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撤退シナリオの実行-その6;代替製品のメーカーとのOEM契約のポイント-その7 [事業撤退に関する課題と対応]

                                                                             2007年6月1日

今回も、前回に引き続き、OEM契約のことについて述べます。

今回は、(10)保証 から述べます。

保証は、英語では“Warranty”と表現します。

一般に私たちが購入する電気製品には、1年間の保証期間が設定されています。
この保証期間内に不具合が発生した場合、無償で修理或いは良品と交換されます。

OEM契約の保証条項も、基本的には上述しました電気製品と同じ考えで設定されます。


◆売り手は、当該商品に不具合や欠陥がなく、それぞれの仕様に従った特定の品質を有することを保証します。

◆通常、売り手は商品が買い手から最終消費者に販売されてから、ある一定期間内に不具合や欠陥が発生した場合、買い手に無償で対応することを保証します。

◆設定される保証期間は、買い手側の都合を考えると可能な限り長く設定したい条件です。
売り手側の観点で考えますと、長い保証期間はコストアップの要因になりますので、可能な限り短くしたいとの潜在的欲求があります。

◆保証期間の設定は、OEM契約や売買契約の交渉過程で重要な課題の一つになります。これは、この期間が、売り手、買い手のコストに直接的な影響があるためです。

今回の事例では、買い手が自社製品の代替手段として売り手からOEM製品の供給をうけますので、保証期間は買い手の今までの製品と同じになります。

売り手は、買い手から要求された保証期間をカバーするコストを見積もって、買い手への売値を設定します。

◆保証期間は、対象製品によって異なりますが、通常“1年間(12ヶ月)”が多いようです。

◆保証内容も、製品や不具合の内容によって、無償修理か無償による良品交換になります。


次に、(11)保険 について述べます。

前回の記事で、(8) 所有権 について説明しましたときに、所有権が買い手に移った後は、買い手は全てのリスクを負うことになります。つまり、同時に損失危険も売り手から買い手に移ります、と述べました。

損失保険とは、例えば、売り手から買い手に製品を輸送中に火事、事故などにより製品がダメージを受ける損失をカバーするためにかけるものです。


保険のかけ方は、幾つかの選択肢があります。
例えば、売り手が保険をかける場合は、買い手への売値に10%くらいの料率で上乗せします。

買い手が保険をかける場合は、所有権が移った時点から適用するようにします。

保険の内容によって料率が異なってきますので、対象製品の価値や輸送手段などを勘案して、保険設定を行います。


今回は、ここまでとします。

次回は、(12)クレーム(請求) などについて述べます。

 
今回の記事について、ご関心或いはご質問がある方は、私まで下記アドレスにeメールにてご連絡下さい。

 bzsupmy@nna.so-net.ne.jp

私は、すぐにはご回答出来ない場合もありますが、24時間以内にはご連絡します。

よろしく御願いします。

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撤退シナリオの実行-その6;代替製品のメーカーとのOEM契約のポイント-その6 [事業撤退に関する課題と対応]

                                                                                 2007年5月26日

今回も、前回に引き続き、OEM契約のことについて述べます。

今回は、(8) 所有権 から述べます。

商品の所有権は、(7)出荷条件 の規定に従って、商品が引き渡された時点で売り手から買い手に移ります。

従って、この所有権が買い手に移った後は、買い手は全てのリスクを負うことになります。つまり、同時に損失危険も売り手から買い手に移ります。
この危険をカバーするための保険については、(11)保険 の項で述べます。


(9)支払い条件

この項では、支払い方法及び支払い通貨を規定します。

◆支払い方法例;

●国内取引の場合、
・約束手形;振出人が、受取人またはその指図人もしくは手形所持人に対し、一定の期日に一定の金額を支払うことを約束する有価証券のことです。

約束手形は、2、3ヶ月程度の中期信用を担う手段として広く利用されていることもあり、日本国内で流通する手形のほぼすべてが約束手形となっています。
このため、一般に「手形」という場合、約束手形を意味します。

