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日経記事;『未来の車、新素材で軽く 環境負荷低減に一役大王製紙は植物由来 帝人は樹脂で』に関する考察 [何故アライアンスが必要なの?]

                                                 2019年11月10日


皆様、こんにちは。
グローバルビジネスマッチングアドバイザー 山本 雅暁です。


11月10日付の日経新聞に、『未来の車、新素材で軽く 環境負荷低減に一役大王製紙は植物由来 帝人は樹脂で』のタイトルで記事が掲載されました。


本日は、この記事に関して考えを述べます。

本記事の冒頭部分は、以下の通りです。
『未来の車に向けて、化学や製紙各社が新素材の開発を急いでいる。鋼板やガラスを植物繊維や樹脂に置き換え、車体を軽くする軽量化につなげる。環境への負荷の低減には電気自動車(EV)など動力の改善だけでなく、軽量化も不可欠だ。2040年に車体材料に占める非金属素材の比率は現在の数%から15%になるとの試算もある。』


国内の製造業界で、素材産業は自動車と並んで日本経済を支える柱の一つとなる重要な事業分野です。


幸い、これまで国内素材産業は、世界市場で強力な競争力を持ってきました。


一般的に新規素材の開発・実用化は長期間を要するため、腰を据えて行う企業しか実現することができません。国内の素材メーカーは、長期間を要する新素材の開発・実用化に向いた経営を行ってきました。


この経営のやり方は、日本企業が伝統的に持っているユニークさであり、強みの一つになります。


以前、大きな競争力を持っていたAV家電メーカーは、アップルなどの米大手IT企業に駆逐されてしまいました。


これは、国内の家電メーカーが、米大手IT企業が仕掛けた、急速に既存事業基盤を急速に破壊・再構築するやり方に対応できなかったことによります。


今、米大手IT企業の一つであるグーグルが、自動運転機能付EVの開発・実用化で、既存自動車産業の基盤を、急速に破壊・再構築を行うとしています。


トヨタは、この動きに大きな危機感を持っており、かっての強みの源泉であった自前主義の垂直統合方式を止めて、急速にオープンイノベーションのやり方を取り入れて、自動運転機能付EVの開発・実用化に邁進しています。


国内の自動車メーカーの中で、トヨタは上述のようにオープンイノベーションのやり方を取り入れて動いていますが、日産やホンダの動き方が、以前と変わらい方法で経営しているように見えています。


自動車産業は、国内経済の柱でありますので、日産やホンダの動き方に、大きな関心を持っています。


一方、国内素材産業は、今までIT化の大波にさらされてきませんでした。しかし、今後、新規素材の開発・実用化は、創薬分野と並んで、ITの動きに大きな影響を受けます。


特に、AI(人工知能)が、新規素材の開発・実用化や、創薬の開発・実用化に積極的に活用されつつあります。


これらの分野では、現在、スーパーコンピューターが使われています。最近、量子コンピューターの開発・実用化が急速に進んでいます。


現時点では、量子コンピューターはまだ実用化されていませんが、ここ3~4年で、新規素材の開発・実用化や創薬のような、用途が限定された分野で、実用化が急速に進んでいます。


量子コンピューターや関連アプリケーションソフトウエアが、一般企業で使われるようになりますと、東レ、帝人、日本製紙、大王製紙などの素材メーカーに大きな影響を与えます。


つまり、上述しました国内素材産業は、IT・AIを駆使して、より短期間に新規素材の開発・実用化を行わないと、海外企業に先行されるリスクがあります。


東レや帝人などが、長期間多額の資金を投じて、開発・実用化にこぎつけた炭素繊維は、国内素材産業の強さの良い事例になります。


しかし、今後の新規素材の開発・実用化は、IT・AIをフル活用して、オープンイノベーションのやり方をより積極的に取り入れていかない海外企業に先行される可能性があります。


本日の記事にありますEV用途の素材の開発・実用化は、軽量化・耐久性・加工のしやすさ・低コスト化・環境負荷低減などの多面的な視点から、短期間に行うことが求められます。


日本の素材産業は、今までの強みの源泉である垂直統合方式での開発・実用化のみに執着しないで、競合他社の動きなどを見ながら、状況に応じてオープンイノベーションのやり方を取り入れる柔軟性が求められます。


たとえば、新規素材の開発・実用化に特化した量子コンピューターと関連するアプリケーションソフトウエアの実用化は、そう遠くないとの印象を持っています。


このような視点から、今後の国内素材メーカーの動き方に注目していきます。


よろしくお願いいたします。
グローバルビジネスマッチングアドバイザー GBM&A 山本 雅暁


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