を明確にします。調査目的を明確にすることで、必要なデータを効率的に収集することができます。
調査目的を明確にする際には、以下の点を検討します。
・調査対象市場・顧客は何か
・調査したい内容は何か
・調査結果をどのように活用するのか、など
たとえば、自社新商品やサービスの海外輸出を検討している場合、以下の目的が考えられます。
・対象国や地域の社会的、政治的、経済的状態
・対象市場規模や成長性
・競合他社の動向
・競合商品の強み・弱み
・消費者のニーズ
・自社商品の強み・特徴が競合商品に勝てるか
・自社商品の強み・特徴が消費者のニーズに合うか
・競合商品の販路
・競合商品の保守サービス
3.調査目的を明確にすると共に仮説を作成します。仮説とは、調査によって検証したい事柄です。仮説を作成することで、調査の方向性を定めることができます。通常、仮説は3つくらい作成します。
調査の結果、第1の仮説検証が上手くいけば、事前に作成した行動計画に従って行動を起こします。この仮説検証が上手くいかなければ、第2、第3の仮説を検証します。
4.ターゲット市場の顧客ニーズ、市場規模、競争状況などを調査します。一般的な情報源としては、下記のものがあります。
・JETRO 海外市場調
https://www.jetro.go.jp/reportstop/reports/fdi/f-trend/
・国際貿易センター(ITC)貿易統計:
https://intracen.org/resources/data-and-analysis/trade-statistics
・世界の統計 **/総務省統計局 統計研修所
https://www.stat.go.jp/data/sekai/index.html
・JETRO貿易投資報告**/ 62カ国・地域の経済、貿易
https://www.jetro.go.jp/world/gtir/
・その他、各国の統計局データ: 各国の政府機関が提供する統計データ、など
上記の情報源は、一般的な統計データです。さらに詳しく調べるためには、上記しましたように、競合他社のWebサイトや、Google検索エンジンからの情報収集が必要になります。ここでは、収集の仕方の詳細は割愛します。
詳細についてご関心がある方は、2024年3月1日に発行されました月刊 近代中小企業『KinChu』に掲載されています、第4回『「中小企業による海外市場調査の基本②」』をご覧ください。
5. 仮説検証を行う。
収集した情報やデータから、3項で作成した仮説の検証を行います。第1の仮説検証が上手くいかない場合、第2、第3の仮説を順次検証します。
6. 仮説検証が上手くいったら、仮説に基づいて新規事業立上のための事業計画を立案、実行します。この事業計画は詳細に作る必要はなく、行動計画を主体に作成します。
行動計画計画に沿って、小コストで行う試作品作成やテストマーケティングを行います。
7.試作品やテストマーケティングなどの結果に基づいて、行動計画に書かれた新規事業立上を本格的に実行するかどうか決定します。
以上です。
概説的な情報になりますが、海外で新規事業立上を考えているベンチャー・中小企業のご参考になれば幸いです。
よろしくお願いいたします。
グローバルビジネスマッチングアドバイザー GBM&A山本雅暁
日経記事;『稼ぎ頭、輸出から投資に 海外収益の国内還流は弱く』に関する考察 [海外市場・販路開拓]
皆様、
こんにちは。
グローバルビジネスマッチングアドバイザー 山本雅暁です。
3月27日付の日経新聞に、『稼ぎ頭、輸出から投資に 海外収益の国内還流は弱く』のタイトルで記事が掲載されました。
本日は、この記事に関して考えを述べます。
本記事の冒頭部分は、以下の通りです。
『海外とのモノやサービスなどの取引状況を示す国際収支統計の構造が変わっている。海外投資に伴う収益が海外で再投資され日本に戻っていない。海外のIT(情報技術)大手が提供するサービスの利用も増えデジタル関連の赤字も目立つ。構造変化に応じた政策の必要性が高まっている。。。』
本記事の中に、「2010年までは輸出から輸入を差し引く貿易収支の黒字が柱だった。11年以降は貿易赤字が増え、海外投資に伴う利子などの収支の第1次所得収支が黒字の中心となった。日本は輸出で稼ぐのではなく、投資で稼ぐ構造に移った。」と書かれています。
確かに、中堅・大手企業の場合、製造業で見ますと多くが製造拠点を海外に移して、現地で生産し・現地で販売するビジネスモデルを構築・強化しました。
当然のごとく、日本の輸出に依存した貿易収支は、悪化します。
中小企業の場合、一部は中堅・大手企業に追随して、海外に製造拠点を移しました。多くの中小製造事業は、国内に製造拠点をもって事業しています。
一方、国内の中小企業は、収益拡大を実現していくうえで、国内市場の市場縮小の壁にぶつかりつつあります。