・お互いに信用がある売り手と買い手間の場合、手形を使わずに売り手が指定する銀行口座への振り込み方法があります。売り手も買い手も余計な事務処理が発生しませんので、負荷が発生しません。

口座への振込み期限は、契約書の中に明記し、通常国内の場合、取引発生した日の翌々月末くらいまでに振り込む設定になります。

●海外取引の場合、
■D/P;Documents against Payment のことで、日本語では、“手形支払書類渡し“と言います。
これは、荷為替手形を利用した貿易決済方法のひとつです。
輸入者が銀行に代金を支払うことにより、船積書類を入手し、貨物を受け取ることができるという方法になります。

支払い方法には以下の二種類があります。

・一覧払い (At Sight Bill)
──────────────
銀行により呈示されたときに、輸入者が即時支払う。D/P at sightなどの表示があります。

・期限付き手形 (Usance Bill)
──────────────
輸入者が代金を支払った時点で船積書類が引き渡される。“D/P YY days after sight”などの表示があります。
 
・D/P決済は、銀行による保証がないことから、L/C(信用状取引)に比べてリスクを伴います。
このため、D/P決済は、現地子会社など信用に問題のない相手と行うか、そうでない場合は貿易保険(輸出手形保険)を付保するなどの方法を取ります。


■L/C;Letter of Credit のことで、日本語では信用状取引と言います。
これは、貿易決済を円滑化するための手段として、銀行が発行する支払い確約書を言います。
通常のプロセスは、次のようになります。

・売り手は船積書類を引き渡す。買い手は船積み書類を用いて貨物の輸入通関と引き取りを行う。
・発行銀行が買取銀行に買取金額を支払う。買取からこの支払い完了までにかかった金利は、信用状に規定された内容に従って、売り手又は買い手に別途請求される。


■もっと相手が信用できる場合、国内と同様に、手形を使わずに売り手が指定する銀行口座への振り込み方法があります。


**ここでは、海外取引に関する詳細な支払い方法の説明は省略します。
もっと詳細な方法を知りたい方は、輸出手続きを説明した書籍をお読み下さい。


今回はここまでとします。

次回は、(10)保証 などについて述べます。

 
今回の記事について、ご関心或いはご質問がある方は、私まで下記アドレスにeメールにてご連絡下さい。

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撤退シナリオの実行-その6;代替製品のメーカーとのOEM契約のポイント-その5 [事業撤退に関する課題と対応]

                                                                                2007年5月12日

今回も、前回に引き続き、OEM契約のことについて述べます。

今回は、先ず(6) 出荷条件 から述べます。

◆国内取引の場合、売り手は、買い手と合意した確定オーダーの条件に従って、個別契約が成立した当該製品を買い手が指定する納入場所に発送する。
この時に、当該製品にかかる対価、及び、それにかかる消費税及び地方消費税を記載した請求書を同封する。

◆海外取引の場合、一般的に以下のような取引条件となります。

・売り手は、買い手と合意した確定オーダーの条件に従って、個別契約が成立した当該製品を双方で合意した納入予定に従い、___港から船積みされる。

・売り手と買い手間の全ての船積みに付いての納入条件は、国際商工会議所の最新インコタームズで定義されたFOB___とする。
また、売り手は買い手により特定された他の納入条件での注文も引受けることに合意する。

・売り手は商品出荷後、直ちに速達郵便にて、インボイス、パッキングリスト、B/Lの譲渡不能の書類1セットを買い手に送付する。

・ここでのポイントは、出荷に遅れが発生した場合の処置をきちんと決めておく事です。

例えば、以下のような設定の仕方があります。

“売り手が買い手への納入指定日より30日以上納期を遅延させた場合、買い手は約定損害賠償として商品価格の10%を値引として受取る。
もし売り手の納入遅延により買い手が被った損失及び損害が上記10%を超えたことを買い手が証明することができる場合には、売り手は買い手の要求によりその損失及び損害も補償する。”

◆梱包

売り手は輸送に耐えうる適切に梱包された商品を納入する。売り手は本契約又は個別の供給・購入契約に定められた納入条件の如何に関わらず、不適切な梱包に起因する損害に対し責任を負う。


