SSブログ
アライアンスから期待する効果 ブログトップ
前の10件 | 次の10件

日経記事;『ソニー・ホンダ、創業時のスピリッツ再起へタッグ』に関する考察 [アライアンスから期待する効果]

                 2022年3月7日


皆様、

こんにちは。

グローバルビジネスマッチングアドバイザー 山本 雅暁です。

 

35日付の日経新聞に、『ソニー・ホンダ、創業時のスピリッツ再起へタッグ』のタイトルで記事が掲載されました。

 

本日は、この記事に関して考えを述べます。

本記事の冒頭部分は、以下の通りです。

『ソニーグループとホンダが電気自動車(EV)の分野で提携した。本体から独立した共同出資会社を2022年中に設け、技術者が創造的に設計・開発できる自由な環境を整える。両社のEV戦略に漂う停滞感を打破し、技術や事業モデルの開発スピードを上げる。自動車産業が100年に1度といわれる変革期を迎えるなか、ソニーとホンダが創業時のスピリッツを取りもどせるかが問われる。。。』

 

自動運転機能付EVの開発・実用化について、先日、ソニーとホンダは提携を発表しました。この日以来、ほぼ毎日本件に関する記事が各種メディアに掲載されています。

 

今回の記事もその一つになります。

 

今回の記事の要旨は、ソニーとホンダが創業時のスピリッツを取りもどせるかが問われるとのことです。

 

私は、ソニーとホンダが第二次世界大戦後の平和な日本で、井深さんと本田さんが独自に立ち上げた新興企業である歴史をある程度、書物やメディアの記事で読んでおり、一定程度の情報をもっています。

 

しかし、両社の創業者は、すでに存命しておりません。また、両社の社会環境・事業環境は大きく変化しています。

 

ホンダの事業環境は、ソニーのそれと比較して厳しいものになっています。トヨタの豊田さんが、言われていますように、今の自動車業界は、100年に1度の大変革期にあります。

 

私は、以前のブログ・コラムで、ホンダが今まで自社のリソースを中心とした垂直統合方式で、ガソリンエンジン車の開発・実用化を進めてきたことについて書いています。

 

既存自動車メーカーは、ガソリンエンジン車の開発・実用化については、非常に多くのノウハウを蓄積しています。

 

しかし、自動運転機能付EVの開発・実用化については、ガソリンエンジン車で蓄積したノウハウは、しょうしょう極論を言いますと、車体の安全性や信頼性などを除けば、ほとんど役に立ちません。

 

現在の自動運転機能付EVの開発・実用化は、グーグルなどの米大手IT企業や中国企業が中心になって進めています。

 

ホンダの現経営陣は、ガソリンエンジン車の未来を見据えた結果、新規のガソリンエンジン車の開発・実用化を行わずに、EVの開発・実用化に特化すると宣言しました。

 

ホンダにとっての経営課題は、自動運転機能付EVの開発・実用化を迅速、かつ、効果的に進める体制の早期確立です。

 

現時点で、EVの開発・実用化で先頭を切っていますのは、間違いなくテスラモーターズです。

 

テスラモーターズの創業者は、IT企業出身です。テスラの設計・開発思想には、IT企業の考え方やノウハウが適用されています。

 

米大手IT企業は、過去20年位の間に、各国の既存事業基盤を急速に破壊・再構築してきました。その結果、これらの企業は、自社の事業基盤のプラットフォーマーとして君臨しています。

 

自動運転機能付EVの市場には、グーグルだけでなく、アップルやアマゾンなどの米大手IT企業が、参入してきます。

 

これらのIT企業は、自動車専業メーカーではありません。IT企業は、水平分業方式で自動運転機能付EVの開発・実用化を実行します。

 

国内の自動車メーカーでは、トヨタがこの急激な事業環境の変化を予測して、こてこての垂直統合方式の開発・実用化から、水平分業方式の体制に移行しつつあります。

 

また、トヨタは、水素燃料電池車に加えて、自動運転機能付EVの開発・実用化を、巨額投資により、迅速に行うことを表明しています。

 

ホンダが、自動運転機能付EVの開発・実用化を行うためには、徹底的に水平分業方式での事業化を実行する必要があります。

 

水平分業方式とは、他社とのオープンイノベーション;事業連携(アライアンス)を行うことにあります。

 

オープンイノベーション;事業連携(アライアンス)を成功させるためには、参加企業の事業分野が重複しないこと、お互いにイコールパートナーシップであること、お互いに強みを持つことによる勝者連合になること、「Win/Win」の関係維持ができることなどが、必要十分条件になります。

 

ソニーの場合、今までの集中と選択作業の結果により、家電メーカーから、ゲーム・音楽・映画・ITなどの総合的なエンターテインメント企業に進化しました。

 

ソニーは、すでに自動運転機能付EVの事業化検討を行い、近々に検討を終了することを発表していました。

 

ソニーとホンダが、EVに特化した事業会社を2022年度中に設立することは、ソニーが自動運転機能付EVの事業化に向けて、1歩踏み出したと判断します。

 

ソニーも、米大手IT企業と同じように、エンターテインメントのコンテンツやソフトウエアを消費者に届ける、電子端末機器の拡充が必要になっています。自動運転機能付EVは、動く電子端末機器になります。

 

ソニーとホンダが、お互いの強いを持ち寄って、上記します、オープンイノベーション;事業連携(アライアンス)を成功させるための必要十分条件を満たせば、日欧米などの市場で勝ち組になることが可能です。

 

私は、この視点から、今後のソニーとホンダの事業連携(アライアンス)の動きに注目していきます。

両社の事業連携(アライアンス)のやり方は、ベンチャー・中小企業にとって参考になることによります。

 

よろしくお願いいたします。

 

グローバルビジネスマッチングアドバイザー GBM&A 山本 雅暁


nice!(2)  コメント(0) 
共通テーマ:仕事

日経記事;『宅配EV、開発2倍速フォロフライ、中国勢に生産委託』に関する考察 [アライアンスから期待する効果]

                                                   2022年1月14日


皆様、

こんにちは。

グローバルビジネスマッチングアドバイザー 山本 雅暁です。

 

1月14日付の日経新聞に、『宅配EV、開発2倍速フォロフライ、中国勢に生産委託』のタイトルで記事が掲載されました。

 

