撤退シナリオの実行-その6;代替製品のメーカーとのOEM契約のポイント-その7 [事業撤退に関する課題と対応]
2007年6月1日
今回も、前回に引き続き、OEM契約のことについて述べます。
今回は、(10)保証 から述べます。
保証は、英語では“Warranty”と表現します。
一般に私たちが購入する電気製品には、1年間の保証期間が設定されています。
この保証期間内に不具合が発生した場合、無償で修理或いは良品と交換されます。
OEM契約の保証条項も、基本的には上述しました電気製品と同じ考えで設定されます。
◆売り手は、当該商品に不具合や欠陥がなく、それぞれの仕様に従った特定の品質を有することを保証します。
◆通常、売り手は商品が買い手から最終消費者に販売されてから、ある一定期間内に不具合や欠陥が発生した場合、買い手に無償で対応することを保証します。
◆設定される保証期間は、買い手側の都合を考えると可能な限り長く設定したい条件です。
売り手側の観点で考えますと、長い保証期間はコストアップの要因になりますので、可能な限り短くしたいとの潜在的欲求があります。
◆保証期間の設定は、OEM契約や売買契約の交渉過程で重要な課題の一つになります。これは、この期間が、売り手、買い手のコストに直接的な影響があるためです。
今回の事例では、買い手が自社製品の代替手段として売り手からOEM製品の供給をうけますので、保証期間は買い手の今までの製品と同じになります。
売り手は、買い手から要求された保証期間をカバーするコストを見積もって、買い手への売値を設定します。
◆保証期間は、対象製品によって異なりますが、通常“1年間(12ヶ月)”が多いようです。
◆保証内容も、製品や不具合の内容によって、無償修理か無償による良品交換になります。
次に、(11)保険 について述べます。
前回の記事で、(8) 所有権 について説明しましたときに、所有権が買い手に移った後は、買い手は全てのリスクを負うことになります。つまり、同時に損失危険も売り手から買い手に移ります、と述べました。
損失保険とは、例えば、売り手から買い手に製品を輸送中に火事、事故などにより製品がダメージを受ける損失をカバーするためにかけるものです。
保険のかけ方は、幾つかの選択肢があります。
例えば、売り手が保険をかける場合は、買い手への売値に10%くらいの料率で上乗せします。
買い手が保険をかける場合は、所有権が移った時点から適用するようにします。
保険の内容によって料率が異なってきますので、対象製品の価値や輸送手段などを勘案して、保険設定を行います。
今回は、ここまでとします。
次回は、(12)クレーム(請求) などについて述べます。
今回の記事について、ご関心或いはご質問がある方は、私まで下記アドレスにeメールにてご連絡下さい。
私は、すぐにはご回答出来ない場合もありますが、24時間以内にはご連絡します。
よろしく御願いします。
以上、
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