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日経記事;『日本企業、東南アにシフト 駐在員数・投資が中国逆転』に関する考察 [海外進出・海外移管]

                                                2018年11月4日

皆様、
こんにちは。
グローバルビジネスマッチングアドバイザー 山本 雅暁です。


11月4日付の日経新聞に、『日本企業、東南アにシフト 駐在員数・投資が中国逆転』のタイトルで記事が掲載されました。


本日は、この記事に関して考えを述べます。


記事の冒頭部分は、以下の通りです。


『日本企業が東南アジアに重点を置く姿勢が鮮明になっている。海外駐在員の配置数や対外投資額は5年間で中国向けを逆転した。中国の人件費高騰を受けた製造業の移転や、内需に期待する消費財企業の東南アジア進出が相次ぐ。米中貿易戦争の影響で輸出拠点を移すケースも増えているが、東南アジアの人件費高騰や通貨安など地域集中にはリスクも伴う。。。』


私は、11月1日に、日経記事;『日用品、国産を対中輸出 資生堂など 高品質強みに増産投資』に関する考察 [インターネットマーケティング]のタイトルでブログ・コラムを書きました。


本日も、中小を含む国内企業の海外展開のやり方について、記事を書きます。


一般的に、国内企業が海外で行う販路開拓、製造工場の建設・子会社や営業所の設立などの海外投資を行うときに、アセアン地域を選ぶことが多いとの印象をもっています。


これは、今までの経営コンサルタントとしての経験から、日本企業にとってアセアン地域の国ぐには、親日的であること、時差がほとんどないこと、飛行機による移動時間が長くないこと、有色人種であり親近感が持てることなどの理由から、事業展開しやすい、あるいは、投資しやすいなどの認識をもたれる傾向があることが、影響していると考えています。


日本企業が、海外投資を行う場合、中長期的な視点から計画・実行することが多いです。


その典型的な事例が、タイへの多くの国内製造事業者の数十年に渡る長期的な投資です。


これは、国内製造事業者が今のアセアン地域で新規投資先を探していたとき、政治が安定している、親日である、労働者賃金が安い、労働者が勤勉であることなどが決め手となって、多くの国内企業が、バンコク周辺の工場団地への投資を決めて、実行しました。


これらの投資の担い手は、自動車や電気電子機器関連のメーカーです。


この長期的な視点からの投資の結果、現在のタイは、アセアン地域で最も経済発展を成し遂げた国になっています。


タイでは、、多少の政治的な混乱があっても、経済状態は良好であり、失業率は、実質的にゼロ%に近い状態にあります。


現在のタイは、労働者賃金が高いことと低い失業率であることから、国内製造事業者にとって、新規工場建設を行うのには、一般的に適しません。


代わりに、タイの魅力は、安定した労働者環境が生み出す「豊かな中間所得層」にあります。


多くの国内企業が、BtoCタイプのビジネス(生活雑貨・日用品、アパレル、飲食や各種サービスなど)をタイで展開しており、一定程度の事業収入を確保・拡大しています。


また、タイから日本への観光客も多くなっています。国内のインバウンドビジネスでも、タイは存在感を増しています。


現在のアセアン地域の中で、次のタイになるのは、ベトナムであると考えています。。ベトナム人は、一般的にタイ人と同等あるいはそれ以上に勤勉であり、親日です。


ベトナムの労働者賃金は毎年上昇し続けていますが、現時点では、タイやマレーシアよりは安いので、国内製造事業者が、ハノイ周辺の工場団地に新規工場建設の投資を行っています。


その結果、ベトナム人の労働者賃金も上記しましたように上昇しており、労働者雇用が増えていますので、一定規模の中間所得層の市場が拡大しています。


そう遠くない将来、ベトナムは、第二のタイになりますので、国内製造事業者にとっては、新規工場建設に適さない国の一つになる可能性があります。


アセアン地域の中では、製造事業者が工場建設を行っている国は、ベトナム以外ではインドネシアとフィリピンが中心になっています。


両国とも、豊富な労働力をもっています。しかし、両国の政府は、労働者賃金を毎年上昇させることを重要な政策の一つにしていますので、これらの国ぐにでも、安い労働力に頼った工場経営ができなくなる可能性を常に想定することが重要であり、必要になります。


一般的にアセアン地域の国は、日本にとって投資や販路開拓をしやすい対象となります。


しかし、現時点でのアセアン地域の安い労働力に過度に頼った工場建設や投資を行うと、足元をすくわれる可能性があることを、十分に認識しておく必要があります。


たとえば、日本国内と同じように、製造コストが上昇しても、競争力のある商品開発・実用化を行って価格競争力を維持強化する、北米や欧州などの巨大市場で、販路開拓・集客を積極的に行う、などの経営姿勢も重要になります。


今後、中小企業は、アセアン、北米、欧州、中近東などの政治的・経済的な事業環境は常に流動的ですので、インターネットやテレビ・新聞記事、書物などの媒体から、最新情報をつかんで、客観的・合理的な情報やデータなどから、現状分析・行動計画の立案・実行する経営姿勢が重要になります。


中小企業は、一般的に、経営者の判断で柔軟に動けることができます。今後、中小企業が海外展開を行う場合、上記する複数の情報源から入手した情報・データの中から、可能な限り合理的な、あるいは客観的なものを収集することも、重要になります。


よろしくお願いいたします。


グローバルビジネスマッチングアドバイザー GBM&A 山本 雅暁


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