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日経記事;『「MaaS」加速へ90社連携 トヨタ・ホンダ異例の握手』に関する考察 [アライアンスから期待する効果]

                                             2019年3月30日

皆様、
こんにちは。
グローバルビジネスマッチングアドバイザー 山本 雅暁です。


3月29日付の日経新聞に、『「MaaS」加速へ90社連携 トヨタ・ホンダ異例の握手』のタイトルで記事が掲載されました。


本日は、この記事に関して考えを述べます。


記事の冒頭部分は、以下の通りです。
『国内約90社が手を組み、新しい移動サービスを提供する「MaaS(マース)」の開発に乗り出す。トヨタ自動車とソフトバンク(9434)を中核に、小売りや物流、不動産など幅広い企業が連携する新組織を発足。自動運転車を効率良くシェアする仕組みや自走する自動販売機など、次世代サービスの創出を目指す。。。』


MaaS(マース)とは、「モビリティー・アズ・ア・サービス」の略称です。
国土交通省は、以下のように説明しています。
「MaaSは、ICT を活用して交通をクラウド化し、公共交通か否か、またその運営主体にかかわらず、マイカー以外のすべての交通手段によるモビリティ(移動)を 1 つのサービスとしてとらえ、シームレスにつなぐ新たな「移動」の概念である。利用者はスマートフォンのアプリを用いて、交通手段やルートを検索、利用し、運賃等の決済を行う例が多い。。。」


トヨタとソフトバンクは、MaaSを実現するための組織体である共同出資会社モネ・テクノロジーズを共同で設立しました。この会社は、MaaSのプラットフォーム構築と維持を行います。


このモネ・テクノロジーズは、3月28日に、ホンダや日野自動車と資本・業務提携したと発表しました。ホンダと日野はそれぞれモネに2億4995万円を出資し、約10%の株式を取得するとのことです。


トヨタとホンダは、自動車業界で激しい競争を行っています。両社は、自動車本体では激しい競争を行いつつ、自動運転車の普及を見据えて、自動車メーカーによる共同作業で自動車業界の生き残り策の一つとして、MaaSを実現しようとしています。


MaaSは、自動運転車の普及と、自動車の所有から共有という動きに対応するやり方の一つになります。


MaaSを自動車メーカーが実現するには、徹底したオープンイノベーション;水平分業方式のやり方が必要になります。


トヨタとホンダの競合企業が、共同でMaaSを実現できれば、自動車業界は、今までに経験したことがない領域に入ります。


これだけ、米グーグルが行っている自動運転車の普及に対して大きな危機感をもっていることの表れです。


米グーグルは、自動車メーカーではありませんが、自動運転車を動く電子端末機器としてとらえており、インターネットによる広告宣伝収入などを拡大することを目的化しています。


今までに、グーグル、アマゾン、アップルなどの米大手IT企業は、既存事業基盤を急速に破壊・再構築してきましたし、今も続けています。


グーグルは、自動運転車のハードウェア自体を自動車メーカーからOEM調達します。グーグルが自動運転車事業で最大の企業になれば、しょうしょう大げさに言いますと、自動車メーカーは、グーグルなどのIT企業に対するOEMサプライヤーになってしまいます。


しかも、グーグルは、自動運転走行の公道試験で、一番多くのデータを取得しており、先行しています。


トヨタとホンダなどの自動車メーカーは、グーグルなどのIT企業の動きに大きな危機感をもっています。


自動運転機能の開発・実用化は、人工知能(AI)、IoT対応、クラウドサービスなどの技術が重要であり、グーグルは、これらの要素技術すべてで自動車メーカーを凌駕しています。


自動運転車は、基本的にガソリンエンジン車ではなく、EVをベースに開発・実用化が進んでいます。


EVは、ガソリンエンジン車に比べて、構造が単純であり、既存自動車メーカー以外の企業も参入可能になります。


インターネット・ITの普及は、商品の所有から共有へと顧客の気持ちを移行しつつあります。


モネ・テクノロジーズは、自動車メーカーが懸念する上記のようなリスクを、自ら解決してグーグルなどのIT企業に対抗しようとしています。


モネ・テクノロジーズの試みが成功するには、参加企業が徹底したオープンイノベーション;水平分業方式のやり方を実現して、急速にプラットフォームを実現・維持する必要があります。


トヨタとホンダなどの自動車メーカーが、業界の枠を超えた事業で、他社との協業(アライアンス)を実行できるかどうかが、モネ・テクノロジーズの成功に直結します。


モネ・テクノロジーズが、グーグルなどの大手IT企業との激しい競争にどのように対抗していくのか注目していきます。


よろしくお願いいたします。


グローバルビジネスマッチングアドバイザー GBM&A 山本 雅暁




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