次に、(7) 検査 について説明します。
一般に次のような規定になります。

◆買い手は、製品の受領後30日以内に、製品の型版、数量及び外観を検査し、製品が受け入れ検査に合格した場合には、売り手に対し合格通知を交付する。

◆受け入れ検査の結果、品違い、数量過不足、又は外観不良があることが判明した場合、買い手は、その旨の検査結果を記載した書面を添えて売り手に通知する。

◆当該30日以内に、買い手に納入した製品が当該検査で不合格となった旨の書面による通知が買い手から売り手に対してなされない場合、当該期間に満了時かかる製品は検査に合格したものとする。

◆売り手が納入した製品が受け入れ検査の結果不合格となった場合、買い手は当該不合格品を売り手指定の場所に返送する。
売り手は当該不合格品を受領後、別途合意した期間内に代替品を納入する等必要な措置を講じる。

                      

今回はここまでとします。

次回は、(8) 所有権 などについて述べます。

 
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撤退シナリオの実行-その6;代替製品のメーカーとのOEM契約のポイント-その4   [事業撤退に関する課題と対応]

                                            2007年5月5日


今回は、前回に引き続きOEM供給契約について述べます。

OEM契約の項目の中から、(5)販売条件 の注意すべき点について説明します。

販売条件は、下記4つの項目について規定します。

(5)‐1売値
(5)‐2製造からの引き当て順位
(5)‐3商品供給の停止に関する条項
(5)‐4消費税


(5)‐1売値

・売値は、売り手側が買い手側から出されました注文を受け付ける時点で合意した価格に基づいて決まります。
通常、当該価格は契約書本文中か、添付資料に表示された価格表に明示されます。

・売値は、製造コストや運賃、或いは、購入台数などにより決まります。

・取引が海外メーカーと行う場合、上記要因に加えて、為替レートの変動も含めた、売値設定を行います。

・売値を定期的に(例えば、毎年毎)に見直しを行う場合、“両者は製造コスト、運賃、____と日本円との為替レート、市場状況及び商品価格に影響を与えるその他要因を考慮して、翌年度に売手が受ける注文に適用される価格を協議の上合意するものとする。”などの条項を入れます。


(5)‐2製造からの引き当て順位


・売り手側は、契約書で規定されたオーダールールに従って買い手側から受けたオーダーに基づいて、製造手配を行い、供給します。


・買い手側が、市場の変化に基づいて、既にオーダーしたもの(確定オーダー)の前倒し出荷を要求したり、オーダールールに基づかない追加(Spotと呼ぶ場合がある)オーダーを出す要求をどこまで認めるか、条件設定を具体的に行う必要があります。


・買い手側から言いますと、上記条件は可能な限り柔軟に設定したい。売り手側から見ますと、イレギュラーな事は可能な限り避けて、リスクを負わないで、安定したオペレーションをしたい、となります。

この条件設定は、双方の力関係、製造の容易さ、売値などにより、双方が合意出来るところで決まります。

 

(5)‐3商品供給の停止に関する条項


・通常OEM契約は、3年とか5年とかの供給期限を定めて締結されます。

・この契約期間中に想定外の出来事、例えば、OEM製品で使用している部品の製造が急に中止になり、代替部品も無く、OEM製品自体の生産が継続出来なくなる場合とか。

・或いは、売り手側の経営環境が変化してOEM製品の供給継続が困難になった場合とか、のケースが想定されます。

・これらのケースが発生した場合、買い手側は、代替の製品を確保するか、OEM製品の供給をストップする経営判断を行う必要があり、この判断と新しい選択肢の準備のための猶予期間を確保しておく必要があります。

・このために、買い手側は、売り手側にOEM製品の供給停止を事前に連絡し、買い手側のビジネスへの影響を最小化する条件を要求します。

・例えば、売り手側は、最短で3ヶ月前、或いは、6ヶ月前に買い手側に供給停止の事前連絡を行い、買い手側は、OEM製品の“Last-buy”の権利を確保しておく。

この事前通知期間が長ければ長いほど、買い手側に有利で売り手側には必要部品の確保などの負担が生じます。
又、短いと、買い手側の選択肢の幅が狭まり不利になります。


事前通知期間の設定も、売り手側と買い手側の力関係などで決まるケースが多いです。


・上記のケーとは別に、OEM契約が失効した時に、買い手側が既に発注したオーダー分の製造と出荷を売り手側に義務として規定しておく必要もあります。

 

