日経記事;『日本、車載電池で巻き返しトヨタ、EV向け生産に7300億円投資』に関する考察 [新規事業開拓・立上]
皆様、
こんにちは。
グローバルビジネスマッチングアドバイザー 山本 雅暁です。
9月1日付の日経新聞に、『日本、車載電池で巻き返しトヨタ、EV向け生産に7300億円投資』のタイトルで記事が掲載されました。
本日は、この記事に関して考えを述べます。
本記事の冒頭部分は、以下の通りです。
『トヨタ自動車が電気自動車(EV)向け電池の生産へ本格的に動きだした。8月31日、日本と米国で電池の増産に最大7300億円(約56億ドル)を投資すると発表した。米国でホンダが大型工場の建設を決めるなど巨額投資が相次いでいる。EVシフトの進む米国を中心に、主要部品の電池を自前で生産し確保しようとする自動車各社の競争がさらに激しくなりそうだ。。。』
8月30日に、日経記事;『ホンダが米にEV電池工場 LG系と、6100億円投資 25年の量産めざす』に関する考察 [アライアンスから期待する効果]のタイトルで、ブログ・コラムを書きました。
本日も、EV用の電池に関して述べます。
本日の記事のポイントは、世界最大手の自動車メーカーであるトヨタが行う、EV用電池の確保に関する動きです。
トヨタは、ホンダと異なり、EV用電池をパナソニックとの協業を除けば、基本的に自前で確保する動きになっています。
これに対して、ホンダや日産は、韓国LGや中国の電池メーカーと連携(アライアンス)を組んで、EV用電池を確保します。
何度か本ブログ・コラムで書いていますように、将来のEVは、必ず何らかの形で自動運転機能が付加されるようになります。
この自動運転機能付EVの開発・実用化は、トヨタでさえも1社単独で実行するには不可能です。
したがって、国内自動車メーカーが、競争力のあるEVを開発・実用化するには、徹底的なオープンイノベーション;事業連携(アライアンス)を必要不可欠となります。
このオープンイノベーション;事業連携(アライアンス)をいかに巧みに実行できるかが、EVの競争力を左右します。
特に、国内自動車メーカーは、基本的に自動運転機能の実装や、エンターテインメント機能をEVに実装するためのノウハウをもっていません。
トヨタは、数年前から自動運転機能を実装するための、AI・IoT対応などについて、米シリコンバレーに大型研究拠点を構築したり、数多くのデジタルエンジニアを採用したりして、内製化を進めています。
私は、トヨタでさえ、自動運転機能付EVに必要なすべての機能を自前で開発・実用化することは、困難であると考えます。
このため、トヨタは、デジタル分野を中心に、積極的なオープンイノベーション;事業連携(アライアンス)を行っています。
一方、トヨタは、EVの競争力を左右する電池について、パナソニックとの協業を除けば、基本的に自前で確保する動きになっています。
これは、EVの競争力の源泉となる電池の新技術やノウハウは、内製化して外部に依存しないやり方となります。
EVの先駆者であるテスラモーターズは、トヨタと同じように、電池についてパナソニックや中国メーカーと協業しますが、大型の電池製造工場は、自前で確保しています。
テスラは、自動運転機能および電池の両分野での強みを確保しています。
トヨタを含む国内自動車メーカーは、EV分野でテスラと競争し、打ち勝つ必要があります。
このためには、国内自動車メーカーは自社の強みを自前で最大化しつつ、積極的なオープンイノベーション;事業連携(アライアンス)を行っていく必要があります。
トヨタの場合、EVのハードウェア分野の技術的な核となる電池は、自前で確保しつつ、自動運転機能については、自社の技術に加えて、他社とのオープンイノベーション;事業連携(アライアンス)を取り込むことで、競争力のあるEVを開発・実用化しようとしています。
中国のEVメーカーであるBYDは、もともと電池メーカーでした。BYDが10年くらい前に製造した電動二輪車の評判は良くありませんでした。
その後、BYDは自前の電池技術をコアにして、継続的にEVの開発・実用化を進めた結果、中国国内で有力なEVメーカーになっています。
今後とも、トヨタ、ホンダ、日産などの国内自動車メーカーの、自動運転機能付EVの開発・実用化に対する動き方に注目していきます。
自動車メーカーの動き方は、これから新規事業を立ち上げようとするするベンチャーや中小企業にとって、参考になることによります。
よろしくお願いいたします。
グローバルビジネスマッチングアドバイザー GBM&A 山本 雅暁
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