本日は、この記事に関して考えを述べます。

本記事の冒頭部分は、以下の通りです。

『ソニーグループが参戦を表明した電気自動車(EV)の大競争。国内の新規参入では新興勢の商用車が先行する。フォロフライ(京都市)の宅配向けEVの開発期間は1年半が視野に入る。既存メーカーの約2倍というスピード開発を可能にするのは、スマートフォン(スマホ)のように企画や設計に特化し、生産を外部委託する「水平分業」のものづくりだ。。。』

 

この記事に登場するフォロフライ;folofly Inc は、20218月に設立されたばかりの会社です。

https://folofly.com/ 

 

この会社が、宅配用途に特化したEVの開発・実用化を進めています。本記事によりますと、この宅配用EVの開発・実用化は、1.5年で可能とのことです。

 

通常通りであれば、新規の自動車開発・実用化には、5年くらいかかります。これは、自動車を自社で開発・実用化するためです。このやり方は、現在多くの自動車メーカーが採用しています垂直統合方式と言います。

 

フォロフライを設立しました小間裕康氏は、2010年にグリーンロードモータース株式会社(現:GLM株式会社)を設立しています。GLMは、国内初の量産EVスポーツカー『トミーカイラZZ』を開発・実用化しました。

 

この時、GLMは自前でEVスポーツカーを開発・実用化しました。

 

小間氏は、このGLMでの経験をベースに、宅配EVの開発・実用化をより短期間に行うために、中国メーカーとの連携・協業(アライアンス)を選択しました。

 

中国では、現在各種用途のEVの開発・実用化が活発に行われており、多くの企業がEV市場に参入しています。

 

本記事によりますと、小間氏は車体やソフトウエア開発、製造を、中国企業に委託し、自前では商品企画、デザイン設計、販売、保守を行う水平分業方式を採用しました。

 

これは、お互いが強みを持ち寄って、イコールパートナーシップで実行する連携・協業(アライアンス)のやり方になります。

 

一般的に、中国メーカーのフットワークは、国内企業に比べて速いです。この点も、フォロフライが中国メーカーを選んだ理由の一つになります。

 

ソニーは、米国ラスベガスで開催されたCES2022にて、自動運転機能付EVの事業化の可能性について発表しました。

 

ソニーがEV市場に参入する場合、間違いなくフォロフライと同じように、他社との連携・協業(アライアンス)を組んで事業化します。

 

この連携・協業(アライアンス)をうまく生かすためのポイントの一つが、参加する企業が、お互いに強みをもっており、イコールパートナーシップで「Win/Win」の関係が構築できるかにあります。

 

アップルが、この連携・協業(アライアンス)を最大限活用して、iPhoneの事業化に成功しています。

 

アップルが、iPhoneの開発時に探した連携・協業(アライアンス)先は、どこも各分野で強みを持っている企業でした。

 

アップルは、iPhoneの商品企画、デザイン、関連ソフトウエアの開発、マーケティング、広告、販売を行い、本体の製造は台湾企業に委託しました。

 

アップルは、この連携・協業(アライアンス)で当然のごとく強いリーダーシップを発揮して、色々な開発上の課題解決を、アライアンス先企業と協力して実行しました。

 

アップルの事例が示すように、他社との連携・協業(アライアンス)を効果的に、かつ、確実に行うには、中核となる企業の強い思いやリーダーシップが必要になります

 

今回の日本企業の例ですと、フォロフライやソニーになります。国内企業同士の連携・協業(アライアンス)の中には、仲良しクラブみたいな印象をもつ事例が散見します。

 

国内企業が、海外企業との連携・協業(アライアンス)を確実に行うには、中核企業がしっかりとした思いや理念をもち、お互いの役割分担を明確化して、強いリーダーシップのもと、「Win/Win」の関係を維持できるように動くことが、必要であり重要になります。

 

私は、ある企業から、今後新商品を開発・実用化するには、他社との連携・協業(アライアンス)が重要であるので、支援して欲しいとの依頼を受けました。

 

この企業は、他社との連携・協業(アライアンス)の経験がありませんでした。この依頼を受ける前に、十分なヒアリングを行った結果、支援しないことを決めました。

 

この企業は、他社との連携・協業(アライアンス)が他企業との仲間づくりである、との思いから脱却できないことにありました。

 

他社との連携・協業(アライアンス)は、単なる仲間づくりではありません。連携・協業(アライアンス)を行うことによって、どのような事業目的を達成し、自社及び他社の利益になるのか、明確化した上で、推進・実行する必要があります。

 

さもなければ、このような他社との連携・協業(アライアンス)は、例外なく失敗します。特に、ベンチャー・中小企業は、他社との連携・協業(アライアンス)が流行っているから、自社も行うというような安易な気持ちでは、この経営手法を採用してはいけません。

 

これは、失敗すれば、下手すると大やけどを負うリスクがあることによります。

 

よろしくお願いいたします。

 

グローバルビジネスマッチングアドバイザー GBM&A 山本 雅暁


nice!(2)  コメント(0) 
共通テーマ:仕事

日経記事;『パナソニック、成功のカギは仲間づくり 米ソフト買収で』に関する考察 [アライアンスから期待する効果]

                                                    2021年4月26日

皆様、

こんにちは。

グローバルビジネスマッチングアドバイザー 山本 雅暁です。

 

425日付の日経新聞に、『パナソニック、成功のカギは仲間づくり 米ソフト買収で』のタイトルで記事が掲載されました。

 

本日は、この記事に関して考えを述べます。

本記事の冒頭部分は、以下の通りです。

『パナソニックが米ブルーヨンダーを71億㌦(約7700億円)で買収することで合意した。サプライチェーン・マネジメント(SCM)システムで業界トップを走るブルーヨンダーの買収で、売り切り型の製造業モデルから転換できるかが試される。独自のIoT基盤「ルマーダ」で成功している日立製作所など先例を見ると、提供するサービスの「仲間づくり」の重要性が見えてくる。。。』

 

パナソニックは、423日にブルーヨンダー(Blue Yonder)の全株式取得について発表しました。私は、パナソニックが用意しました下記説明会資料を読みました。https://www.panasonic.com/jp/corporate/ir/pdf/blue_yonder_j.pdf 