(5)‐4消費税


・売値の中に消費税を含めておくかどうか決めておきます。

・含めない場合は、消費税は請求書の中で別表示にします。

・いずれの場合も、売り手側、買い手側の双方が本体価格と消費税がわかり易いように設定し、請求書の表示も明確化しておくことが必要です。

 

今回はここまでとします。

次回は、(6) 出荷条件 などについて述べます。

 
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撤退シナリオの実行-その6;代替製品のメーカーとのOEM契約のポイント-その3 [事業撤退に関する課題と対応]

                                                                              2007年4月29日


今回は、前回に引き続きOEM供給契約について述べます。

OEM契約の項目の中から、(4) キャンセルと受け入れ予定の再設定要求(リスケジューリング) の注意すべき点について説明します。


(4) キャンセルと受け入れ予定の再設定要求(リスケジューリング)


・買い手側からしますと、ビジネス環境の変化に即応して、自社ブランド品の売上げが落ちてきましたら、在庫過多になる事を避ける為、売り手側に確定オーダーのキャンセルに柔軟に応じるよう、要求を出します。

・売り手側からしますと、一旦受け付けた確定オーダーは、キャンセル無く買い手側に買い取ってもらいたい、と言う要求が当然のようにあります。
買い手側の要求に応じますと、売り手側の在庫負担が増えます。

・ここの条件設定も、OEM契約の中で重要な事項の一つになります。

・私の経験を基に言いますと、この条件設定は、OEM契約の中で双方の主張がぶつかり合う事項ですので、充分な議論と検討を行って双方が“Win/Win”スキームで納得する条件を見出す必要があります。

◆例えば、

・売り手は、買い手側の確定オーダーのキャンセルを認めない。その代わりに、確定オーダーの20%までは、売り手から買い手への出荷予定時期を遅らす(リスケジューリング)事に応じる。
リスケジューリングは、1回のみ認める。

・買い手は、売り手の確定オーダーの20%までは、1回のみキャンセルに応じる。
但し、残りの確定オーダーは、変更無しに買い手に買い取ってもらう。

・OEM製品が売り手側でも自社製品で売っている、或いは、OEM製品に使用されている部品の多くが、他の製品への使用が可能である。

このような状況下では、売り手側は、買い手側のキャンセル要求に柔軟に応じることが容易になります。

この場合、売り手は、この柔軟なキャンセル要求への対応と引き換えに、より高いOEM製品の売値設定を行うことが可能になります。

今回のケースは、事業撤退する買い手側が、自社製品の代替として他社(売り手側)製品をOEM供給してもらう設定にしていますので、買い手側/売り手側にとって双方で柔軟な条件設定が可能になります。


今回はここまでとします。

次回は、(5) 販売条件 について述べます。

この項では、今回のキャンセル要求とは逆に、OEM製品の需要が増えて確定オーダーだけでは不足し、出荷の前倒し要求とか、緊急の追加オーダーへの対応を含めて説明します。


 
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撤退シナリオの実行-その6;代替製品のメーカーとのOEM契約のポイント-その2 [事業撤退に関する課題と対応]

                                                                          2007年4月21日


今回は、前回に引き続きOEM供給契約について述べます。
OEM契約の項目と注意すべき点について説明します。


OEM契約の項目は、通常以下の通りです。

(1) 定義条項
(2) 最低購入数
(3) 購買予測と確定オーダーの入れ方
(4) キャンセルと受け入れ予定の再設定要求(リスケジューリング)
(5) 販売条件
(5)‐1売値
(5)‐2製造からの引き当て順位
(5)‐3商品供給の停止に関する条項
(5)‐4消費税
(6) 出荷条件
(7) 検査
(8) 所有権
(9)支払い条件
(10)保証
(11)保険
(12)クレーム(請求)
(13)工業所有権
(14)商標
(15)秘密保持
(16)契約期間条項
(17)終了(契約解除)条項
(18)その他雑則


