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日経ITpro News記事;『Nokia、SEC提出書類にMicrosoftとの提携の不安要素を列挙』に関する考察 [アライアンスから期待する効果]

                                                    2011年3月15日

皆様、
こんにちは。グローバル・ビジネスマッチング・アドバイザー 山本 雅暁です。

3月14日付の日経ITpro News上のWebサイト記事の中に、『Nokia、SEC提出書類にMicrosoftとの提携の不安要素を列挙』のタイトルで記事が掲載されました。

本日はこの記事に関して考えを述べます。

記事の主な内容は以下の通りです。

『フィンランドのNokiaは米国時間2011年3月11日、米証券取引委員会(SEC)に年次報告書(Form 20-F)を提出した。その中で同社は、今後の事業のリスク要因として、米Microsoftとの提携が実現しない可能性を示唆している。

Nokiaは2011年2月に、Microsoftとの提携を発表し、自社スマートフォンの主要プラットフォームに「Windows Phone 7」を採用する方針を明らかにした(関連記事:[MWC2011]「Microsoftとの提携でGoogle,Appleと戦う」―NokiaのCEOが強調)。

しかしNokiaは今回、Microsoftとの提携を巡って直面する不安要素をForm 20-Fに多数記載した。Windows Phoneがごく最近リリースされたものであり、実績が立証されていない上、AndroidやAppleのプラットフォームと比較して消費者認知度が低いハイエンド分野のみに焦点を当てている点を指摘。Microsoftとの提携計画は、スマートフォン市場において幅広い競争力を発揮できない可能性があるとしている。

また、NokiaはWindows Phoneへの移行には約2年かかると見ており、スマートフォン市場で長期的な競争力を実現するには時間がかかりすぎると懸念している。さらに、Microsoftとの提携により、現在強固な地位を確立している市場においてブランド力が弱まる危険性なども挙げた。

NokiaとMicrosoftの提携は、拘束力を持たない合意の段階であり、現在最終合意に向けて交渉が続いている。』


私もこの記事を読んだ後に、ノキアがSECに提出したAnnual Report( 年次報告書(Form 20-F))を読みました。
年次報告書は、下記Webサイトに載っています。
http://1.usa.gov/eKXtMb

確かに、Nokiaは極めて率直にマイクロソフトとの提携について、彼らの関心事を率直に書いています。これは最近、年次報告書の中に経営上のリスクを書くように求められていることも要因の一つになっていると考えています。

原文では、“Our proposed partnership with Microsoft may not succeed in creating a competitive smartphone platform for high-quality differentiated winning smartphones or in creating new sources of revenue for us.”のサブタイトルで始まっています。


携帯端末市場は世界中で高級化が進んでいます。
その市場を引っ張っているのは、AppleのiPhoneとGoogleのAndroidOSを搭載した機種です。Appleは自社OSを第三者に開示していませんので、他の携帯メーカーは殆ど無償OSであるAndroidを採用しています。

携帯機器は、一種のプラットフォーム事業です。これは、パソコンと同じでOSがプラットフォームになりす。パソコンの場合は、Windowsが事実上の標準となっておりプラットフォームの役割を果たしています。

このプラットフォーム上で事業展開するメリットは、どのパソコンユーザーもアプリソフトやデータファイルの交換や共有化が出来ることです。
マイクロソフトは、パソコンOSでプラットフォームを握り王者として君臨しています。

高級端末の場合、パソコンと同じようにデータファイルの交換や共有化などを必要としません。
代わりに、どのOSを選ぶかで業界のメインストリーム;主流になれるかが問われます。

この観点から見ますと、GoogleはAndroidの進化を迅速に行い、且つ、無償で提供しています。
Googleは、Androidがどこでもある環境を作り、パソコンと同様にインターネット上で検索してもらい、広告収入が入る仕組みを作ることが目的です。

携帯メーカーは、この手軽に使えるOSを採用し、高級端末にアプリソフトを組み込んで他社に差異化を図ろうと次から次に新機種を出しています。
低コストで手軽に使えるOSを選ぶのは、熾烈な高級端末市場で勝ち残る方法の一つです。

Googleと端末メーカーは、「Win/Win」の関係を築いています。

Nokiaは高級端末市場で出遅れました。
現在、彼ら独自のOSを採用した機種を出していますが、市場での存在感は薄れれつつあります。

その中で、Nokiaは昨年マイクロソフトとの提携を発表し、Windows PhoneのOSを採用することを決めました。
私自身、この発表に大きな疑問がありました。
理由は、AndroidがOSのプラットフォームとして大きく伸びている時期に、何故、これからのOSであるWindows Phoneを選んだかと言うことでした。しかもこのOSの成長性には疑問がありました。

多分、他社との差異化を狙ったと思いますが、Nokiaがマイクロソフトとの連携で勝ち残れる可能性は低いと見ていました。

今回のNokiaの報告書は、マイクロソフトとの提携にリスク感を持っていることを明確に表明して、近々に経営姿勢の転換を行う準備に入ったと考えます。

どのOSを選ぶかの選択は重要です。
Nokiaの次の動きに注目しています。

よろしくお願いいたします。

グローバル・ビジネスマッチング・アドバイザー GBM&A 山本 雅暁

ご参考情報として発表文の冒頭部分を以下に表示します。

"The mobile communications industry continues to undergo significant changes. The broad convergence of the mobility, computing, consumer electronics and services industries has led to a significant shift in the mobile device market for smartphones from a device oriented strategy to a platform oriented strategy. Today, industry participants are creating competing ecosystems of mutually beneficial partnerships to combine the hardware, software, services and application environment to create high-quality differentiated winning smartphones. Consumers increasingly choose mobile products based on the quality of the software, web applications and services, together with the overall user experience, rather than the hardware.

As a result, in volume and value terms, smartphones are capturing the major part of the growth and public focus in the mobile device market. We believe that winning smartphones deliver great hardware, compelling user interfaces and the coherent aggregation of a vast array of applications and services, including search, advertising, ecommerce, social networking, location-based services, entertainment and unified communications, which results from a broad ecosystem of those industry participants all contributing to the final mobile product and user experience...."


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