日経記事;『トヨタや日産、走行機能をソフトで更新 自動運転など』に関する考察 [新規事業開拓・立上]
皆様、
こんにちは。グローバルマッチングアドバイザー 山本 雅暁です。
2月8日付の日経新聞に、『トヨタや日産、走行機能をソフトで更新 自動運転など』のタイトルで記事が掲載されました。
本記事の冒頭部分は、以下の通りです。
『トヨタ自動車と日産自動車は車に搭載したソフトウエアの更新だけで走行機能を高度化する仕組みを2021年に新型車で投入する。技術革新にあわせて自動運転や加速機能を拡充する。車を買い替えなくても性能を最新の状態に保つことができる。コネクテッドカー(つながる車)の普及が売り切りを前提とした従来型の車のビジネスに変革を迫っている。』
私は、1月13日に更新しましたブログ・コラムにて、日経記事;『「アップルカー」の衝撃 日本勢に備えはあるか』に関する考察 [新規事業開拓・立上]のタイトルで書きました。この時点では、まだ、アップルがEVの開発・実用化を計画している段階の話になっていました。
しかし、この後、アップルが韓国や国内の自動車メーカーと、EVに使用する自動車のハードウェア提供に関して、協議を進めている情報がメディアに掲載されています。
どうやら、アップルはグーグルと同じように、自動運転機能付きEVの開発・実用化を具体的に進めてようとしているようです。
EVの分野では、米国のテスラモーターズが、現時点では他社に先行して成功を収めつつあります。また、テスラは自動運転機能を実装しています。
テスラのEVは、既存の自動車メーカーと同じように、自動車本体や電池などの主要部品についても、一部内製化しています。
対して、グーグルやアップルなどの米大手IT企業は、スマートフォンなどの電子端末機器を開発・実用化する中で、ハードウェアの提供を外部の製造受託メーカーに委託しました。
スマホの差別化・差異化は、商品企画、筐体デザイン、利用するアプリケーションソフトウェア・サービスなどで実現しています。特に、アップルの商品企画・開発の能力は、競合他社を圧倒しています。
しかも、アップルの場合、スマホなどの売上に加えて、スマホをプラットフォームとしたサービス事業で、安定的に収益を確保・拡大するビジネスモデルを実現しています。
アップルによるスマホなどの電子端末機器の登場により、ソニーなどの国内家電メーカーは、既存事業基盤を一気に破壊されてしまいました。
アップル、グーグル、アマゾンなどの米大手企業は、インターネットやITのフル活用により、既存事業基盤を短期間に破壊・再構築することで、自社にて有利な事業基盤(プラットフォーム)を作ってきました。
そのアップルが、自動運転機能付きEVの開発・実用化を行うことは、既存自動車メーカーの事業基盤に大きな影響を与えることになります。
同時に、アップルが実用化するEVは、テスラと異なるEVの味付けになる可能性があります。
しみに付加価値をもっている人が主対象になるとか考えています。
テスラの主要顧客は、トヨタなどの既存自動車メーカーのそれと重なります。
しかし、アップルのEVは、同じEVメーカーのテスラとは、違った味付けになると考えています。
アップルは、トヨタやテスラと同じような自動車メーカーにはならないと想定しています。アップルが目指しているのは、自動運転機能付きEVを動く電子端末機器とすることです。
アップルのEVを使用する顧客には、EVの中でインターネットを活用してもらい、自社のサーバーをより多く活用してもらうことにあります。
アップルが想定するEVの顧客は、EVを移動手段として活用し、移動中にアップルのサービスを使用する人たちであり、多くの場合、自動車運転にそれほど興味をもたない人たちです。
グーグルの自動運転機能付きEVの顧客層も、アップルと同じであると考えます。
これらグーグルやアップルの自動運転機能付きEVの開発・実用化を迎え撃つ、トヨタなどの自動車メーカーは、既存の事業のやり方で対応しようとすると、足元を崩されます。
日本国内では、大都市圏を中心に若い人たちの自動車への関心が低下しています。つまり、これは、自動車の運転自体に魅力を感じない人が増えていることの証の一つになります。
このような市場環境下に、アップルが魅力的なデザインとサービス内容を盛り込んだ自動運転機能付EVを導入すると、当該市場に大きな変化が起こる可能性があります。
自動車本来の機能に関心をもたない人たちが、自動運転機能付EVをいろいろなサービスを楽しめる移動手段と捉える可能性があります。
アップルなどによる自動運転機能付EVは、自動車の既存概念や付加価値を、一気に大きく変更させる可能性があります。
トヨタのトップは、数年来、100年に1度の大変革期が自動車に起こると言っているのは、その危機感の表れです。
本日の記事によるとトヨタは、ソフトウエアファーストの開発体制を取り、ソフトとハードの開発体制を分けることで、ハードに先行してソフトを開発し、実装できる組織にする。さらに、22年度から本格化させる無線通信によるソフト更新(OTA=オーバー・ジ・エア)と組み合わせ、新しい機能を頻繁に投入する仕組みを実現するとしています。
すでにテスラは、このような開発体制を敷いています。
日本を代表する自動車メーカーのトヨタがアップル、グーグル、テスラなどの米大手企業と今後、どのように対抗していくのか、引き続き注目していきます。
国内家電メーカーとしてアップルなどに負けたソニーが、ゲーム、音楽、センサーデバイス、電子機器などの総合的な企業として復活しつつあります。
ソニーは、現在家電メーカーではなく、おのおの事業分野を強化することで、総合力を出せる企業になりつつあります。
今後ともよろしくお願いいたします。
コメント 0