上記OEM契約と同時に、サービストレーニングやサービス用部品の供給保証を定めたサービスサポート契約も同時に締結します。


では、上記OEM契約の各事項の主要ポイントについて説明していきます。


(1) 定義条項

当該契約書内で使用される主要な言葉の定義を規定します。

具体的には、

・『商品』とは、添付書類に記載の________________を意味する。
・『対象地域』とは、両者間で合意した________________地域を意味する。
・『商標』とは、添付書類に記載の買い手側所有の商標を意味する。
・『買い手』;自社を意味する。
・『売り手』;相手先を意味する。

などです。


(2) 最低購入数

・買い手は、年間或いは契約期間内に、最低___台購入する最善の努力をする。

⇒通常、売値はこの購入数により決まります。
従って、この最低購入数をどう設定するかは、買い手/売り手の主要交渉ポイントの一つです。

今回、買い手は、自社製品の代替として売り手からOEM供給を受けようとすると、売り手の同意を得るためには、売り手にとって魅力的な条件、即ち最低購入数のコミットメントを出さなければなりません。

しかし、買い手にとっても大きなリスクは取れませんので、売り手の採算が取れて買い手にとっても販売可能な数量/売値で合意が取れるまで両者でぎりぎりの交渉を行うのが常です。


(3) 購買予測と確定オーダーの入れ方

買い手は、売り手の生産キャパシティを確保させ、安定した供給を行ってもらうために、購買予測数量を事前に売り手に連絡します。

売り手は、OEM製品を製造するために必要な部品の購買数量を決めたり、当該数量を製造するために必要な生産ラインの確保などのためにこの購買予測数量を使います。

従って、売り手側からしますと、買い手から事前に出される購買予測数量と確定オーダー間の差異は小さいほうが安定した事業を行える事になります。

買い手側から見ますと、確定オーダーに対して精度の高い購買予測数量を出す事は、難しく、可能な限り柔軟に対応して欲しいと言うのが売り手に対する要求です。

この項目も、買い手と売り手との間でお互いが“Win・Win”の関係で合意が取れるまで十分に交渉する条件の一つです。

売り手から見ますと、購買予測数量と確定オーダー間の差異についてある程度のガイドラインを買い手に要求することが多いです。

例えば、購買予測数量が確定オーダーより、ある程度のパーセンテージで下回った場合(例えば、30%)、売り手は、購買予測数量分しか、買い手に供給しない、条件です。

逆に、確定オーダーが購買予測数量より大幅に下回った場合、(例えば、40%)、買い手は、購買予測数量分を買い取る義務を負荷する、条件です。

因みに、これらの条件は、買い手と売り手の力関係の影響を受けて設定される場合もあります。

 

今回はここまでとします。

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撤退シナリオの実行-その6;代替製品のメーカーとのOEM契約のポイント-その1 [事業撤退に関する課題と対応]

                                                                          2007年4月14日


今回は、OEM供給契約について述べます。


自社製品の代替製品の供給方法として、他社からの自社ブランド品のOEM供給を受ける場合のポイントは、以下の様になります。

A.自社ブランド品ですから、今までの自社製品と同様に扱って販売出来ます。

B.しかし、商品説明やアフターサービスなどは、自社ブランド品として行う必要があるため、商品勉強、関連技術の取得、修理技術の習得など、相当な時間・お金をかけての投資がひつようになります。

C.また、アフターサービスを自社で行う必要があるため、補修用部品の在庫・供給体制を確立する必要があります。

D.相手先が大元の製品の生産をストップする場合の取り決めもきちんと決めておいて、その場合が来ましたら、OEM製品はある期間きちんと製造・供給してもらう仕組みを確立しておく必要があります。

E.商品による事故が発生した場合、顧客に対しての製造者責任が問われます。この事態に備えて、相手先と当該製品に関して事故が起きたときの対応をきちんと取り決めておく必要があります。