 

正直言いまして、私はパナソニックの説明会資料を読んでも、パナソニックがブルーヨンダーの買収後に、どのような形で事業展開するのか明確に理解できません。

 

一般的に、M&Aを行う目的の一つに、買収企業側が新規事業を一気に立ち上げることがあります。今回の場合、パナソニックはブルーヨンダー買収により、SCMSupply Chain Management, サプライチェーン・マネジメント)のビジネスを新規にもつことになります。

 

パナソニックは電気機器メーカーですので、SCMのソフトウェアビジネスを事業領域の一つに加えることで、収益の拡大を実現できます。パナソニックは、ハードウェアビジネスとソフトウェアビジネスの両輪をもつことになります。パナソニックの買収目的が単にこれだけの理由であれば、この状況はシンプルです。

 

パナソニックは、以前にソニーと並ぶ日本の代表的な家電機器メーカーでした。パナソニック、ソニーなどの家電機器メーカーは、マイクロソフトやアップルなどの米大手IT企業や、中国、台湾、韓国などのメーカーとの競争に負けました。国内企業がこれらの海外企業に負けた要因は、商品の企画力・開発力、コスト競争力の分野で劣っていたことにあります。

 

ソニーは、何度か苦しみながら事業の撤退、売却などを行って、音楽、映画、ゲームなどの非ハードウェアビジネスでプラットフォーマーになることを指向、実現できした。また、CMOSセンサーデバイスも、ハードウェアではありあますが、スマートフォンなどを支えるプラット事業になります。

 

ソニーが目指したのは、音楽、映画、ゲームなどの分野でプラットフォーマーになり、売り切り型ではなく継続的に課金ができるビジネスモデルです。

 

パナソニックの発表資料によると、「ブルーヨンダーのSCMを獲得し、当社インダストリアルエンジニアリング、エッジデバイス、IoTと融合、CyberPhysicalをつなげることで、お客様の課題解決に貢献」と書いてあります。

 

 

つまり、パナソニックはブルーヨンダーのサービスと自社の技術やノウハウを一体化させて、ソリューション提供ができるプラットフォーマーになることを目指すようです。

 

もしパナソニックがソリューション提供をできるプラットフォーマーになることを意図するならば、ハードウェアビジネスで培ったノウハウや考え方を、いったん横において事業展開する必要があります。いわゆるオープンイノベーション;事業連携(アライアンス)のやり方で、パートナー探しを行うことになります。

 

自動車業界で、このオープンイノベーションを積極的に行っているのが、トヨタ自動車です。トヨタは、100年に1度の大変革期にあるという危機意識から、数年前からデジタル化への対応やオープンイノベーション;事業連携(アライアンス)を積極的に行っています。

 

オープンイノベーション;事業連携(アライアンス)を実現するには、事前に周到な準備と企業文化を変える必要があります。

 

国内の製造業は、自動車産業に代表されるように今まで強みの源泉を商品企画、開発、設計、製造、販売までの全工程を自社内で行う、一気通貫型のビジネスモデルを採用してきました。一気通貫型のビジネスモデルは、オープンイノベーション;事業連携(アライアンス)のビジネスモデルとは真逆になります。

 

ここにトヨタの苦しみがありました。しかし、トヨタはトップ主導でオープンイノベーション;事業連携(アライアンス)を進めています。トヨタのトップは、オープンイノベーション;事業連携(アライアンス)を実現しないと、自社は滅びると確信しているからです。

 

パナソニックが、オープンイノベーション;事業連携(アライアンス)を行って、プラットフォーマーになり、継続的に課金ができるビジネスモデルを真に構築するのであれば相当な覚悟が必要になります。

 

また、ブルーヨンダーはIT企業ですので、この企業の財産はソフトウェアエンジニアです。パナソニックがブルーヨンダーの買収後、ブルーヨンダーの自治を最大限認めて、上手く組織間の融合を実現することが極めて重要であり必要になります。

 

私は、上記の視点からブルーヨンダー買収後のパナソニックの事業展開のやり方に注目して行きます。

 

よろしくお願いいたします。

 

グローバルビジネスマッチングアドバイザー GBM&A 山本 雅暁


nice!(2)  コメント(0) 
共通テーマ:仕事

日経記事;『背水のGM提携 ホンダの勝算と誤算』に関する考察 [アライアンスから期待する効果]

                  2020年9月12日

皆様、

こんにちは。

グローバルビジネスマッチングアドバイザー 山本 雅暁です。

 

9月4日付の日経新聞に、『背水のGM提携 ホンダの勝算と誤算』のタイトルで記事が掲載されました。

 

本日は、この記事に関して考えを述べます。

本記事の冒頭部分は、以下の通りです。

 

『ホンダが米ゼネラル・モーターズ(GM)との提携で、四輪事業の「本丸」とも言える基幹部品の共通化に踏み込んだ。3日、北米で両社が販売するガソリン車のエンジンやプラットホーム(車台)の共通化を検討すると発表。事実上の包括提携に踏み込む裏には、次世代技術や既存の四輪事業におけるホンダの勝算と誤算が透ける。。。』

 

トヨタのトップは、現在の自動車業界を100年に1度の大変革時期に直面しているとの認識をもっており、高い危機感をもっています。この危機感がもたれる背景は以下の通りです。

・温暖化対策の観点から世界市場で、ガソリンエンジン車からEVへのシフトチェンジが起こっている。

EVの開発・実用化は、既存自動車メーカーが強みをもっているノウハウを必ずしも必要としない。

EVの開発・実用化は、ガソリンエンジン車に比べて構造がシンプルであるため、参入障壁が総じて低い。

・グーグル、アマゾン、アップルなどの米大手IT企業が、自動運転機能付EVの開発・実用化を進めている。

・これらのIT企業のビジネスモデルは、既存自動車メーカーと異なっており、必ずしも自動車本体からの利潤追求を求めない。米大手IT企業は、自動運転機能付EVを、動くインターネットの出口端末機器としてとらえている。

・自動運転機能付EVの開発・実用化には、ハードウェアのノウハウだけでなく、AIIoTなどのインターネットやITのノウハウが必要になる。

・自動車の使用者の中に、所有から必要なときに借りるレンタル化の動きがある。

EV業界では、米テスラモーターズと中国メーカーが大きな存在感を出し始めている。

・将来の自動車業界は、EVに加えて燃料電池自動車が、究極のエコカーとして登場する可能性がある。など

 

