事業連携とM&Aの違いは?-その2 [アライアンスとM&A]
2006年6月11日
今回は、前回の記事で述べましたように、米国の代表企業の例を取りながら事業連携とM&Aについて述べます。
ちょっと古い情報になりますが、2006年6月1日付けの日経新聞に興味深い記事が掲載されていました。
米グーグルとマクロソフトの成長戦略について取上げられていました。これは、両社の経営トップが投資家向け説明会で述べられたものです。
◆グーグル シュミットCEOが語る成長戦略;
”顧客を増やす最良の策は、大手企業との提携だ。事業拡大の ためのM&Aは、歴史的に機能していない。
M&Aはグーグルの企業文化に合わない。”
⇒記事では、インターネット業界ではやりのM&Aとは距離を置いて、緩やかな企業連合を重視する考え と述べられています。
◆マイクロソフト バルマーCEOが語る成長戦略;
”成長には積極的投資が必要であり、今後とも企業買収を継続する。投資分野は、成長の機会があるものすべてが対象。”
⇒記事では、企業買収と設備投資の合計金額は、2006年6月通期で26億ドル(約2,900億円)、2007年6月通期も20億ドル以上の投資計画であると述べられています。
グーグルは、最近の動きではAOL、KDDI、デル等との事業連携を相次ぎ発表しています。
私は、グーグルCEOの”M&Aはグーグルの企業文化に合わない”とのコメントに非常に強い共感を持ちます。
以前の記事でも述べましたが、他社との事業連携は本来”わずらわしい”ものです。
自社の力で事業の継続や強化が出来るなら、他社のとの連携は行なう必要はありません。
元々、業界で強い会社は、唯我独尊の気風即ち文化があり、他社との連携など眼中になかったはずです。
その会社が、事業環境の変化から他社との連携を行なう必要が出て来ると、その会社の元々あった文化と相容れない事態に直面し、そこを上手く切り抜ける工夫が必要です。
この点は、別途、”連携の実行”の欄で述べます。
私自身の経験で言いますと、事業連携をきちんと出来ない会社が、いきなりM&Aを行うのは、非常にリスクを伴う可能性が高い、と言うことです。
事業連携を何回か経験して、その後に事業の強化の為にM&Aを行うと言うステップを踏んだ方がはるかに安全だと考えます。
昨今、M&Aが流行っていますが、企業文化が異なる会社同士がいきなり結婚するというのは、想像以上の痛みや緊張等を伴い、M&Aに慣れていない企業同士では、最悪の場合、お金だけ投資して何のリターンも得られない事態も有り得ます。
特に製造業の場合、どの会社も技術競争力の維持・向上に独自のやり方で工夫してきたと考えます。
このような背景を持つ企業同士がいきなり、投資ファンド等の金融機関のアドバイスでM&Aに走る事があるとすると、失敗するリスクは高いと思います。
M&Aに対しては、熟慮の上に決断されることをお勧めします。一旦、動き出しましたら、止める或いは引き返す事は困難です。
次回は、事業連携とM&Aのプラス面、マイナス面について述べたいと思います。
今回の記事について、ご関心或いはご質問がある方は、私まで下記アドレスにメールにてご連絡下さい。
私は、すぐにはご回答出来ない場合もありますが、24時間以内にはご連絡します。
よろしく御願いします。
以上、
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