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日経記事;『パナソニック、米ソフト大手買収 7000億円で最終協議』に関する考察 [アライアンスとM&A]

                                                 2021年3月10日


皆様、

こんにちは。グローバルビジネスマッチングアドバイザー 山本 雅暁です。

 

38日付の日経新聞に、『パナソニック、米ソフト大手買収 7000億円で最終協議』のタイトルで記事が掲載されました。

 

本日は、この記事に関して考えを述べます。

本記事の冒頭部分は、以下の通りです。

『パナソニックは、ブルーヨンダーの買収により工場や倉庫の業務を効率化する事業を強化するパナソニックは、ブルーヨンダーの買収により工場や倉庫の業務を効率化する事業を強化する。パナソニックはサプライチェーン(供給網)の効率化を手がける米ソフトウエア大手、ブルーヨンダーを買収する方針を固めた。。。』

 

パナソニックは、以前、ソニーと共に日本の家電業界をけん引した家電メーカーです。何度か本ブログ・コラムで書きましたように、国内家電業界は、米国の巨大IT企業(マイクロソフト、アップルなど)や、台湾、韓国、中国の企業に、打ち負かされました。

 

国内家電メーカーは、画期的な商品開発、コスト競争などの分野で負け組になりました。ソニーやパナソニックは、何度か大きな「集中と選択」作業を行いましたが、良い結果につながりませんでした。

 

ソニーの場合は、平井氏がトップになった後、大胆なビジネスモデルの変革を行い、家電商品への依存度を下げました。競争力のない家電事業分野から撤退を行うことと並行して、デジタル、エンターテインメントなどのソフトビジネスモデルの徹底的な強化を図りました。そのビジネスモデルの変化が、現在のソニーの好業績につながっています。

一方、パナソニックは「集中と選択」作業の結果が出ずに現在まで来ています。最近、パナソニックは経営陣を刷新しました。この新経営陣のもとで、新機軸を打ち出そうとしています。

 

本日の記事にあります内容は、その一環になります。この記事の中に、「ハードとソフトの融合」という言葉が使われています。

この言葉は、国内の家電を含む多くの製造事業者が、米国などの大手IT企業に対する対

応するために、今後の実行課題の一つになっていました。

 

しかし、多くの国内メーカーは、現在を含めて実現できていません。実現できない理由は、いくつかあります。

・私が以前勤めていました家電メーカーでもそうでしたが、ハードウェア商品の差別化・差異化で競争力を担保している。

・ハードウェアで競争力をもっていれば、国内および海外で売れると考えている。

・ハードウェア中心の考えであり、ソフトウェアはハードの付属品的な価値観をもっている。

・このことからソフトウェアの必要性や真の意味での価値観を理解できない。

・一般的にハードウェア中心の企業は、自社内の一気通貫の縦割り思考で事業展開を行っている。

・このため、他社との協業;連携(アライアンス)が苦手である。など。

 

このようなハードウェア中心の企業が、ソフトウェアの価値を理解して、今はやりの言葉で言う「ソフトウェアファースト」の考え方を本質的に理解することは、非常に難しいです。

 

「ハードとソフトの融合」の本質を理解して、対応できる製造事業者は、現時点では少数派です。しかし、このことが理解できた企業は、新型コロナウイルスの影響拡大下でも、着実に収益を拡大しています。

 

私は、この視点からパナソニックが、ブルーヨンダーを買収して、「ハードとソフトの融合」を実現して、当社の事業付加価値をどのように高めていくのか、大きな関心をもって注目していきます。

 

トヨタ自動車は、パナソニックの良い先行事例となります。トヨタが、EV、水素燃料電池車、自動運転車などの事業分野で、激しい競争に打ち勝てるかどうかは、今後の進展次第です。

 

しかし、トヨタは経営トップの明確な方針のもとで、米欧日などの主要市場で、「ハードとソフトの融合」を実現しつつあります。

 

私は、パナソニックのM&Aの歴史について、専門的な知識をもっていません。しかし、マスコミで流れる記事情報からは、パナソニックがM&Aを巧みに行って、自社ビジネスの付加価値を向上させてきたとの印象をもっていません。

 

ブルーヨンダーは、ソフトウェア企業です。パナソニックがブルーヨンダー買収後に、上手く組織融合を行わないと、すべてが絵に描いた餅になってしまいます。

 

ソフトウェア企業の力の源泉は、ソフトウェアエンジニアです。ブルーヨンダーの買収後に、大量のソフトウェアエンジニアが退職してしますと、元も子もなくなります。

 

心から、パナソニックのM&Aが今後の成果につながることを祈念いたします。

今後ともパナソニックの動きについて注目していきます。

 

よろしくお願いいたします。

グローバルビジネスマッチングアドバイザー GBM&A 山本 雅暁

 


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