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日経記事;『EV電池 脱コバルト、パナソニックなど開発着手 中国と争奪、価格高騰。。』に関する考察 [ビジネス雑感]

                                                     2018年10月10日

皆様、
こんにちは。


グローバルビジネスマッチングアドバイザー 山本 雅暁です。


10月10日付の日経新聞に、『EV電池 脱コバルト、パナソニックなど開発着手 中国と争奪、価格高騰 採掘環境に批判、調達厳しく』のタイトルで記事が掲載されました。


本日は、この記事に関して考えを述べます。


記事の冒頭部分は、以下の通りです。


『国内電池メーカーが相次いで電気自動車(EV)用向けに、希少金属のコバルトを極力使わない電池を開発する。中国企業の「爆買い」で争奪戦が激しく、価格が2年で3倍近くに高騰したためだ。パナソニックはまず3年以内に、電池のコバルト使用量を半減させ、将来はゼロを目指す。基幹部品である電池のコストを削減できれば、EVの普及に弾みがつきそうだ。。。』


かって中国は、2010年ころに日本との関係が悪化したときに、HVやEV用の電池で使用する自国内で産出するレアアースなどの天然素材の輸出を大幅に制限しました。

レアアースは、上記するHVやEVの永久磁石や発光ダイオード(LED)照明の蛍光物質、ガラス研磨剤などハイテク製品に欠かせない貴重な資源です。


しかし、このときに国内の素材、機械、電気電子機器、自動車などのメーカーは、レアアースを使わないで同等の性能を引き出せる代替素材の開発・実用化を積極的に行いました。


言わば、「必要は発明の母」となることを実践しました。


現在、政治的な要因ではなく、ヨーロッパや中国などでのEVシフトの動きが、EV用電池で使用されるリチウム、コバルトなどのレアアースの取引価格が急騰しています。

上記記事は、中国がこのようなレアアースの爆買いを行っていることが、SIGENNSOUDATUSENNを生み、取引価格が高騰していると述べています。


この中国の爆買いは、現在だけでなく、過去にも起こりましたし、今後も起こることは、確実です。


今、日本にできることは、「必要は発明の母」であることを継続的に行っていくことです。


そのやり方の一つが、上記する代替素材の開発・実用化です。もう一つは、使用済み電池から回収して再利用するやり方です。


たとえば、三菱マテリアルは、EVなどに搭載するリチウムイオン電池からレアメタル)のニッケルやコバルトを回収する技術を開発・実用化する動きをかけています。


さらに、トヨタは、リチウムイオン電池の次世代電池と言われる全固体電池の開発・実用化を進めています。


この全固体電池の開発・実用化に当たって、住友化学などの化学大手は、全固体リチウムイオン電池用部材の開発を進めています。


住友化学は、レアメタル(希少金属)のコバルトを使わずに、ニッケル・マンガン系で高耐電圧の正極材を開発・実用化中です。これが実現すると、コバルトフリーの電池用正極材が実用化されます。


これらの企業のほかに、宇部興産、三菱ガス化学、昭和電工などの素材メーカーも、レアアースを使わない、あるいは使用量を減らす、次世代電池の開発・実用化を進めています。


電池は、HV、EV、パソコン、スマートフォン、タブレット端末などの多くの機材で使用される、言わば産業の米になります。


あるいは、HVやEVで使用済みの電池は、家庭用の太陽光発電で産出する電気の貯蔵用途での活用が考えられています。


それだけ電池の今後の使用量は、膨大であり増え続けます。つまり、電池の市場となる分母は、右肩上がりで拡大していきます。


この国内経済の重要な位置を占めている電池について、オールジャパン体制で、レアアースを使わない、あるいは使用量を極端に減らす新技術を開発・実用化することを期待します。


特に、日本の素材メーカーは、世界一の競争力をもっています。この素材メーカーが、機械、電気電子機器、自動車などのメーカーと、協業・連携(アライアンス)を組んで、レアアースに左右されない産業構造を構築することが重要です。


レアアースに左右されない新電池は、世界市場で強力な競争力をもち、多くの潜在需要を作ります。


このように動くことにより、日本の関連企業が世界市場で勝ち組になることができます。


次世代電池の開発・実用化に関して、今後の国内関連企業の動きについて注目していきます。


よろしくお願いいたします。


グローバルビジネスマッチングアドバイザー GBM&A 山本 雅暁





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