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日経新聞;『特許庁、審査料下げへ 1~3割で検討 』に関する考察 [ベンチャー・中小企業支援]

                                           2010年7月5日

皆様、おはようございます。
グローバル・ビジネスマッチング・アドバイザー 山本 雅暁です。

7月4日付の日経新聞に『特許庁、審査料下げへ 1~3割で検討 』のタイトルでの記事が掲載されました。
主な内容は、以下の通りです。

『特許庁は、特許の要件を満たすかどうかの審査を求める際に個人や企業が納める審査請求料を引き下げる方針を固めた。電子化などで審査の作業にかかる費用が減っていることに加え、海外と比べて割高とされる点を見直す狙い。出願料や維持料は現状のままとする。

5日に開く産業構造審議会(経済産業相の諮問機関)の小委員会で審査請求料を下げる方向性を示す。具体的な下げ幅は、現在の平均約20万円から1~3割程度引き下げる方向で検討を続ける。中小企業向けの減免制度の対象拡大についても議論する。

特許の取得には出願した後3年以内に改めて審査請求の手続きが必要となっている。出願した個人や企業は、発明品の将来の収益性を考慮して審査を求めるかどうか決める。審査請求料が安すぎると価値の低い発明まで審査することになり、審査の待ち時間の増大を招く恐れがある。

現在は16万8600円の基本料のほか、出願に含まれる技術の個数に応じて加算される。米国では出願料込みで13万円ほどで、日本はこれに比べるとかなり高い。

不況で審査請求に踏み出せない企業も増えているとみられ、特許庁は審査請求料の引き下げが必要と判断した。出願料や維持料は2008年にも引き下げたことから、今回は据え置く。』


言うまでもなく、特許を持つか持たないかは、企業経営に大きな影響を与える事があります。
ベンチャーや中小企業が考案したノウハウやアイデアを特許化しようとした場合、大きな弊害となってきたのは、手続きの複雑さ、審査請求料や出願料・維持費の高さ、審査時間の長さです。

政府は、日本企業の競争力の維持・向上の一環として知財をあげ、特許化する事を奨励しています。
また、中国やインドなどの新興国でも特許取得数が増え続けており、日本企業にとって特許取得は海外企業との競争でも必要不可欠となっています。

中国の場合、模倣が日常茶飯事で行われており、ベンチャー・中小企業にとって特許化することは、自社の知的財産を守る上でも必要な事になっています。

しかし、ベンチャー・中小企業にとって、特許化は容易ではありません。
一番の難しさは、高コストです。

今回、このコストのうち、審査請求料が1~3割引き下げられれることは、朗報です。
同時に、出願料や維持料についても更なる引き下げの検討をお願いしたい。

大手や中堅企業にとって、特許に関するコストはそれほど大きなインパクトを経営にあたえないが、ベンチャー・中小企業にとっては、現在のコストは重荷です。
この高コストのゆえに、特許化を断念する企業は実際に存在します。

この事実は、政府の知財化戦略とは明らかに逆行することです。

日経新聞の記事に、「審査請求料が安すぎると価値の低い発明まで審査することになり、審査の待ち時間の増大を招く恐れがある。」と記載されています。

この内容が政府の考えとすると、政府自らベンチャー・中小企業の特許化の動きをおさえるようにしていると思えます。

何故、もっと特許出願件数を増やす事を考えないのでしょうか。
価値が低いか高いかは、第三者が事前に予想できません。
それなのに、審査請求料が低くなると価値の低い発明が増え、審査時間が増大するリスクが高まる、と判断する事は、事態を改善しないで現状維持を優先する考えだと思います。

“ベンチャー・中小企業がもっと特許出願を出来る環境を整備すべきです。”

出願件数が増えて、審査時間が長くなる事態を予想できるなら、審査官などの専門家の数を増やすなどの施策を早急に打つべきです。
例えば、大手企業を退職した技術者の積極的な活用などが考えられます。

後ろ向きの議論ではなく、真に日本企業(特に、ベンチャー・中小企業)の競争力強化に向けた施策の実施を期待します。

よろしくお願いいたします。
以上、

グローバル・ビジネスマッチング・アドバイザー 山本 雅暁


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