これらの急激な事業環境の変化時に、トヨタでさえも1社単独で対応することは不可能です。トヨタは、数年前から異業種企業とのオープンイノベーション;連携・協業(アライアンス)を積極的に活用しています。

 

同時に、トヨタは1兆円規模の投資を、AIIoT対応などインターネットやIT関連に投資しています。

 

ホンダは、今までトヨタと同じようなオープンイノベーション;連携・協業(アライアンス)を積極的に行っていません。今までのホンダの強みは、研究開発・設計・製造までの一連の商品化過程を、1社単独で行う垂直統合方式で生み出されてきました。

 

このやり方は、多年のノウハウ蓄積を必要としたガソリンエンジン車での、開発実用化には極めて有効でした。しかし、世界市場では、ガソリンエンジン車からEV、もしくはPV、あるいは燃料電池車への移行が進んでいます。新型コロナの影響拡大は、この動きを加速させています。

 

ホンダの連携先であるGMは、ガソリンエンジン車の新規開発実用化に見切りをつけるとされています。GMは、98日にEVの新興メーカーである米ニコラとの資本提携を発表しました。GMは、ニコラの株式の11%を取得して、二コラが開発中のEVの生産やバッテリーの供給を受けます。

 

GMは、二コラとのオープンイノベーション;連携・協業(アライアンス)で、EVを開発・実用化します。ホンダも何らかの形で、オープンイノベーション;連携・協業(アライアンス)を採用して、EVの開発・実用化を加速させるとみています。

 

ホンダとGMは、最近、ヒット車が少ない状況になっています。この事業環境下で、ホンダとGMは、既存ガソリンエンジン車の製造コストを下げることを主目的として、今回の連携・協業(アライアンス)になったようです。

 

私は、今までベンチャーや中小企業の、オープンイノベーション;連携・協業(アライアンス)の遂行を支援してきました。この経験から言いますと、オープンイノベーション;連携・協業(アライアンス)を成功させるためには、参加企業が各々強みをもっており、勝者連合になることです

 

今回のホンダとGMのオープンイノベーション;連携・協業(アライアンス)は、本記事を読む限り、今まで行ってきた「自動運転機能付EVの開発・実用化分野」に加えて、主力のガソリンエンジン車の分野まで幅を広げています。

 

ホンダがGMとのオープンイノベーション;連携・協業(アライアンス)で、果実を得るためには、お互いの強みをもって勝者連合となり、トヨタやテスラモーターズなどの競合他社に対して優位性を確立する必要があります。

 

今後、ホンダとGMのオープンイノベーション;連携・協業(アライアンス)の展開の仕方に注目していきます。

 

よろしくお願いいたします

 

グローバルビジネスマッチングアドバイザー GBM&A 山本 雅暁


nice!(2)  コメント(0) 
共通テーマ:仕事

日経記事;『起業家のアイデアと連帯、医療に新風パンデミックに挑む 世界の最前線から(3)』に関する考察 [アライアンスから期待する効果]

                                                   2020年5月6日


皆様、
こんにちは。

グローバルビジネスマッチングアドバイザー 山本 雅暁です。


5月6日付の日経新聞に、『起業家のアイデアと連帯、医療に新風パンデミックに挑む 世界の最前線から(3)』のタイトルで記事が掲載されました。


本日は、この記事に関して考えを述べます。


本記事の冒頭部分は、以下の通りです。
『「シュノーケリングのマスクを酸素注入マスクに応用できないだろうか」。イタリアで3Dプリンターを手掛けるイシンノーバの最高経営責任者(CEO)、クリスチャン・フラカッシ氏は3月、医師からこんな相談を受けた。新型コロナウイルスが猛威を振るい、同国北部の病院では人工呼吸器の酸素マスクが不足する懸念が強まっていたためだ。。。』


イタリアは、ご存知ですかように、新型コロナウイルスの影響が極めて深刻な状況でした。現時点では、多少その状況が改善しつつあるようですが、医療現場は極めて深刻な状況が続いています。


イタリアの医療現場では多くの課題があります。その一つが、医師や看護者などが使用する医療機器などの不足です。


本日の記事では、不足する医療機器の一つとして、人工呼吸器の酸素注入マスクが取り上げられています。


現場の医師から人工呼吸器の酸素注入マスク開発・実用化の相談を受けた、3Dプリンター事業のスタートアップ企業イシンノーバ(Isinnova)は、自社の3Dプリント技術を使って、シュノーケリングマスクと人工呼吸器をつなぐ医療用バルブの試作に成功しました。
https://www.3dprintingbusiness.directory/company/isinnova/


イシンノーバ(Isinnova)は、3Dプリンターなどの最新ツールやITを使って、個人や企業などの顧客の課題解決を提供するベンチャー企業です。


今、欧米地域では、新型コロナウイルスが起こす課題を解決するため、多くの医者、企業、団体、個人が自然発生的に、上記のような協業・連携(アライアンス)を行っています。


このイシンノーバ(Isinnova)は、自社技術を特許化しましたが、医療機関が使えるように、設計図と使用方法をインターネット上に公開しています。
詳細は下記Webサイトをご覧ください。(このWebサイトは英語で書かれています。日本語でお読みになりたい方は、Google翻訳エンジンなどをご利用ください。)
https://www.isinnova.it/easy-covid19-eng/


新型コロナウイルスの影響拡大後、この自然発生的な企業、団体、個人を横断して行われています協業・連携(アライアンス)の動きは、国内ベンチャー・中小企業にも及んでいます。


私の支援先企業の1社に、先日、この企業の英語版WebサイトのContact(問合せ)ページに、米国企業から協業提案が入りました。


協業提案内容は、新型コロナウイルスに関係ないことです。米国企業は、米Goole.com検索エンジンから、支援先企業の英語版Webサイトを見つけて、問合せてきました。


