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日経記事;『スモールデータで発作予測 名古屋大学准教授 藤原幸一氏』に関する考察 [海外市場・販路開拓]

                                              2019年2月3日

皆様、
こんにちは。
グローバルビジネスマッチングアドバイザー 山本 雅暁です。


2月1日付の日経新聞に、『スモールデータで発作予測 名古屋大学准教授 藤原幸一氏』のタイトルで記事が掲載されました。


本日は、この記事に関して考えを述べます。


本記事の冒頭部分は、以下の通りです。
『人工知能(AI)の応用が広がっている。藤原幸一名古屋大学准教授は医療分野への応用に取り組み、てんかん発作の予兆を捉えるシステムなどを開発している。不特定多数のデータを大量に利用する「ビッグデータ」ではなく、特定の専門的なデータを使う「スモールデータ」の活用で現実の問題の解決に役立てようとしている。。。』


一般的に人工知能(AI)を活用して疾病予測を行うには、多くの患者データ蓄積・活用することが、大前提となります。


したがって、この手法による疾病予測を行うには、米国のIT大手企業GAFA(グーグル、アップル、フェイスブック、アマゾン)のような、巨大な資本と高度技術やプラットフォームをもった会社でないと実現できません。


最近の大きな動きの一例として、アップルウオッチの「Apple Watch Series 4」
が、2018年9月12日、心電図(ECG)アプリケーション機能を搭載したことを発表したことがあげられます。


アップルは、9月11日に、米国食品医薬品局(FDA)の医療機器放射線保険センター(CDRH)から、アップルが申請したECGアプリケーションの中の「De Novo申請」に対して、「クラスⅡ」の「一般(OTC)用心電計ソフトウェア」に該当するという判断結果を受理していました。


この「De Novo申請制度」は、21世紀医療法や改正連邦食品医薬品化粧品法(FD&C Act)に基づき、リスクが軽度から中程度(クラスIからクラスII)の新しい医療機器で、比較対象となる同等の機器が存在しない場合に選択できる審査方法です。


米国では、2016年に21世紀医療法に基づく「画期的機器(Breakthrough Devices)プログラム」が追加されました。


従来のやり方では、FDAに新機能や性能をもった商品などを申請した場合、既存の製品カテゴリーになければ、比較検討する参考事例がないので、審査に多額のコストと長い時間を要していました。


この事態を打破しようとしたのが、「画期的機器(Breakthrough Devices)プログラム」です。


このプログラムの対象は、医療機器・ソフトウェアの中で、リスク程度が低い「クラスⅠ」と「クラスⅡ」になります。


アップルウオッチは、上記しましたように、FDAは「クラスⅡ」の「一般(OTC)用心電計ソフトウェア」に該当するという判断結果を示しました。


アップルは、「Apple Watch Series 4」で心電図アプリケーション機能に対するFDAの認可を得るために、多くのデータと最新のAI技術を適用したと考えます。


アップルは、2017年にFDAが発表した「デジタルヘルスのソフトウェア事前認証パイロットプログラムの参画企業」9社に入っています。アップルは、このFDA承認取得のために、周到な事前準備と多額の開発投資を行ったと考えています。


アメリカでは、アップルのような大手IT企業だけでなく、多くのITベンチャー・中小企業が、ソフトウェア・人工知能(AI)・IoT対応の高い能力を駆使して、「クラスⅠ」および「クラスⅡ」分野の医療機器やソフトウェアの開発・実用化を進めています。


国内でも、厚生労働省/医薬品医療機器総合機構(PMDA)が革新的医療機器条件付早期承認制度を制度化しています。


私が知っている医療機器ベンチャー・中小企業が、数社、この制度の利用を試みましたが、開発・実用化の道筋が見えないため、国内での事業展開を現時点では諦めています。


これらの企業が目指すのは、米国と欧州になります。これらの両市場で販売するには、それぞれFDAとCEマークの取得が必要になります。多くの場合、両認証の「クラスⅡ」が対象クラスになります。


私は、2018年9月17日に、日経記事;『重症患者 遠隔で診療支援 厚労省、質高め医療費抑制 中核病院から助言』に関する考察 のタイトルでブログ・コラム記事を書きました。
https://bzsupport.blog.so-net.ne.jp/2018-09-17
https://profile.ne.jp/w/c-197223/


このときに、下記Medica2018の下記Webで、telemedicineのキーワードで検索すると、その時点で120社が当展示会に出展することになっていました。
https://www.medica-tradefair.com/vis/v1/en/search?oid=80396&lang=2&_query=telemedicine%E3%80%80


この同じWebサイト(Medica2019)で確認すると、本日現在、出展企業数は、164社になっています。


今後、米欧の医療機器市場は、ソフトウェア・人工知能(AI)・IoT対応により、ますます疾病予測や遠隔医療・診断の動きが、加速していくのは、確実です。


この観点から、今回紹介しましたスモールデータでてんかん発作予測を、人工知能(AI)活用で実現するやり方は、今後の日本の医療事業ベンチャー・中小企業が、実施すべき方向性の一つを示しています。


私が知っている範囲でも、国内の医療事業ベンチャー・中小企業数社がMedica2019に出展して、積極的に事業展開しようとしています。


もちろん、これらの企業は、例外なく、FDAもしくはCEマーク取得の活動を行っています。


今後、数多くの国内医療事業ベンチャー・中小企業が、米欧市場で事業化して、成功することを祈念するともに、私自身も可能な限り支援していきます。


よろしくお願いいたします。


グローバルビジネスマッチングアドバイザー GBM&A 山本 雅暁



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