F.同様に、第三者がOEM製品に使用されている特許の侵害を訴えた場合の対応についても、相手先と対応をきちんと取り決めておきます。

EやF項は、リスクマネージメントの観点から確実におさえておく必要があります。


相手先とのOEM契約は、上記事項を含めて相手先と結ぶことになります。

OEM契約の項目と注意すべき点は、次回に述べます。

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撤退シナリオの実行ーその5;代替製品のメーカーとの売買契約締結 [事業撤退に関する課題と対応]

                                                                                2007年4月8日

今回から、(2)代替製品のメーカーとの売買契約締結 について述べていきます。

代替製品の評価結果がOKの相手先が複数の場合、買値、アフターサービスなどのビジネス条件を個別に確認し、自社にとってベストで、“Win/Win”スキームが構築出来る相手先と最終的に契約を結ぶ事になります。

又、ビジネス条件の交渉を行うときに、買値やアフターサービスに加えて、代替製品を自社ブランドにするか、相手先のブランド品のままで扱うかも重要な判断項目になります。

自社ブランド品、つまり相手先から自社ブランドのOEM供給を受けるわけですが、
OEMにするかどうかは相手先の意向も含めて十分に議論、検討して決めることになります。

[注]OEM; OEM(オーイーエム) は、Original Equipment Manufacturingの略で他社ブランドの製品を製造することです。製造を委託する側の企業をOEM元、製造を委託される側の企業をOEM先と呼びます。


OEMで供給を受ける場合、自社ブランド品として売れますので、自社の販売チャネルは、代理店も含めて今まで通りの営業方法で事業を継続することが可能です。

又、OEMの場合、アフターサービスは、自社で行う必要がありますので、相手先からサービストレーニングを受けたり、サービス用部品の供給を受ける仕組みづくりが必要になります。

OEMの場合、自社の負担が大きくなりますので、相手先から購入する製品価格は可能な限り安くなるように交渉する必要があります。

一般的に、代理店を含めた販売側は、自社ブランド品を扱うことを好みますが、アフターサービスやサービス用部品の在庫確保などの負担も増えますので、自社ブランド品にするかどうかは、Pros(プラス点)/Cons(マイナス点)を洗い出してトータルでプラスになるかで決めることになります。


自社ブランド品で扱わない結論に達した場合、相手先から相手先ブランド品をそのまま供給してもらいます。

複数の相手先候補がいた場合、自社ブランド品か相手先ブランド品かの選択肢もいれて、購買価格、アフターサービスなどの条件により、ベストな相手先と供給方法を選ぶます。


今回は、ここまでとします。

次回から、購買契約の形態を、OEM供給(自社ブランド品)で行う場合と、相手先ブランド品で行う場合に分けて、各々のケースの購買契約のポイントと課題について説明していきます。

次回は、OEM供給契約について述べます。

 

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4.撤退シナリオの実行ーその4 [事業撤退に関する課題と対応]

                                                   2007年3月31日

今回は、前回に引き続き、各社と代替製品決定の事に関して話をするときのポイントについて説明します。

A.自社製品撤退の時期などの説明

⇒自社製品の撤退理由や、時期について明確に述べ、代替製品選定と供給に協力してもらえるようきちんと説明・要請する。

この時点で、相手先から協力的でない態度が見られたら、話はここで打ち切る。


B.代替製品決定の協力要請(自社での品質評価用機材の貸与、評価用関連技術情報の提供や必要に応じての技術支援など)

⇒A項で協力が得られる見通しがついた場合、自社製品の撤退時期までに相手先製品の評価を終了し、ビジネス条件などを確定する必要があることを説明し、詳細な手順と全体のスケジュールを確認し、合意を取り付ける。