この米国企業は、全員自宅でリモートワークを行っています。私の支援先企業のも、全員リモートワークしています。


支援先企業の社長から、連休中ですが相談したいとの依頼メールが届きました。米国企業の提案内容が合理的な内容になっていました。


そこで、5月連休直前でしたが、急きょSkype会議を関係者で行って対応策を協議・検討して、相手企業に対してeメールにて返信しました。


米国企業から即刻返事があったため、私が日本側のまとめ役を行って、米国企業を含めて全員でSkype会議を行いました。


このとき、幸いにも米国と日本間のネットワーク状態が良くて、参加者全員が自宅からの参加でしたが、Webinar(Web会議)を行うことができました。


Skype会議後は、関係者全員にCcを入れて、eメールにて会話しています。この両企業の協業・連携(アライアンス)は、5月連休中に迅速に動いています。


新型コロナウイルスの影響拡大で、5月連休中でも自宅で過ごしていたことが、両社の会話を促進させました。


米欧企業から私支援先企業への問合せは、上記1社だけでなく他の3企業にも入っていました。

私が上記Skype会議に参加した時、米国企業に対してどのように支援先企業を探したのか、また当該行為を行った理由などについて質問しました。


この米国企業は、新型コロナウイルス後の世界をにらんで、今までのビジネスのやり方では、事業展開が難しくなると感じており、新規事業を展開する可能性を探っているとのことです。


この米国企業は、新規事業機会を探るリアルな展示会が、新型コロナウイルス後も当面開催されないであろうと見込んでいます。


このため、この企業は、米Goole.com検索エンジンやSNSのページなどから、参考になる情報やデータを探しているとのことです。


このことは、私が5月4日に書きましたブログ・コラム;『新型コロナウイルスの影響下、および影響後の状況下による海外販路開拓・集客のやり方に関する考察 [海外市場・販路開拓]』の内容と一致するものでした。


国内ベンチャー・中小企業は、新型コロナウイルス後の米欧・アセアン地域などをにらんで、自社の英語版Webサイトのコンテンツを強化・充実して、今後さらに拡大する協業・連携(アライアンス)も活用しながら、事業展開の強化を行うことが重要であり、必要になります。


よろしくお願いいたします。


グローバルビジネスマッチングアドバイザー GBM&A 山本 雅暁



nice!(2)  コメント(0) 
共通テーマ:仕事

日経記事;『日産・ルノー連合、次世代車技術で新会社 設立協議』に関する考察 [アライアンスから期待する効果]

                                           2019年12月1日

皆様、
こんにちは。
グローバルビジネスマッチングアドバイザー 山本 雅暁です。


12月1日付の日経新聞に、『日産・ルノー連合、次世代車技術で新会社 設立協議』のタイトルで記事が掲載されました。


本日は、この記事に関して考えを述べます。


本記事の冒頭部分は、以下の通りです。
『日産自動車と仏ルノー、三菱自動車の日仏3社連合は、人工知能(AI)やつながる車など次世代車に使う先端技術を共同開発する新会社を設立する方向で協議に入った。3社の技術や人材を持ち寄り、研究費のかさむ次世代車の開発体制を効率化する。3社でトップを務めたカルロス・ゴーン元日産会長の逮捕から1年、新たな協力関係を構築する動きが具体化し始めた。。。』


日産が、前経営者の逮捕から1年経過してから、ようやく新規事業に対する対応の検討を開始したようです。


何度か本ブログ・コラムで書いていますように、自動車産業は大きな変革期に入っています。トヨタのトップは、「100年に1度の変革期に直面している。」と表明して、大きな危機感をもって次世代自動車の開発・実用化に注力しています。


国内自動車メーカーの中で、次世代自動車の開発・実用化をいち早く、かつ積極的に行っているのは、トヨタのみです。


ホンダは、既存自動車の開発・実用化を今まで自前主義で行ってきました。このやり方は、国内製造事業者が、得意としてきた「垂直統合方式」です。


国内製造事業者の競争相手が、同業の製造事業者であれば、全てのコア技術を内製化して競争力の源泉にすることで、勝ち組になるやり方が通用しました。


しかし、私が勤めていました大手AV家電メーカーは、この垂直統合方式のやり方を継続して行った結果、「水平分業方式」を積極的に取り入れた米大手IT企業(マイクロソフト、デルなど)との競争に負けました。


米大手IT企業は、「水平分業方式」を梃子にして、既存事業基盤を急速に破壊・再構築するやり方で、欧米アセアン地域で勝ち組になっています。


「水平分業方式」を言い換えると、オープンイノベーション;他企業との連携・協業(アライアンス)になります。


当面の次世代自動車は、自動運転機能付EV(電気自動車)です。この自動運転機能付EVは、既存のガソリンエンジン車のノウハウを必要としません。


国内自動車メーカーの強力な競争相手は、米大手IT企業のグーグルになります。グーグルは、1兆円規模の投資を行って、自動運転機能付EVの開発・実用化を積極的に進めています。


グーグルは、決して自動車メーカーになる意思をもっていません。自動運転機能付EVは、走るインターネット接続された電子端末機器として位置付けています。


自動運転機能付EVは、自前のインターネットサービス事業を拡大するための、出口端末機器の一つとして位置付けられています。


グーグルは、自動車メーカーであるフィアット・クライスラー・オートモービルズ(FCA)と提携しており、ここから自動車本体を提供してもらう可能性があります。


グーグルは、自前の自動車工場を持たないファブレス企業として、自動運転機能付EVの開発・実用化を進めています。


このやり方は、かって国内大手AV家電メーカーが、米大手IT企業との競争に負けた構図と同じです。


国内自動車メーカーの中で、トヨタがいち早くグーグルとの競争に危機感をもって、1兆円単位の投資を行って、インターネット、IT、IoT、人工知能(AI)対応を行って、オープンイノベーションのやり方を取り入れて、自動運転機能付EVの開発・実用化を進めています。


現時点では、他の大手国内自動車メーカーであるホンダの動きは、新聞記事を見る限り明快ではありません。


本日の記事にあります日産も、同じです。前経営者が退任した後、新聞記事を見る限り、自動運転機能付EVの開発・実用化について、積極的な動きを取っていませんでした。


日産は、資本提携先の仏ルノー、三菱自動車と3社共同で、自動運転機能付EVの開発・実用化を行う新会社を立ち上げるようです。


3社は、巨額投資を必要とする自動運転機能付EVの開発・実用化を、共同で行うことでリスク分散を行うとしています。


この3社連合が有効に機能するかどうかは、迅速な経営スピードで、オープンイノベーションのやり方を取り入れて行けるかどうかどうかにかかっています。


しかも、自動車市場は、所有から共有・シャアリングに大きく移行する可能性があります。本日の日経記事に、「2030年、車の買い手は企業が5割超カーシェア台頭 開発・税制…新たな仕組み模索」のタイトルで記事が掲載されています。