国内市場は、市場規模の中核となる15歳から64歳までの生産年齢人口の大幅減少により、縮小の一途をたどっています。生産年齢人口の減少については、総務省が公開しています下記Webサイトをご覧ください。
中堅・大手企業は、海外に拠点を移して、現地で事業拡大ができます。多くの中小企業は、同じ対応ができません。
今回の記事に書いてありますように、「輸出が伸びない」というような論調に対して、中小企業は、『そんなの関係ねぇ!』(お笑い芸人の小島よしおさんのギャグです。)の姿勢で、輸出事業を拡大する必要があります。
輸出は、国内中小企業が収益拡大を実現するために、必要なことです。もちろん、すべての中小企業が、輸出を行って事業拡大を実現することは困難です。
国内中小企業が、輸出事業を伸ばすには、自社商品やサービスが、新規性、差別化・差異化可能な機能や特徴などをもっていることが必要不可欠です。競争力のない商品やサービスは、国内外の競合企業との競争に勝てないことによります。
中小企業が自社商品やサービスに上記のような強みをもっていれば、輸出事業の拡大に成功する可能性があります。
少なくとも、私が今までに支援してきました中小企業は、実現しています。中小企業が輸出事業を成功させるやり方は、色々あります。私は、今まで中小企業と共に苦労して実現してきたやり方を取っています。
私は、現在、「近代中小企業」(発行:中小企業経営研究会)からのご依頼で、月刊 近代中小企業『KinChu』に、「海外へ羽ばたけ 海外市場開拓のポイント」の総合タイトルで7回連載の記事を書いています。
この記事の内容は、今まで私が行ってきました中小企業に対する海外事業拡大のやり方がベースになっています。
なお、本記事の内容は、現在時点の私のやり方です。このやり方は、随時変更・修正をかけています。これは、私が新しい経験を積んだことにより、新規発見を続けていることによります。
ご参考情報として、私が今まで書きました連載記事は以下の通りです。
1回目;「中小企業の海外市場開拓への意義と必要性」2023年12月1日発行
2回目;「海外市場開拓の課題と対応」2024年1月1日発行
3回目;「中小企業による海外市場調査の基本①」2024年2月1日発行
4回目;「中小企業による海外市場調査の基本②」2024年3月1日発行
あと3回あります。
中小企業が輸出事業の拡大に成功するための、決まったやり方はありません。各企業の事業環境などから、固有のやり方を検討・立案して行うことが重要です。
上記連載記事の内容は、参考情報の一つです。
繰り返しになりますが、自社商品やサービスに新規性や差別化・差異化可能な機能や特徴などがあれば、輸出事業の拡大を実現する可能性があります。
よろしくお願いいたします。
グローバルビジネスマッチングアドバイザー GBM&A山本雅暁
「海外へ羽ばたけ 海外市場開拓のポイント」の第4回記事掲載 [インタービュー・記事の執筆]
皆様、こんにちは。
グローバルビジネスマッチングアドバイザー 山本 雅暁です。
2023年11月20日付のブログ・コラムで書きましたように、「近代中小企業」(発行:中小企業経営研究会)からのご依頼で、月刊 近代中小企業『KinChu』に、「海外へ羽ばたけ 海外市場開拓のポイント」の総合タイトルで7回連載の記事を書くことになりました。
当該総合タイトル記事のうち、第4回目として『「中小企業による海外市場調査の基本②」』のタイトル記事が、2024年3月1日に発行されました月刊 近代中小企業『KinChu』に掲載されています。
第4回は、以下の内容について書いています。
『 第4回は、中小企業が実施する海外市場調査の基本のうち「第3回 中小企業による海外市場調査の基本 ① 」に引き続き、海外市場調査の基本② として、
・海外情報におけるデータの収集と活用法
・海外情報におけるデータの事例
・テストマーケティングの実施例
について解説しています。』
本稿では、第3回の基本的な市場調査のやり方に加えて、海外市場・顧客を知るための情
報・データの収集ステップの具体的な説明と、海外情報、データの事例なども紹介します。
海外情報やデータの収集は、難しい点が多々あります。そのような状況下で、これらの情報やデータを集めるためのポイントについて書いています。
ご参考情報として、当該記事の1ページ目を本ブログ・コラムに貼り付けました。
全文をお読みになりたい方は、下記Webサイトからお申込みください。
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「近代中小企業」
発行:中小企業経営研究会
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よろしくお願いいたします。
グローバルビジネスマッチングアドバイザー GBM&A 山本 雅暁