日経記事;『ウクライナ侵攻と世界(上) 深まる分断、消える500兆円 相互依存の供給網、もろさ露呈 グローバル化逆回転』に関する考察 [海外進出・海外移管]
皆様、
こんにちは。
グローバルビジネスマッチングアドバイザー 山本 雅暁です。
8月22日付の日経新聞に、『ウクライナ侵攻と世界(上) 深まる分断、消える500兆円 相互依存の供給網、もろさ露呈 グローバル化逆回転』のタイトルで記事が掲載されました。
本日は、この記事に関して考えを述べます。
本記事の冒頭部分は、以下の通りです。
『2月24日のロシアのウクライナ侵攻から半年たち、国際社会の風景は様変わりした。民主と強権という国家観の隔たりがあらわになり、経済・政治の両面で分断が進む。「ウクライナ」後の世界はどこへ向かうのか。。。』
最近、「世界のグローバリズムの消滅」、「グローバルなサプライチェーン網の消滅」などの記事が、マスコミやインターネット上に盛んに取り上げられています。
国内の中小製造事業者にとって、ベトナムなどの海外に新規工場設立の投資を行うことは、大変大きなリスクを伴う経営課題になります。
私が以前、米欧アセアン地域での販路開拓・集客支援を行った中小製造事業者から、新規の相談依頼がありました。
それは、ベトナムのハノイ近郊の工場団地に、新規に工場建設を行うかどうか、実現性などに関する相談です。
この中小製造事業者には、販路開拓・集客支援時に、海外に新規に工場建設するなどの新規投資を行うときは、しっかりした海外販路構築が終了してから、検討・実行することを説明していました。
この企業は、すでに安定した海外販路をもっていること、および、最近国内の取引先がベトナムに工場建設したことなどから、製造コスト低減化や人材不足解消などのため、ハノイ周辺の工場団地への工場建設を考え始めました。
この中小製造事業者は、地方に工場をもっており、それほど深刻ではありませんが、製造現場の人材確保に課題をもっています。
人材確保のため、社員の給料も上げており、人件費が経営に負荷を与えている状況です。この企業は、これらの問題を解決するため、一つの方法として、ハノイ周辺での工場建設を考えました。
現時点でのベトナムの労働・経済環境をみると、ハノイ周辺の工場団地に新規投資して工場建設を行うことは、基本的に問題ありません。
しかし、現在の日本を取り巻く環境や、ロシアのウクライナ侵略に伴う混乱状態、米中対立などの、世界の政治・経済状況を考えると、慎重に検討し、対応する必要があります。
この中小製造事業者は、現在、国内で生産している商品や部品を、主に米欧アセアン地域に輸出しています。
この会社の部品や商品に使用されています部材の一部は、中国から輸入しています。仮に、米国向け商品・部品を対象に、米国政府から一定比率の中国産部材の使用について制約を受けた場合、調達コスト増になりますが代替調達先の確保が可能です。
しかし、いったんベトナムなどの海外に置いた工場で、日本国内と同じような対応ができるかどうか確認した結果、一部の部材については、難しいことが判明しました。
この企業は、私を含めて社内にプロジェクトチームを設立して、ハノイ周辺への工場建設について、集中的に検討・確認作業を行いました。
この企業が出した結論は、当面の間、新規に海外に工場建設を行わず、国内工場から輸出を行うやり方に徹することでした。
同時に、自社商品や部品の付加価値を高めて、価格競争力を向上させて、販売価格を上げるやり方を積極的に推し進める。
また、費用対効果を見ながら、製造現場や事務部門の生産性向上ための新規投資を行うことも決まりました。
私は、この企業に国内工場だけに依存せず、将来、世界の経済状況が安定化して、海外での工場建設への障壁が低くなったとき、主要市場に近いところで、工場建設する方法も実行することの必要性も説明しました。
今後、中小製造事業者が海外への工場建設などの新規投資を行う場合、今まで以上に世界の政治や経済の動きを見極める姿勢と、リスク低減のやり方を創意工夫して検討・実行する必要があります。
よろしくお願いいたします。
グローバルビジネスマッチングアドバイザー GBM&A 山本 雅暁
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