撤退シナリオの実行-その6;代替製品のメーカーとのOEM契約のポイント-その3 [事業撤退に関する課題と対応]
2007年4月29日
今回は、前回に引き続きOEM供給契約について述べます。
OEM契約の項目の中から、(4) キャンセルと受け入れ予定の再設定要求(リスケジューリング) の注意すべき点について説明します。
(4) キャンセルと受け入れ予定の再設定要求(リスケジューリング)
・買い手側からしますと、ビジネス環境の変化に即応して、自社ブランド品の売上げが落ちてきましたら、在庫過多になる事を避ける為、売り手側に確定オーダーのキャンセルに柔軟に応じるよう、要求を出します。
・売り手側からしますと、一旦受け付けた確定オーダーは、キャンセル無く買い手側に買い取ってもらいたい、と言う要求が当然のようにあります。
買い手側の要求に応じますと、売り手側の在庫負担が増えます。
・ここの条件設定も、OEM契約の中で重要な事項の一つになります。
・私の経験を基に言いますと、この条件設定は、OEM契約の中で双方の主張がぶつかり合う事項ですので、充分な議論と検討を行って双方が“Win/Win”スキームで納得する条件を見出す必要があります。
◆例えば、
・売り手は、買い手側の確定オーダーのキャンセルを認めない。その代わりに、確定オーダーの20%までは、売り手から買い手への出荷予定時期を遅らす(リスケジューリング)事に応じる。
リスケジューリングは、1回のみ認める。
・買い手は、売り手の確定オーダーの20%までは、1回のみキャンセルに応じる。
但し、残りの確定オーダーは、変更無しに買い手に買い取ってもらう。
・OEM製品が売り手側でも自社製品で売っている、或いは、OEM製品に使用されている部品の多くが、他の製品への使用が可能である。
このような状況下では、売り手側は、買い手側のキャンセル要求に柔軟に応じることが容易になります。
この場合、売り手は、この柔軟なキャンセル要求への対応と引き換えに、より高いOEM製品の売値設定を行うことが可能になります。
今回のケースは、事業撤退する買い手側が、自社製品の代替として他社(売り手側)製品をOEM供給してもらう設定にしていますので、買い手側/売り手側にとって双方で柔軟な条件設定が可能になります。
今回はここまでとします。
次回は、(5) 販売条件 について述べます。
この項では、今回のキャンセル要求とは逆に、OEM製品の需要が増えて確定オーダーだけでは不足し、出荷の前倒し要求とか、緊急の追加オーダーへの対応を含めて説明します。
今回の記事について、ご関心或いはご質問がある方は、私まで下記アドレスにeメールにてご連絡下さい。
私は、すぐにはご回答出来ない場合もありますが、24時間以内にはご連絡します。
よろしく御願いします。
以上、
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