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日経記事;『宅配、広がる「ウーバー流」 隙間時間に運転手副業 アマゾンも個人配送網』に関する考察 [新規事業開拓・立上]

                                                  2019年8月18日

皆様、
こんにちは。
グローバルビジネスマッチングアドバイザー 山本 雅暁です。


8月17日付の日経新聞に、『宅配、広がる「ウーバー流」 隙間時間に運転手副業 アマゾンも個人配送網』のタイトルで記事が掲載されました。


本日は、この記事に関して考えを述べます。


本記事の冒頭部分は、以下の通りです。
『配車サービス「ウーバー」の物流版といえる個人配送が本格的に広がり始めた。スマートフォンのアプリを用い、空き時間に荷物を配る。大量の荷物を扱うアマゾンジャパン(東京・目黒)はこうした個人を活用した配送網の構築に乗り出した。国内の宅配便数は急増し、運転手不足も深刻ななか、自由度の高い働き方が注目されつつある。長引く物流危機の解決策になる可能性もある。。。』


日本でのインターネット通販ビジネスは、毎年高成長が続いています。この傾向は、当面変わらないとみています。


このインターネット通販を支えるプラットフォームの一つが、宅配事業です。国内では、2016年~2017年に「宅配クライシス」と呼ぶ状態が顕在化しました。


このとき、国内の最大手であるヤマト運輸は、2017年9月にアマゾンジャパンとの運賃交渉の結果、40%強の運賃値上げに合意しました。


ヤマト運輸がこのような動きをかけた背景の一つに、インターネット通販の利用者急増で、運転手が足りない状況が深刻化したことによります。


これ以降、ヤマト運輸が総量抑制で宅配便の荷物数を抑えて、当日配送も行っていませんでした。


しかし、この期間にも、インターネット通販のビジネスは伸び続けていました。この状況下、アマゾンジャパンは、米Amazon.comの今までの動き方から、必ず次の一手を検討・実施してくると想定しました。


米Amazon.comの米国での動きをみていると、インターネット通販を支えるプラットフォームの一つである物流を、自社で押さえるやり方を取っています。


国内では、2017年にヤマト運輸が人手不足から、当時配送から撤退したことで、物流事業のやり方に変革が起こるきっかけになりました。


一方、国内には数多くの個人事業主の宅配事業者や中小の運送会社が存在しています。


この中で、関東の中小運送会社でつくるラストワンマイル協同組合は、5月に2020年、インターネット通販の売れ筋商品を安く宅配するサービスを始めると発表しています。


アマゾンジャパンは、個人事業主を主とする宅配事業者を主として、営業ナンバーをもつ軽貨物車の所有者向けに、個人配送網の構築・運営を行い始めました。


アマゾンジャパンは、このサービスをアマゾンフレックスと名付けています。アマゾンジャパンは、ヤマト運輸との新契約締結後、中堅・中小の運送会社と提携して、独自の配送システムを構築・拡大してきました。


アマゾンフレックスは、その一環になります。アマゾンジャパンにとって、アマゾンフレックスはより柔軟に、自社独自の物流網を築く切札の一つになります。


一般的に、多くの個人事業主である宅配事業者は、中堅・大手運送業者の下請仕事が主要な仕事獲得になります。


アマゾンフレックスは、2時間単位のシフト制で、2時間で首都圏4000円の報酬であり、毎週自分の銀行口座に振り込まれます。土日や雨の日には報酬が増えます。


配送ルートは、スマートフォンやタブレット端末のアプリソフトで表示されます。
このアマゾンフレックスのやり方は、個人事業主の宅配事業者が、自分のすき間時間に自分の判断で仕事ができ、報酬も明示化されており、「win/Win」の関係が成り立ちます。


アマゾンフレックスは、固定化した国内物流基盤を、破壊・再構築するきっかけになる可能性があります。


米Amazon.com、グーグル、アップル、フェースブック、ウーバーなどの米大手IT企業は、今まで急速に既存事業基盤を急速に破壊・再構築してきました。


アマゾンフレックスは、ウーバーのやり方を取り入れて、上記しましたように、固定化した国内物流基盤を、破壊・再構築することになる可能性があります。


貨物だけでなくバスなどの運転手が不足していることは、常態化しています。一方で、アマゾンフレックスのように、既存のやり方にとらわれずに、インターネット・ITを活用して、新規発想のやり方でディスラプション(Disruption);破壊を起こす、ベンチャー・中小企業の出現を期待します。


何度か本ブログ・コラムで書いていますように、「必要は発明の母」です。


よろしくお願いいたします。


グローバルビジネスマッチングアドバイザー GBM&A 山本 雅暁



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日経記事;『FTAの果実、日本つかめず 関税優遇の利用半数』に関する考察 [海外市場・販路開拓]

                                                    2019年8月17日

皆様、
こんにちは。
グローバルビジネスマッチングアドバイザー 山本 雅暁です。


8月16日付の日経新聞に、『FTAの果実、日本つかめず 関税優遇の利用半数』のタイトルで記事が掲載されました。


本日は、この記事に関して考えを述べます。


本記事の冒頭部分は、以下の通りです。
『日本企業が自由貿易の果実をうまく取り込めていない。全輸出先の3分の1を占める国・地域との間で関税を引き下げる自由貿易協定(FTA)を結んだが、煩雑な手続きが利用を阻んでいる。日本貿易振興機構(ジェトロ)によると、関税撤廃などの適用を受ける企業は半数に届かない。このままではアジアなどの外需を取り込む成長戦略が空回りする。。。』


