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日経記事;『AI新興企業、M&Aで脱・受託 ニューラル、今年2~4社買収』に関する考察 [新規事業開拓・立上]

                                                    2022年2月9日


皆様、

こんにちは。

グローバルビジネスマッチングアドバイザー 山本 雅暁です。

 

29日付の日経新聞に、『AI新興企業、M&Aで脱・受託 ニューラル、今年24社買収』のタイトルで記事が掲載されました。

 

本日は、この記事に関して考えを述べます。

本記事の冒頭部分は、以下の通りです。

『人工知能(AI)システム開発の新興企業がM&A(合併・買収)で攻勢をかける。ニューラルポケットは2022年に最大4社を買収する検討に入った。AI新興は大企業からの受託開発や共同研究で稼ぐ事業モデルが多く、業績が外部要因で変動しやすかった。自社の強みを生かせる顧客基盤をM&Aで獲得し、継続的な収益を見込める事業モデルへの転換を急ぐ。。。』

 

今回の記事の論旨は、受託業務をメインにしているAIベンチャー・中小企業は、収益確保が安定しないので、自社商品やサービスを開発・実用化するための技術力を確保するために、M&Aが有効であるとしています。

 

このやり方を実行して効果を上げるには、二つの条件が必要です。一つは、M&Aを実施するための資金力です。二つ目は、M&Aで買収した後の、組織融合です。

 

M&Aを実施するための資金は、金融機関からの借入や、他社との資本提携などで、集めることができます。

 

私の経験では、M&Aを実施する上で最も難しいことは、買収した企業との組織融合です。

 

AIベンチャー・中小企業のようなIT企業では、人財、すなわち技術者やプログラマーが、競争力の源泉になります。

 

M&Aで相手先を買収した後に、買収された企業にいた技術者やプログラマーが退職した話は、良く聞きます。

 

グーグル、アップル、アマゾンなどの米大手IT企業は、M&Aに習熟していますので、たいていの場合、買収した企業を上手く取り込んで、自社の技術やノウハウ強化を実現しています。

 

このようなM&Aに関するノウハウは、簡単に蓄積できないことを理解する必要があります。

 

私は、自分の支援先企業に対して、M&Aを実行する前に、他社との連携・協業(アライアンス)を徹底的に活用・経験することを強く勧めています。

 

M&Aは、言わば、結婚して同じ家に住む結婚のようなものです。対して、連携・協業(アライアンス)は、自社と相手先間で、「Win/Win」の関係で成り立っている、恋愛関係みたいなものです。

 

連携・協業(アライアンス)は、「Win/Win」の関係が維持できなくなれば、つまり、嫌いになれば別れれば良いのです。

 

M&Aは、二つの会社の組織融合になりますので、上手くいかないと、双方に負の影響が残ります。

 

私の持論になりますが、連携・協業(アライアンス)を上手く行えない企業は、M&Aを行っても決して成果を出せません。

 

ところで、本日の記事のもう一つのポイントである、AIベンチャー・中小企業が、受託型のような不安定な状態から、自社商品・サービスの開発・実用化を行って安定したビジネスモデルを実現することの必要性については、大いに同意します。

 

メーカーの場合、OEMを含めて受託製造を主に行っていると、その状態が長期化すると、一般的には低収益構造から抜け出せなくなります。

 

もし受託製造に徹するのであれば、台湾の半導体受託生産の専業企業であるTSMCや、電子機器の受託製造サービス事業者であるホンハイなどのように、強みをもって専業化することが、必要になります。国内に、製造受託専業メーカーで、成功している企業が多くあります。

 

しかし、中途半端な製造受託事業は、低収益化に直面することが大部分です。

 

私は、力のある支援先(中小メーカー)には、OEMや製造受託ビジネスから脱却して、自社商品の開発・実用化を行い、自社ブランドで販売することを依頼します。

 

これらの中小企業が行う販路開拓・集客支援は、私が行います。

 

この考え方は、AIベンチャー・中小企業も同じです。AIベンチャー・中小企業と中小メーカーの違いは、ソフトウエアとハードウェアです。

 

AIベンチャー・中小企業は、メーカーと異なって、ハードウェアを開発・実用化するための機械設備をもつ必要がありません。

 

AIベンチャー・中小企業が必要とするものは、人財;技術者やプログラマーなどです。AIベンチャー・中小企業は、可能な限り優秀な人財を確保して、この人財がやる気を出して、生産的に働ける職場環境などを整備することが、必要不可欠です。

 

AIベンチャー・中小企業を含むIT企業が、差別化・差異化を可能にするソフトウエアやサービスを開発・実用化するには、その企業で働く人財に対して以下のようなインセンティブを与えるのが効果的と考えています。これは、私の経験則ですので、一般的と言えないものあるとご理解願います。

 

・一定程度の給料

・業務内容に対する明確なメッセージやジョブディスクリプション

・働きやすい職場環境(テレワークの実施、柔軟な勤務時間の設定などを含む)

・可能な限りフラットな組織構成やチーム編成

・専門領域を深掘り、あるいは横展開できる学習機会の提供

・コミュニケーションが取りやすい職場環境(テレワークとリアル出社のハイブリッド型にして、出社時に対話できる仕組み作りなど)、など

 

特に、技術者やプログラマーに、リモートワークの継続的な機会提供や、学習機会の継続的な提供を行うと、彼らのモチベーションが高まることを実感しています。

 

今後の日本にとって、AIベンチャー・中小企業の強化は、非常に重要です。本日の記事に書かれていることを含めて、色々な視点からの支援が必要です。

 

よろしくお願いいたします。

 

グローバルビジネスマッチングアドバイザー GBM&A 山本 雅暁


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