日経記事;『鴻海EV連合、トヨタ系も参加 当初の5倍国内100社 車の水平分業加速も』に関する考察 [アライアンスから期待する効果]
皆様、
こんにちは。
グローバルビジネスマッチングアドバイザー 山本 雅暁です。
3月12日付の日経新聞に、『鴻海EV連合、トヨタ系も参加 当初の5倍国内100社 車の水平分業加速も』のタイトルで記事が掲載されました。
本日は、この記事に関して考えを述べます。
本記事の冒頭部分は、以下の通りです。
『台湾の鴻海(ホンハイ)精密工業が進める電気自動車(EV)の共同開発に当初の5倍にあたる約100社の日本企業が参加することが分かった。デンソーなどトヨタ自動車の系列企業も加わる。EVには異業種の参入が相次ぐ。鴻海は部品の規格などを共通化し、受託生産を狙う。トヨタ系も参加することで、車メーカーが多数の部品会社を束ねてきた自動車産業のサプライチェーンが変わる可能性がある。。。』
自動運転機能付EVは、何度か本ブログ・コラムで書いていますように、動く電子端末機器になります。
自動運転機能付EVの開発・実用化を進める企業は、既存の自動車メーカーだけでなく、多様な業界から多くの企業が参入してきます。
ガソリンエンジン車の場合、既存の自動車メーカーは蓄積された、圧倒的なノウハウをもっていますので、非自動車メーカーが新規参入することはほぼ不可能です。
しかし、EVは、エンジンが不要なため、ガソリンエンジン車のノウハウが無くても、ほぼ無条件に多くの企業が参入できます。
台湾の鴻海は、このEVで想定されるビジネスモデルを想定して、スマートフォン本体のプラットフォーマーになった経験を生かして、EV本体のプラットフォーマーになることを目指しています。
鴻海のビジネスモデルは、徹底的なオープンイノベーション;事業連携(アライアンス)を多くの企業と組むことにより、EV本体の提供に関する事業基盤のプラットフォーマーになることです。
EVの走行性能は、電池、モーターなどの主要部品の性能に依存します。多くの企業が開発・実用化するEV本体の性能に大きな差異が無ければ、各企業は、自動運転機能付EVに搭載するソフトウェア、IoT対応、AI、エンターテインメントのコンテンツなどで、競合他社に対して差別化・差異化を実現することになります。
鴻海が、EV本体のプラットフォーマーになることは、鴻海からEV本体の提供を受ける企業は、自社でEV本体の工場をもたないファブレスで、自動運転機能付EV市場に参入することができます。
鴻海とEV市場参入企業は、水平分業方式による「Win/Win」の関係を構築できます。これらのEV市場参入企業は、EV本体の開発・実用化・製造に大きな投資を行うことなく事業化できます。
各企業は、自動運転機能付EVでの差別化・差異化を実現することに注力を注ぐことになります。
恐らく、多くの企業がこの自動運転機能付EVの市場に参入して、激しい競争を行います。
このような、自動運転機能付EVの市場は、既存の自動車メーカーにとって好ましいものではありません。
既存の自動車メーカーは、ガソリンエンジン車のノウハウが詰まった本体から、多くの収益を上げています。
EV本体の収益が、鴻海のようなプラットフォーマーに奪われると、多くの自動車メーカーの収益に大きな影響を与えます。
トヨタは、国内自動車メーカーの中で、いち早くこの危機的な状況を理解しています。トヨタが、水素燃料電池車の開発・実用化を進めているのは、一つの解になります。
現時点では、次世代環境対応車は、まずEVが先行して採用されます。EVの普及環境は、水素燃料電池車を普及させるのに比べて、とても低いことによります。
ソニーとホンダは、自動運転機能付EVの開発・実用化を、オープンイノベーション;事業連携(アライアンス)により行うことを発表しています。
鴻海のEV連合には、トヨタ系列のデンソーや、ホンダ系の企業も参加します。トヨタ、ホンダ、日産などの国内自動車メーカーは、近い将来、EV市場で大きな競争に直面します。
現時点では、どの企業が自動運転機能付EV市場で勝ち組になるか、判断することは難しい状況です。
一つ言えることは、勝ち組になる企業は、オープンイノベーション;事業連携(アライアンス)を最大限活用しながら、自社の強みを最大化して、他社との差別化・差異化を実現できるところであることです。
このような、戦国時代における群雄割拠の状況から、勝ち組になる企業のやり方は、ベンチャー・中小企業にとって大いに参考になります。
私個人としては、1社でも多くの国内企業が勝ち組になって欲しいです。このような、視点から、今後の自動運転機能付EV市場の状況や参入企業の動き方に注目していきます。
よろしくお願いいたします。
グローバルビジネスマッチングアドバイザー GBM&A 山本 雅暁
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