日産は、自動車の市場規模が縮小し、自動車本体がガソリンエンジン車から自動運転機能付EVに移行する中で、競争力を保ち、収益の維持・拡大を実現するための経営努力が必要になります。


今後、トヨタと共に、日産の動きにも注目していきます。


よろしくお願いいたします。
グローバルビジネスマッチングアドバイザー GBM&A 山本雅暁



nice!(4)  コメント(0) 
共通テーマ:仕事

日経記事;『自動運転技術、8社連携トヨタ・GM・ボッシュなど』に関する考察 [アライアンスから期待する効果]

                                            2019年10月13日

皆様、
こんにちは。


グローバルビジネスマッチングアドバイザー 山本 雅暁です。


10月9日付の日経新聞に、『自動運転技術、8社連携トヨタ・GM・ボッシュなど』のタイトルで記事が掲載されました。


本記事の冒頭部分は、以下の通りです。


『トヨタ自動車や米ゼネラル・モーターズ(GM)など世界の自動車メーカーと部品メーカー、半導体メーカーが自動運転の技術開発で連携する。各業界の大手8社が発起企業となり、自律走行のデータ処理や安全要件の共通化などで協力する。他の企業にも参加を呼びかけ、完全自動運転の早期実用化と開発コストの低減につなげる。。。』


トヨタは、自動運転機能付次世代環境自動車(EVや水素燃料電池車)を開発・実用化するため、2~3年ほど前から積極的にオープンイノベーション(他社との連携・協業:アライアンス)の手法を活用しています。


今回の記事は、トヨタやGMなどの自動車メーカー、部品メーカーのデンソーと独ボッシュ、半導体の米エヌビディアなど、自動運転機能を実現するため、自動車メーカーだけでなく、幅広く関連企業をアライアンス先に選んでいます。


トヨタは、GMと共に、共同組織「オートノマス・ビークル・コンピューティング・コンソーシアム(AVCC)」を発足させました。


自動運転機能付EVの開発・実用化は、現時点では米大手IT企業のグーグルが先行しています。この自動運転車市場には、アップルやアマゾンなどの他の米大手IT企業も参入する可能性があります。


次世代環境自動車(EVや水素燃料電池車)は、現在の自動車メーカーが大きな強みをもっていますガソリンエンジン車のノウハウが、まったく通用しません。


EVは、テスラモーターズが先行して開発・実用化しています。テスラモーターズは、ガソリンエンジン車についてはノウハウをもっていません。


しかし、テスラモーターズは、しょうしょう大げさに言いますと、蓄電池システムとITの活用で、電気自動車を開発・実用化しました。


テスラモーターズは、現在電気自動車の量産化では多少苦戦していますが、米国のサンフランシスコやシリコンバレーでは、数多くのテスラ車が走っています。


グーグルは、電気自動車自体を製造する考えをもっていません。フィアット・クライスラー・オートモービルズは、グーグルと自動運転機能付EVの開発・実用化を共同で行っており、グーグルに自動車本体をOEM供給する可能性があります。


もし、グーグル、アップル、アマゾンなどの米大手IT企業が、自動運転機能付EVの開発・実用化で主導権を握ると、多くの自動車メーカーは、自動車本体(ハードウエア)のOEM供給者になり、既存の事業基盤を失います。


米大手IT企業は、既存事業基盤を急速に破壊・再構築することで、自前の事業基盤を新規に作って、プラットフォーマーとして発展してきました。


トヨタは、その動きをきちんと学習しており、既存自動車の事業基盤は、100年に1度の大変革時期に直面していると名言しています。


米大手IT企業は、新規の事業基盤を迅速に作るために、自社の強みを最大化しつつ、自社がカバーできない領域は、オープンイノベーション(他社との連携・協業:アライアンス)のやり方で乗り切ってきました。


オープンイノベーションのやり方は、水平分業方式です。このやり方には、アライアンスだけでなく、M&Aの手法も含まれます。


トヨタは、自動運転機能付EVの開発・実用化にこのオープンイノベーションのやり方を積極的に取り入れています。


本日の記事にあります、共同組織「オートノマス・ビークル・コンピューティング・コンソーシアム(AVCC)」をGMと共同で構築・運営するやり方も、その一つになります。


次世代自動車の開発・実用化の動きで、米大手IT企業との競争に打ち勝つための、ライバル企業同士のオープンイノベーションのやり方になります。


トヨタは、このAVCCも含めてのオープンイノベーションのやり方に加えて、様々な開発・実用化を実現するための巨額投資を行っています。


トヨタが現在行っている今後1~3年間の様々な対応は、将来のトヨタの事業展開に大きな影響を与えます。


トヨタのオープンイノベーションのやり方は、新規事業を立ち上げるベンチャー・中小企業にとって、大きな参考事例になります。


この視点から、トヨタの今後の動きに注目していきます。


よろしくお願いいたします。


グローバルビジネスマッチングアドバイザー GBM&A 山本 雅暁

nice!(1)  コメント(0) 
共通テーマ:仕事

日経記事:『トヨタ、HV特許2万3000件を無償開放 副社長が会見』に関する考察 [アライアンスから期待する効果]

                                                2019年4月6日

皆様、
こんにちは。
グローバルビジネスマッチングアドバイザー 山本 雅暁です。

4月3日付の日経新聞に、『トヨタ、HV特許2万3000件を無償開放 副社長が会見』のタイトルで記事が掲載されました。


本日は、この記事に関して考えを述べます。


本記事の冒頭部分は、以下の通りです。
『トヨタ自動車は3日、ハイブリッド車(HV)など電動車に関し、自社の関連技術の特許を使用する権利を無償開放すると正式発表した。開放する特許は約2万3740件に上る。世界的に燃費規制強化の波が広がる中、競合他社に技術を無償提供し、HVの市場拡大を目指す。。。』