国内市場は、15歳から64歳までの生産年齢人口が急減少することにより、その市場規模が年々縮小しています。


一般的に中小企業は、中堅・大手企業が参入してこないニッチ市場で、独占的な市場シェアを獲得することで、事業収益の維持・拡大を図っています。


しかし、国内のニッチ市場自体が縮小していくと、中小企業が独占的なシェアを取っていても、事業収益の維持・拡大は実現できません。


必然的に、多くの中小企業は、米欧アセアン地域などの海外市場での、販路開拓・集客を積極的に行う必要があります。


中小企業がもっている商品やサービスの競争力があれば、一般的に海外販路開拓・集客を行う上で必要なやり方をきちんと行えば、輸出事業の維持・拡大を実現できます。


日本政府が、欧州、アセアンなどと自由貿易協定(FTA、TPPなど)を結ぶ理由は、双方の輸出入の障壁を低くして、共に自由貿易を拡大することで、経済発展を実現するという、重要な意義があります。


中堅・大手企業は、通常自社もしくはグループ内に、海外営業部隊や物流部門をもっており、輸出入の実務に関するノウハウをもっています。


しかし、中小企業の場合は、大きく異なります。一般的に多くの中小企業は、輸出入に関するノウハウ蓄積ができていません。


また、この自由貿易協定の恩恵を受けるには、各協定で規定されているルールに従って、さまざまな情報、資料を準備して書類で用意する必要があり、多くの中小企業にとって大きな負担になっています。


一例として、私の支援先企業が、2019年2月1日に発効した日・EU経済連携協定を受けて、当該協定の恩恵を受けようとして情報収集を行いました。


その結果、手続き内容が複雑多岐であり、用意する資料や書類も多く、社内リソース不足もあって断念しました。


当時、政府の日・EU経済連携協定の実務的な対応窓口もなく、JETROや経産省の担当窓口で個別相談をしましたが、短期的に解決できる実務的な支援がありませんでした。


日・EU経済連携協定の場合、EPA相談デスクがあります。
https://epa-info.go.jp/


この相談デスクは、経産省が東京共同会計事務所に委託して運営されています。
このデスクでは、EPAの手続きに関するルールのご説明とアドバイスをしています。
ちなみに、8月17日(土)にこのWebサイトにアクセスしますと、電話対応は営業時間外となっています。


中小企業がEPAの判定の可否を問い合わせたい場合は、別途日本商工会議所に確認する必要があります。(特定原産地証明書発給・判定事務所一覧)
https://www.jcci.or.jp/gensanchi/office_list.html 


上記Webサイトには、チャット機能があり、「輸出する商品のHSコードを知りたい」を選ぶと、検索方法を知ることができ、一定程度の使いやすさをもっています。


私は、経営コンサルタントとして、中小企業の米欧アセアン地域などの海外市場の販路開拓・集客を行う支援を行っています。


この支援を行う立場の者として、中小企業がEPAやその他自由貿易協定の内容や、実務的に必要な情報を、1年を通じていつでもどこでも確認・入手できるポータルサイトの開設を切に希望します。


EPAやその他自由貿易協定に関する電話対応は、営業時間内のみで行うことは問題ないです。


政府には、営業時間内のみの人手によらない方法で、ポータルサイトで、いつでもどこでも必要な情報が、閲覧・入手できる環境を早期に作ることを期待します。


政府は、上記自由貿易協定をいろいろと結んだり、今後米国ともTPPに代わる新協定締結の交渉をしています。


各自由貿易協定の内容や条件が異なっており、詳細内容は、毎年変わる可能性があります。必然的に、中小企業にとっては、複雑なものになります。


このような貿易事業環境下では、政府が一元的な自由貿易協定のポータルサイトを作って、中小企業は当該Webサイトから、いつでもどこでも必要な情報を閲覧・入手できるようなプラットフォームを提供することは、ますます必要になります。


政府は、この数年来、e-Government(電子政府)の強化・充実を表明しています。
貿易協定分野にも、早急に効果的なe-Government施策を実行することを大いに期待します。


本日の記事に、オーストラリアの一元的な窓口のことが書かれています。この一元的なポータルサイト(Free Trade Agreement Portal)のURLは、以下の通りです。
https://ftaportal.dfat.gov.au/about


このWebサイトでは、
1. Select Trade Direction (required)
2. Select Country (required)
3. Select Agreement (required) のステップで選びます。


例えば、
1では、Export from Australia(オーストラリアからの輸出)
2では、Japan(輸出先日本)を選ぶと、
3では、Comprehensive and Progressive Agreement for Trans-Pacific Partnership (CPTPP)と、Japan-Australia Economic Partnership Agreement (JAEPA)の2つの自由貿易協定のWebサイトに移動して詳細内容を閲覧・確認できます。


日本政府には、オーストラリア政府などが提供しているような一元的なWebサイト構築を期待したいですね。


中小企業が、より一層輸出事業を拡大できるようにする上記ポータルサイトのようなデジタル支援が必要であり、重要になります。


よろしくお願いいたします。


グローバルビジネスマッチングアドバイザー GBM&A 山本 雅暁




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