日経記事;『全銀システム、ITに開放 正式発表 決済アプリで銀行へ「直接送金」』に関する考察 [ビジネス雑感]
皆様、
こんにちは。
グローバルビジネスマッチングアドバイザー 山本 雅暁です。
9月16日付の日経新聞に、『全銀システム、ITに開放 正式発表 決済アプリで銀行へ「直接送金」』のタイトルで記事が掲載されました。
本日は、この記事に関して考えを述べます。
本記事の冒頭部分は、以下の通りです。
『全国銀行協会は15日、キャッシュレス口座を提供するフィンテック企業に対して銀行間の送金システム「全国銀行データ通信システム(全銀システム)」への加盟を解禁すると正式に発表した。日銀に口座を開設することなどが条件で、2023年以降に接続できるようにする。競争が活発になれば、利用者が負担する手数料の引き下げにもつながりそうだ。。。』
今まで、国内で岩盤のような既存の規制で固まっていた業界の代表が、医療と金融でした。このうち、金融については規制緩和が進みつつあります。
今年の金融に関する規制緩和は、まず、2023年春頃にフィンテック企業が提供する口座に給与を直接振り込む「デジタル払い」が解禁されます。
給与がデジタル払いになるメリットは、金融機関が間に入りませんので、企業が負担している振込手数料が発生しないことにあります。
企業は、手数料の支払なしに、労働者に細かく支払い可能になります。例えば、日払いや週払いといった短期間での支払いなどに、柔軟な対応がしやすくなります。
現金をデジタルマネー化する手間が省けることもメリットです。また、口座開設が容易ではない外国人労働者に給与を支払う手段として有効です。
このデジタル払いは、企業と労働者の双方にメリットがあります。デジタル払いは、新規参入する事業者に対して、「口座残高の上限を100万円とする」といった条件を満たすことが要求されます。
この100万円の口座残高の条件はありますが、労働者側が残高管理をきちんと行えば、給与払いに問題ないと考えます。
IT企業などは、外国人のプログラマーを雇う場合、その人が銀行口座を開設しなくても、給与支払いができます。
この規制緩和は、しょうしょう大げさに言いますと、企業と労働者間の慣行の変化につながると考えています。
さらに、本日の記事にありますように、キャッシュレス口座を提供するフィンテック企業に対して全銀システムを開示することが公式に決まりました。この動きも、金融分野の規制緩和になります。
この規制緩和は、公正取引委員会が2020年に、閉鎖性や高止まりする銀行の振込手数料を問題視する報告書を公表した後、全国銀行協会内にて検討されてきたものです。
フィンテック企業は、日銀に口座を開設する必要がありますので、日銀の監督対象になり、当該企業はシステムの安定化や安全性などを要求されることになります。
このフィンテック企業に対する日銀の監督は、顧客にとって一定の信用が担保させることになります。
この規制緩和により、銀行とフィンテック企業間の競争が激しくなると、振込手数料の値下げなどが発生する可能性があります。
顧客は、利便性や振込手数料などを比較検討して、最適な決済方法を選ぶことができます。
決済方法の多様化は、国内でのインターネット通販の活用を活性化します。これは、企業及び顧客双方にメリットが生まれることによります。
今回の規制緩和は、大いに歓迎します。さらに、日本国内でがんじがらめになっている規制について、デジタル庁などが中心になって、緩和のための大鉈を振るうことを期待します。
規制緩和は、国内の生産性をあげると共に、新規事業機会が生まれることによります。
よろしくお願いいたします。
グローバルビジネスマッチングアドバイザー GBM&A 山本 雅暁
コメント 0