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日経記事;『日産・ルノー反攻、3つの壁 財務・EV競争力・新興国戦略。。』に関する考察 [アライアンスから期待する効果]

                 2023年2月1日


皆様、

こんにちは。

グローバルビジネスマッチングアドバイザー 山本 雅暁です。

 

21日付の日経新聞に、『日産・ルノー反攻、3つの壁 財務・EV競争力・新興国戦略 新・日仏連合、克服挑む』のタイトルで記事が掲載されました。

 

本日は、この記事に関して、事業連携(アライアンス)の視点から、考えを述べます。

本記事の冒頭部分は、以下の通りです。

『日産自動車と仏ルノーは15%ずつを出資する新たな日仏連合を始動する。両社トップを務めたカルロス・ゴーン被告が去った後の経営混乱や、新型コロナウイルス禍対応で苦戦し世界販売は4位に落ちた。連合で電気自動車(EV)の競争力を上げ、インドをはじめ新興国や欧州に新戦略で挑む考えだが壁は高い。。。』

 

日産自動車とルノーは、昨年来資本出資比率や連携(アライアンス)の組み方、知財の取り扱い方などを巡って、会話・討議を行ってきました。

 

2013年に入って、これらの会話・討議に進展があり、日産自動車にとって、最大の懸案事項であった両社の出資比率が、お互い15%とする考えで一致したようです。

 

日産としては、この合意が実行されれば、ルノーとの本格的な事業展開ができる素地が整ったと言えます。

 

本記事によると、日産とルノーの課題は、財務体質、EVの開発・実用化に関する競争力、新興国市場での販路開拓・集客とされています。

 

私は、両社の事業連携(アライアンス)の視点から、今後の課題と対応についてコメントします。

 

日産とルノーの事業連携(アライアンス)が上手くいって、競争力のあるEVの開発・実用化を成功させ、新興国を含む市場で勝ち組になるためには、前提条件として以下のことが必要になります。

 

・日産とルノーは、あらゆる面でイコールパートナシップを確立し、実行する。

・日産とルノーは、お互いの強みを最大化できる勝者連合である。

・日産とルノーは、重複する分野や役割がなく、お互いに補完できる。

・日産とルノーは、各社がすでに行っている他社との事業連携(アライアンス)を不効率にならないように、整理・統合して実施する。など

 

要は、日産とルノーが、上記条件を明確化して、「Win/Win」の関係構築ができることが、両社の事業連携(アライアンス)が果実を生み出すことになります。

 

次に必要なことは、会社間の事業連携(アライアンス)というプロジェクをうまく運営するための、知恵と工夫です。

 

両社は、巨大企業です。協業対象となる案件は、多岐にわたります。この複雑なプロジェクトの運営を上手く行うことが、成功する上での肝になります。

 

プロジェクトは、両社の日々の事業の積上げになりますので、日常業務そのものです。この日常業務であるプロジェクトを上手く回すには、チームメンバーの選定が非常に重要になります。

 

両社のプロジェクトチームは、複数のリーダーと多くのチームメンバーで構成されます。リーダーとチームメンバーは、技術やビジネスの面で実務能力にたけたいわゆる専門家で構成されることが、必要不可欠になります。

 

リーダーには、プロジェクト運営で必要になる決裁権が付与されていることも必要です。このためには、上司、プロジェクトリーダー、チームメンバーなどの役割分担と、意思決定のプロセスを、可能な限り単純化し、かつ明文化することが重要です。

 

往々にして、日本企業はこの意思決定のプロセスと明文化を明確にしないで、他社との事業連携(アライアンス)を行う傾向があります。特に、このことがないと、海外企業との事業連携(アライアンス)では、致命的な失敗を行うリスクがあります。

 

会社間の事業連携(アライアンス)は、必ずヒト、モノ(ソフトウエアを含む)、カネが動きます。事業連携(アライアンス)への参加企業は、必然的にリスクを取ることになります。

 

このリスクを最小化して、事業連携(アライアンス)から最大の成果をあげるために、参加企業は、プロジェクトのスタート前に契約を締結することになります。

 

この事業連携(アライアンス)に関する契約には、以下の事項を含むようにします。

・目的

・期待する成果

・機密保持

・スケジュール

・プロジェクト運営に必要な金額

・プロジェクトで生まれる知財の扱い(所有権の明確化)

・参加企業の役割分担

・メンバーの役割分担

・プロジェクト進捗管理のやり方

・プロジェクトを途中で打ち切るときの条件とやり方、など

 

プロジェクトへの参加企業は、事業連携(アライアンス)は決して仲良しクラブではなく、期待成果を確実にものにするための、冷徹なビジネス運営であることを明確に認識することが必要であり、重要です。

 

私は、日産とルノーの事業連携(アライアンス)やり方の詳細を把握していません。両社の事業連携(アライアンス)の組み方や進捗状況は、日経などの記事情報などにより理解することになります。

 

私は、日産がルノーとの事業連携(アライアンス)から、有益な成果を出すことを祈念いたします。

 

また、両社の事業連携(アライアンス)が「Win/Win」の関係を維持しつつ、期待する成果が出れば、国内のベンチャーや中小企業にとって、良い参考事例となります。

 

この観点から、今後の両社の事業連携(アライアンス)の進捗に注目していきます。

 

よろしくお願いいたします。

 

グローバルビジネスマッチングアドバイザー GBM&A 山本 雅暁

 


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