今まで何度か、私は本ブログ・コラムでトヨタ自動車のオープンイノベーション;水平分業方式のやり方を取り上げてきました。


そのトヨタがオープンイノベーション;水平分業方式のやり方をさらに徹底して行っています。


その一つが、今回の記事になります最強の競争力をもっているハイブリッド(HV)技術の無償提供です。


トヨタは、HVのプラットフォームを世界市場に広げて、HVの市場拡大を図るとともに、より安いHVを普及させる狙いがあります。


HVを手掛ける自動車メーカーが増えれば、部品メーカーはトヨタ方式のHV技術に対応した部品やデバイスを作りますので、これらの調達コストが下がります。


EVは、現時点で究極の環境対応車であり、ヨーロッパ、中国、米国のカリフォルニア州やニューヨーク州などで、強力に支持されています。


しかしながら、EVの本格的な普及には、ガソリンエンジン車と同じ実用的な性能をもつ電池の開発・実用化を待つ必要があります。


このため、EVや燃料電池車などの究極的な環境対応車が開発・実用化されるまで、HVは繋ぎの役割が期待されます。


欧州では、1キロ走行当たりの二酸化炭素(CO2)排出量の目標値の平均を2021年に2015年に比べて、3割近く引き下げ、平均95グラム以下にすることを求めてられています。


このCO2排出量を達成するには、ガソリン車の燃費に直すと1リットルあたり24.4キロメートルの水準を要求されます。


トヨタのHV技術は、このCO2排出量基準を満たすと言われています。


また、トヨタは、4月4日に、米ゼネラル・モーターズ(GM)およびフォード・モーターとの3社共同で、自動運転車の安全基準づくりで連携すると発表しました。


この3社の米国市場での自動車シェアは、50%以上になります。この「ビッグ3」が、自動運転車の安全基準を作れば、事実上の米国市場でのデファクトスタンダードになります。


基本的には、日本市場も当該安全基準に準拠する可能性があります。


3社は、自動車規格の業界団体、米自動車技術者協会(SAE)と共同で「自動運転車安全コンソーシアム」(AVSC)を組織化するようです。


この3社共同の安全基準作りも、トヨタのオープンイノベーション;水平分業方式のやり方の一つになります。


このような状況から、トヨタは、かっての垂直統合方式で、自社のみで行っていた事業展開のやり方を変えたと断言できます。


トヨタが、近々に米国市場で競合するのは、EVの自動運転車の開発・実用化にまい進する米グーグルです。


この巨大IT企業に対抗するために、トヨタは徹底したオープンイノベーション;水平分業方式のやり方で、事業展開をしています。


国内企業は、ベンチャーから中堅・大手まで、ほとんどの場合、生産年齢人口の急減少で市場規模が小さくなる国内市場だけでは、収益の維持・拡大ができません。


多くの国内企業は、必然的に米欧アセアンなどの海外市場で、事業展開を行う必要があります。


このときに、大きな役割を果たす手法の一つが、オープンイノベーション;水平分業方式になります。


オープンイノベーションは、「Win/Win」の仕組みで動く、他社との事業連携(アライアンス)のやり方になります。


今後、多くの国内企業は、このオープンイノベーション;他社との事業連携(アライアンス)を、トヨタのように巧みに、計画・実行していく必要があります。


この必要性を認識している企業には、トヨタのオープンイノベーション;水平分業方式のやり方を、良く見て理解することが重要です。


ところで、私は下記セミナー「共同研究・開発の進め方と技術アライアンス成功のポイント」の講師を務めます。
https://www.j-techno.co.jp/seminar/seminar-26963/
開催日時;2019年04月18日(木) 10:30-17:30
山本担当時間帯 14:30-17:20


本セミナーにご関心のある方は、受講してください。


よろしくお願いいたします。


グローバルビジネスマッチングアドバイザー GBM&A 山本 雅暁




nice!(2)  コメント(0) 
共通テーマ:仕事

日経記事;『「MaaS」加速へ90社連携 トヨタ・ホンダ異例の握手』に関する考察 [アライアンスから期待する効果]

                                             2019年3月30日

皆様、
こんにちは。
グローバルビジネスマッチングアドバイザー 山本 雅暁です。


3月29日付の日経新聞に、『「MaaS」加速へ90社連携 トヨタ・ホンダ異例の握手』のタイトルで記事が掲載されました。


本日は、この記事に関して考えを述べます。


記事の冒頭部分は、以下の通りです。
『国内約90社が手を組み、新しい移動サービスを提供する「MaaS(マース)」の開発に乗り出す。トヨタ自動車とソフトバンク(9434)を中核に、小売りや物流、不動産など幅広い企業が連携する新組織を発足。自動運転車を効率良くシェアする仕組みや自走する自動販売機など、次世代サービスの創出を目指す。。。』


MaaS(マース)とは、「モビリティー・アズ・ア・サービス」の略称です。
国土交通省は、以下のように説明しています。
「MaaSは、ICT を活用して交通をクラウド化し、公共交通か否か、またその運営主体にかかわらず、マイカー以外のすべての交通手段によるモビリティ(移動)を 1 つのサービスとしてとらえ、シームレスにつなぐ新たな「移動」の概念である。利用者はスマートフォンのアプリを用いて、交通手段やルートを検索、利用し、運賃等の決済を行う例が多い。。。」


トヨタとソフトバンクは、MaaSを実現するための組織体である共同出資会社モネ・テクノロジーズを共同で設立しました。この会社は、MaaSのプラットフォーム構築と維持を行います。


このモネ・テクノロジーズは、3月28日に、ホンダや日野自動車と資本・業務提携したと発表しました。ホンダと日野はそれぞれモネに2億4995万円を出資し、約10%の株式を取得するとのことです。


トヨタとホンダは、自動車業界で激しい競争を行っています。両社は、自動車本体では激しい競争を行いつつ、自動運転車の普及を見据えて、自動車メーカーによる共同作業で自動車業界の生き残り策の一つとして、MaaSを実現しようとしています。


