日経記事;『ソニーが補聴器参入、まず米国で オーディオ技術活用』に関する考察 [新規事業開拓・立上]
皆様、
こんにちは。
グローバルビジネスマッチングアドバイザー 山本 雅暁です。
9月13日付の日経新聞に、『ソニーが補聴器参入、まず米国で オーディオ技術活用』のタイトルで記事が掲載されました。
本日は、この記事に関して考えを述べます。
本記事の冒頭部分は、以下の通りです。
『ソニーグループ傘下のソニーは13日、補聴器に参入すると発表した。補聴器の世界大手、デンマークのWSオーディオロジー(WSA)と組んで共同開発し、ソニーブランドの新商品として米国で発売する。ソニーが持つオーディオ技術を応用し、医療機器を新たな収益の柱の一つに育てる。。。』
本日の記事によりますと、ソニーは電子機器(主に映像とオーディオなど)の新規事業分野として医療に力を入れるようです。ソニーは、2022年3月期の営業利益に占める医療などの新規事業の比率は10%ほどだった。25年2月期には25%まで増やす計画とのことです。
ソニーが補聴器市場に参入する理由は、米食品医薬品局(FDA)が補聴器に対する規制緩和を決めたことによります。この規制緩和は、米国で長期間議論されてきました。
FDAは、2022年8月16日に、「FDA Finalizes Historic Rule Enabling Access to Over-the-Counter Hearing Aids for Millions of Americans」の声明を発表しました。
このWebサイトは、もちろん英語で書かれています。最初の部分は、下記のような文章になります。
「本日、米国食品医薬品局は、補聴器へのアクセスを改善し、何百万人ものアメリカ人のコストを削減するための最終規則を発表しました。これにより、軽度から中等度の聴覚障害を持つ消費者は、診察や処方箋、聴覚士によるフィッティング調整を必要とせず、店舗やオンラインストアで直接補聴器を購入することができるようになります。」
FDAの規制緩和は、2022年10月半ばころから適用されるようです。私は、支援先企業の中に、米国でのオーディオビジネスに関与している会社があり、このFDA規制緩和には以前から関心をもっていました。
当然のごとく、ソニーだけでなく、米アップルやボーズなどの企業も参入してきます。さらに、ベンチャーや中小企業も、参入してきます。何といっても、米アマゾンやShopifyなどのようなインターネット通販で販売できることが、この新規参入組の事業機会獲得につながります。
FDAがこの規制緩和に長期間を要したのは、既存の権益を守ろうとする企業5社が強固に反対してきたことによります。
言わば、この5社が市場独占しており、処方箋を必要とする補聴器は左右セットで4000〜5000ドル(約54万〜67万円)もするものもありました。
現在の米政権が、FDAを後押ししたことで、今回の規制緩和が実現しました。
ちなみに、日本では、補聴器販売に関わる法律により、補聴器はクラスⅡに分類され、言語聴覚士などの管理者がいる耳鼻咽喉科などの医療施設で、販売することになっています。
ソニーは、補聴器の世界大手、デンマークのWSオーディオロジー(WSA)と組んで共同開発する商品を、米国などの海外市場で販売するようです。
FDAが医療機器の規制緩和を行うときは、事前に十分な調査、確認作業を行い、合理的な理由をもって行います。
このような岩盤市場の規制緩和を行うと、一般的には、市場の拡大と新規参入企業が増えて競争が起こり、消費者にはより良い商品やサービスが、合理的な価格で提供されるようになります。
日本でも、今後、不必要な規制については、より積極的な規制緩和が行われることを大いに期待します。
よろしくお願いいたします。
グローバルビジネスマッチングアドバイザー GBM&A 山本 雅暁
コメント 0