日経記事;『「アップルカー」の衝撃 日本勢に備えはあるか』に関する考察 [新規事業開拓・立上]
皆様、
こんにちは。
グローバルビジネスマッチングアドバイザー 山本 雅暁です。
1月10日付の日経新聞に、『「アップルカー」の衝撃 日本勢に備えはあるか』のタイトルで記事が掲載されました。
本日は、この記事に関して考えを述べます。
本記事の冒頭部分は、以下の通りです。
『スマートフォンなどIT(情報技術)業界をけん引してきた米アップルが自動車分野に参入する公算が大きくなった。自動運転技術を搭載した電気自動車(EV)の製造を外部企業に委託し、スマホと同様のビジネスモデルの構築をめざすとされる。実現すれば、自動車産業の構造や勢力図に衝撃を与えるのは確実だ。。。』
以前から、米アップルが自動運転機能付EVの開発・実用化を進めているとの噂がありました。この日経新聞の記事は、アップルが自動運転機能付EVの商品化を進めていることについて書いています。
米国では、テスラモーターズを除けば、アップルと同じ米大手IT企業であるグーグルが、自動運転機能付EVの開発・実用化を積極的に取り組んでいます。
グーグルは、すでに数年間自動運転機能の開発・実用化を進めており、数多くのデータ取得を行っています。
グーグルやアップルなどの米大手IT企業が、自動車産業に参入すると、既存自動車メーカーが築いた事業基盤は一気に破壊・再構築される可能性があります。
これは、過去にグーグル、アップル、アマゾンなどの米大手IT企業が、インターネットやITをフル活用して、多くの既存事業基盤を急速に破壊・再構築してきた実績をもっていることによります。
私は、以前大手AV家電メーカーに勤務していました。この時に、アップルがiPodやiPhoneなどの電子端末機器で、国内AVメーカーがもっていた既存事業基盤を急速に破壊・再構築した動きを目の当たりにしました。
確かに、当時アップルが提示した商品はどれも魅力的であり、一般消費者の琴線を掴みました。
グーグル、アップル、アマゾンなどの米大手IT企業は、既存事業基盤を急速に破壊・再構築するやり方により、自社に都合の良いプラットフォームを作ってきました。
グーグルは、自動車メーカーになる計画はないと言っています。グーグルが欲しいのは、自動運転機能付き自動車であり、言わばインターネット機能をもった動く電子端末機器です。
グーグルの主要な事業は、インターネットの検索エンジンから得られる広告収入です。グーグルは、自動運転機能付き自動車を、新たなインターネット出口をもつ電子機器として位置付けています。
グーグルは、自動車メーカーから自動車のハードウェアを調達して、AIを搭載した自動運転機能を付けることで、自動運転車とします。
グーグルは、アップルがiPhoneを商品化したビジネスモデルを採用して、自動運転機能付き自動車を商品化します。
自動運転車がEVとなることは、米大手IT企業が環境対応車に大きな関心をもっていることと、ガソリンエンジン車に比べて低い難易度で自動車が製作できることによります。
アップルが自動運転機能付EVの開発・実用化を進める場合、当然の如くiPhoneと同じビジネスモデルで、事業化します。
アップルは、自ら自動車工場をもたず、ファブレスで自動運転機能付き自動車を商品化します。
グーグルやアップルなどの米大手IT企業が、自動運転機能付き自動車を商品化して市場導入しますと、トヨタなどの国内自動車メーカーは大きな影響を受けます。
トヨタの経営者である豊田氏が、現在自動車業界が100年に1度の大変革期にあると言っているのは、このことによります。
もちろん、EVの専業メーカーであるテスラモーターズの動きも視野に入っています。
トヨタは、数年前からAI、IoTなどの機能を自動車に付加して、自動運転機能付き自動車の開発・実用化を進めています。
トヨタなどの既存自動車メーカーは、自動車本体にある既存の付加価値と異なる価値観をもつ米大手IT企業と競争を行う必要があります。
米大手企業は、自動車本体のハードウェアではなく、自動車を動く電子端末機器となるプラットフォームと位置付けて、広告宣伝やエンターテインメント用途のコンテンツ配信などのビジネスモデルで高収益を上げようとします。
最悪の場合、国内自動車メーカーはAV家電メーカーと同じように、既存事業基盤をグーグルやアップルなどの米大手IT企業に根こそぎ奪われる可能性があります。
今後、トヨタがグーグルやアップルなどの米大手IT企業の動きに対して、どのようなやり方で対応していくのか注目していきます。
よろしくお願いいたします。
グローバルビジネスマッチングアドバイザー GBM&A 山本 雅暁
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