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日経記事;『「AI診察」全身に拡大へ アイリス、十数秒でインフル判定/ウイインク、白内障症状検査アプリ』に関する考察 [新規事業開拓・立上]

               2022年6月29日


皆様、

こんにちは。

グローバルビジネスマッチングアドバイザー 山本 雅暁です。

 

629日付の日経新聞に、;『「AI診察」全身に拡大へ アイリス、十数秒でインフル判定/ウイインク、白内障症状検査アプリ』のタイトルで記事が掲載されました。

 

本日は、この記事に関して考えを述べます。

本記事の冒頭部分は、以下の通りです。

『人工知能(AI)を活用したスタートアップの診察支援サービスが活躍の裾野を広げている。アイリス(東京・千代田)はこのほど、咽頭の画像からインフルエンザの兆候を見つけ出すシステムの薬事承認を取得した。2022年冬に発売する。国内で医師の偏在問題が深刻化するなか、新興勢は専門医が不足する「過疎地域」の医療現場を技術で下支えする。。。』

 

最近、AIを活用した診断支援サービスの開発・実用化が、国内で増えています。本日の記事にありますように、医師が自分の医療経験に基づいて、AIを活用した診断支援サービスを事業化する件数が増えています。

 

当該診断支援サービスの開発・実用化は、地方の医療格差是正につながりますので、今後とも多くのサービスの実用化が起こることを大いに期待します。

 

AIを活用するには、一定規模のデータ・情報が必要になります。医師が起業する場合、関連診療所や病院からデータ・情報収集の協力がられやすくなる利点があります。

 

AIを活用した診断支援サービスの開発・実用化は、明らかに米国が先行しています。これは、米国が医療機器分野において、世界で最強国家となる目標・目的をもっていることによります。

 

この米国の国策により、Food and Drug Administration(アメリカ食品医薬品局;FDA)は、着々と合理的な規制改革を進めてきましたし、今も進めています。

 

 

米国では、2010年にWellDocが糖尿病管理用アプリ"BlueStar"の承認をFDAから取得Digital Therapeuticsの開発・実用化が進みました。

 

Digital Therapeuticsは、デジタル治療のことです。米国のデジタル治療提供企業の業界団体Digital Therapeutics Allianceは、「デジタル治療」を身体的、精神的、および行動的な状態を幅広く予防、管理、または治療するために、高品質のソフトウェア・プログラムを使用して、患者にエビデンスに基づいた治療介入を提供するものと定義しています。

 

AIを含むソフトウェアを搭載した診断支援機器・サービス;デジタル治療は、米国規制上、Software as a Medical Device(プログラム医療機器;SaMD)と定義されます。

 

SaMDの対象範囲は、診断や治療、予防、緩和などへの使用を目的とするソフトウェアであり、および汎用パソコンやタブレット端末などにインストールしたうえで機能させるものが対象となります。従来のハードウェアの医療機器の一部分として組み込まれるものは除外されます。

 

FDAは、米国企業が効果的にデジタル治療機器・サービスを進めながら、患者の安全・安心を効果的に担保するための規制の仕組み作りの検討・確認を行ってきました。

 

具体的には、FDA2017年に医療用ソフトウェアの承認プロセスを簡易化するプログラムであるThe Software PrecertificationPre-CertProgramを試験採用しました。

 

Pre-Certの概要は、下記Webサイトに「SaMDの承認においてSaMDそのものではなく、SaMD開発企業に着目し、その企業が品質に対するロバストな文化・風土と組織的な卓越性を有しかつ、SaMDの上市後もその実使用下での性能に責任をもって監視している場合には、当該企業のSaMDに対し、より迅速かつ効率的な規制監査を行うことにある。」と説明されています。

https://www.jpma.or.jp/opir/news/061/03.html 

 

FDAは、この仕組みの下、ソフトウェアの設計や検証、メンテナンスなどの手法を企業ごとに事前に審査する。FDAが認定した企業が手掛ける医療用ソフトウェアについて、FDAに提出すべき情報を簡素化し、審査を効率化することを狙っています。

 

FDAは、当該仕組みの立ち上げ時に、下記9社を認定しました。

AppleFitbitJohnson & JohnsonPear TherapeuticsPhosphorusRocheSamsungTidepoolVerily

アップルは、2018年に米国で発売したApple Watch Series 4に、ECG(心電図)ソフトウェアを搭載しました。

 

このように、FDAは国家戦略に基づいて、米国企業と共に合理的に動いています。

 

日本では、以前から医療事業を国の新規事業の柱の一つとするスローガンは、ありますが、具体的な施策がありません。

 

そのため、厚生労働省は、現行の規制内容に基づいて審査を行っており、FDAのような規制改革・緩和を含めた新規な仕組み作りを行っておりません。

 

その厚生労働者が、記事にあります医療AIベンチャー企業のサービスを認可しつつあることは、良い傾向となっています。

 

さらに、厚生労働省は、医療ソフトウェアを使いやすくするためのアップデートのたびに必要だった国の薬事承認の審査を2022年度にも撤廃する検討に入っているとのことです。

 

現在、医療ソフトウェアを更新するために、薬事承認を取り直す必要があり、半年ほどの期間を要していますので、不合理な規制の典型例の一つになっています。

 

厚生労働省には、不要な規制緩和・撤廃を積極的に行うことを期待します。

 

また、国内の医療ベンチャー企業には、国内だけでなく、米欧などの海外市場開拓を行うことを期待します。

 

よろしくお願いいたします。

 

グローバルビジネスマッチングアドバイザー GBM&A 山本 雅暁


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