3.覚書のポイント [各種契約行為のポイント]
2006年10月22日
今回は、前回に引き続き"覚書"のポイントについて述べます。
相手先との部品の共同設計を例にとって、以下の項目に関する覚書のポイントについて述べています。
今回は、(D)設計コストの分担 について"覚書"に盛り込むポイントについて述べます。
設計コストの分担でのポイントは、共同設計プロジェクト進行中に生じる可能性のある、設計変更やスケジュール遅れなどのプロジェクト運営に影響を与えるケースが生じた場合に発生するコスト増への対応です。
設計変更やスケジュール遅れは、双方にとって設計コストの増加につながります。
"覚書"では、相手側の要因で遅れた場合、自社側で増加するコスト負担を相手先にカバーしてもらうのかどうか、自社側の理由で変更したり、遅れる場合も含めて、共同設計を始める前に負担の仕方の基本的な取り決めを決めておきます。
但し、このコスト負担は、直接お金に絡む事なので、"覚書"締結の交渉の時点でもめる事態もあります。
この場合は、"覚書"では大幅にプロジェクトに影響がある場合について、責任がある側が当該コストを負担するとの約束事を決めておきます。
同時に、そのような場面に遭遇した場合には、ケースバイケースで両者は誠意をもって対応を協議すると、決めておきます。
実際のケースでは、大幅にプロジェクトに影響がある場合を除いて、お互いに自社発生分のコストをカバーする事になります。
日本のメーカー同士ではこのような基本原則を"覚書"の中にも盛り込んでおき、実際にそうのようなケースに遭遇した場合、その時の信頼関係や力関係でコストの分担方法が決まる場合があります。
海外メーカーとの"覚書"では、逆に要因とコスト増の負担方法については、条件設定をして明確化しておく必要があります。
問題が発生した時、"覚書"の中に文章として明確に記述されているかどうかが討議のポイントになるからです。
尚、相手先が日本メーカーであれ、海外メーカーであれ、何か問題があった時にスムーズに解決出来るかどうかは、それまでの共同活動でどれだけお互いの信頼関係が構築出来ているかによります。
いくら"覚書"に明確化してあっても、相手先との信頼関係が無いと、お金に関わる問題が発生した場合、プロジェクト自体が壊れてしまうケースもあります。
次回は、、(E)当該部品の所有権/権利 について、"覚書"に盛り込むポイントについて述べます。
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