MaaSは、自動運転車の普及と、自動車の所有から共有という動きに対応するやり方の一つになります。


MaaSを自動車メーカーが実現するには、徹底したオープンイノベーション;水平分業方式のやり方が必要になります。


トヨタとホンダの競合企業が、共同でMaaSを実現できれば、自動車業界は、今までに経験したことがない領域に入ります。


これだけ、米グーグルが行っている自動運転車の普及に対して大きな危機感をもっていることの表れです。


米グーグルは、自動車メーカーではありませんが、自動運転車を動く電子端末機器としてとらえており、インターネットによる広告宣伝収入などを拡大することを目的化しています。


今までに、グーグル、アマゾン、アップルなどの米大手IT企業は、既存事業基盤を急速に破壊・再構築してきましたし、今も続けています。


グーグルは、自動運転車のハードウェア自体を自動車メーカーからOEM調達します。グーグルが自動運転車事業で最大の企業になれば、しょうしょう大げさに言いますと、自動車メーカーは、グーグルなどのIT企業に対するOEMサプライヤーになってしまいます。


しかも、グーグルは、自動運転走行の公道試験で、一番多くのデータを取得しており、先行しています。


トヨタとホンダなどの自動車メーカーは、グーグルなどのIT企業の動きに大きな危機感をもっています。


自動運転機能の開発・実用化は、人工知能(AI)、IoT対応、クラウドサービスなどの技術が重要であり、グーグルは、これらの要素技術すべてで自動車メーカーを凌駕しています。


自動運転車は、基本的にガソリンエンジン車ではなく、EVをベースに開発・実用化が進んでいます。


EVは、ガソリンエンジン車に比べて、構造が単純であり、既存自動車メーカー以外の企業も参入可能になります。


インターネット・ITの普及は、商品の所有から共有へと顧客の気持ちを移行しつつあります。


モネ・テクノロジーズは、自動車メーカーが懸念する上記のようなリスクを、自ら解決してグーグルなどのIT企業に対抗しようとしています。


モネ・テクノロジーズの試みが成功するには、参加企業が徹底したオープンイノベーション;水平分業方式のやり方を実現して、急速にプラットフォームを実現・維持する必要があります。


トヨタとホンダなどの自動車メーカーが、業界の枠を超えた事業で、他社との協業(アライアンス)を実行できるかどうかが、モネ・テクノロジーズの成功に直結します。


モネ・テクノロジーズが、グーグルなどの大手IT企業との激しい競争にどのように対抗していくのか注目していきます。


よろしくお願いいたします。


グローバルビジネスマッチングアドバイザー GBM&A 山本 雅暁




nice!(3)  コメント(0) 
共通テーマ:仕事

日経記事;『トヨタとパナソニック、EV電池を共同生産 20年に新会社、開発も』に関する考察 [アライアンスから期待する効果]

                                                       2019年1月20日

皆様、
こんにちは。
グローバルビジネスマッチングアドバイザー 山本 雅暁です。


1月20日付の日経新聞に、『トヨタとパナソニック、EV電池を共同生産 20年に新会社、開発も』のタイトルで記事が掲載されました。


本日は、この記事に関して考えを述べます。


本記事の冒頭部分は、以下の通りです。
『トヨタ自動車とパナソニックは2020年に共同で、電気自動車(EV)用など車載電池の新会社をつくる。パナソニックは米テスラ向けを除き車載電池の全工場を新会社に移す。電池は電動車の競争力を左右する中核技術だが、コストと規模で中韓勢の台頭が著しい。日本を代表する自動車メーカーと電機メーカーが手を組み、世界的な技術革新の競争をリードする体制を目指す。。。』


自動運転機能付EVの開発・実用化は、世界中の関連企業で本格化しており、2019年から2020年にかけて、実用的な自動車が順次市場に投入されていきます。


EVは、欧州や中国で、次世代環境自動車の本命とされており、トヨタなどの国内自動車メーカーは、今や、待ったなしでEVの開発・実用化を推し進める必要があります。


EVの性能を左右するのは、電池性能です。EVには、1回の充電で、ガソリンエンジン車並みに、500㎞走行できる実用性が求められます。


まだ、既存のEV向け電池で、この要求ラインを満たせるものは、市場に出ていません。


パナソニックは、EV用の電池供給メーカーとして、中国寧徳時代新能源科技(CATL)と世界シェアを分け合っています。


CATLは、中国政府が国策として支援を受けている強みをもっています。パナソニックが、世界市場で電池のトップメーカーとして走るためには、テスラモーターズだけでなく、強力なパートナーが必要でした。


一方、トヨタは、当初不本意ながらEVの開発・実用化を進めていました。これは、トヨタは、EVは次世代環境車の本命になるには、電池性能の制約から時間がかかるとみていたことによります。


また、トヨタは、水素燃料電池車を次世代環境自動車の本命とすべく、開発・実用化を進めてきました。


しかし、欧州や中国が、一気にEVの開発・実用化を決めて動き出したため、トヨタの事業環境は大きく変わりました。


トヨタは、同時に米グーグルが仕掛けています自動運転機能付EVで、激しい競争を行っています。


トヨタが、米グーグルとの競争に打ち勝つには、自社単独での事業展開ではなく、徹底的なオープンイノベーションを行う必要があります。


オープンイノベーションは、他社との連携・協業(アライアンス)を行うことになります。


オープンイノベーションは、勝者連合で行うのが基本です。今回のトヨタとパナソニックの連携・協業(アライアンス)は、自動車と電池の分野での勝者連合になることが、必要になります。


この勝者連合で、EVやHVに最適な電池を、開発資金を抑えつつ、効率良く開発・実用化を行えるかどうかがポイントになります。


トヨタ自身は、リチウムイオン電池の次世代電池と言われている全固体電池の開発・実用化を積極的に行っています。


パナソニックは、EV分野でトヨタの競争相手であるテスラモーターズに電池を供給しています。


トヨタとパナソニックは、両社各々の思惑をもって、今回の連携・協業(アライアンス)を行うやり方になります。


両社が今後、この連携・協業(アライアンス)から、EVおよび電池の各事業で世界市場の勝ち組になるための施策の実行について注目していきます。


この両社の動き方は、中小企業が他社との連携・協業(アライアンス)を行う上で、参考になることによります。


よろしくお願いいたします。


グローバルビジネスマッチングアドバイザー GBM&A 山本 雅暁



nice!(3)  コメント(0) 
共通テーマ:仕事
前の10件 | 次の10件 アライアンスから期待する効果 ブログトップ