ここでが、相手先製品の評価用機材の無償貸与と、評価期間中の無償技術支援を期間を決めて相手先ときちんと合意をしている事が大事。


C.評価期間の設定

⇒相手先製品の評価期間は、自社のエンジニアの工数と、相手先の事情を良く考えて相手先の合意を得られる形で、設定する必要がある。

自社エンジニアによるきちんとした評価と、相手先の都合も考えて必要、且つ、最短の期間設定を行う。


D.評価結果の相手側への説明と今後の対応予定の確認(大枠の共通理解を取る)
⇒評価がOKだった場合の次の事業展開の可能性の検討方法なども含む

評価結果は、きちんと報告書として作成し、各々の相手先に説明する。

特に、満足のいかない評価結果が出た場合、その内容について相手先にきちんと説明し、評価への協力に対しては十分に礼を尽くして行うようにする。

評価結果がOKの相手先が複数の場合、買値、アフターサービスなどのビジネス条件を個別に確認し、自社にとってベストで、“Win/Win”スキームが構築出来る相手先と最終的に契約する事の合意をきちんと取るようにする。


E.全体のスケジュール

⇒AからDまでのスケジュール、及び、その後の、最終的な相手先の決定(契約締結)までのスケジュールを自社の都合と相手先の都合も調整・考慮して決める。

相手先製品の評価までのスケジュールは、ある程度明確に引けますが、その後にOKとなった複数の会社と個別に売買契約の条件などを交渉し、ベストな会社と合意、契約締結までのスケジュールを正確に引くのは困難である。

この時は、自社製品の撤退時期を余裕を見て設定しておく事と、売買条件などの交渉に必要以上に時間を要する相手先とは、その時の状況を見ながら打ち切る決定も行う必要がある。


今回は、ここまでとします。

次回からは、(2)代替製品のメーカーとの売買契約締結 について述べていきます。
 

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4.撤退シナリオの実行-その3 [事業撤退に関する課題と対応]

                                                       2007年3月25日


今回も前回に引き続き、4.撤退シナリオの実行のうち、(1)穴埋め;代替製品の決定 について述べます。

前回では、自社製品の機能・性能と複数の他社製品のものを比較し、共通点と差異店を明確化するため、一覧表を作成し、この一覧表から、複数の代替製品の候補をピックアップします、と述べました。


この候補が見つかりましたら、この候補製品を供給しているメーカーに対し、個別に自社の撤退と、代替品として貴社の製品を扱えるかなどの打診を行います。

各社と話すときに、自社の撤退の話が不用意に市場にもれるといっぺんに市場での信用を失いますので、慎重に対応する必要があります。


相手の会社が余り信用できない場合は、相手先とNDA(機密保持契約)を締結して自社の状況説明や協力依頼などを行います。

相手先の企業を知っている場合は、NDA無しで、“Gentleman Agreement”ベースで秘密保持を確認して自社の状況説明や協力依頼などを行います。


基本的に相手先にとっては、競合他社が市場から撤退し自社製品を扱わせて欲しいとの提案ですので、拒否される可能性は少ないと考えられますが、相手によっては、供給を拒否し、市場から徹底的に追いだそうとする選択肢を取る可能性もあります。

相手がこのような過激な方法で対応する可能性が見込まれる場合は、この話自体を行わないか、行うにしてもきちんと上述のNDAを締結して機密保持を確実にして話をする必要があります。

この辺の対応は、相手企業との関係や市場状況などを良く見て決める必要があります。

さて、相手側と話をする場合、以下の事項について明確に説明し相手側の理解・協力を得られるように行います。


A.自社製品撤退の時期などの説明
B.代替製品決定の協力要請(自社での品質評価用機材の貸与、評価用関連技術情報の提供や必要に応じての技術支援など)
C.評価期間の設定
D.評価結果の相手側への説明と今後の対応予定の確認(大枠の共通理解を取る)
⇒評価がOKだった場合の次の事業展開の可能性の検討方法なども含む
E.全体のスケジュール


今回は、ここまでとします。

次回は、上記AからEまでの事項のポイントについて説明します。
 

今回の記事について、ご関心或いはご質問がある方は、私まで下記アドレスにeメールにてご連絡下さい。

 bzsupmy@nna.so-net.ne.jp

私は、すぐにはご回答出来ない場合もありますが、24時間以内にはご連絡します。

よろしく御願いします。

以上、

 


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