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日経記事;『ビジネスTODAY後発トヨタ、陣営作り急ぐ 自動運転技術を公開 グーグル系を追う』に関する考察 [何故アライアンスが必要なの?]

                                             2019年1月9日

皆様、
こんにちは。

グローバルビジネスマッチングアドバイザー 山本 雅暁です。


1月9日付の日経新聞に、『ビジネスTODAY後発トヨタ、陣営作り急ぐ 自動運転技術を公開 グーグル系を追う』のタイトルで記事が掲載されました。


本日は、この記事に関して考えを述べます。


本記事の冒頭部分は、以下の通りです。
『自動運転技術のデファクトスタンダード(事実上の標準)を巡る争いが激しくなってきた。トヨタ自動車は7日、開発中の運転支援システム「ガーディアン」を外販する考えを示した。未完成の中核技術の開放を明らかにするのは異例。自動運転技術で出遅れ気味のトヨタは、リードするグーグル系のウェイモの前にシステムの外部提供に踏み切り、自社技術を使う企業の囲い込みを急ぐ。。。』


この記事は、アメリカのラスベガスで開催されていますCES(the Consumer Electronics Show)2019にて、トヨタ自動車が発表しました自動運転技術のプラットフォームになりますToyota Guardian(高度安全運転支援)システム(ガーディアン)を、他社に外販することについて書いています。


このガーデニングの技術内容を発表・説明したのは、Toyota research Institute, Inc.(トヨタ・リサーチ・インスティテュート、TRI)のトップです。


TRIは、2016年にトヨタが巨額投資を行ってアメリカのシリコンバレーに設立した、インターネット・IT・人工知能(AI)・IoT対応の大型研究拠点です。


TRIは、言わばトヨタの自動運転技術の開発・実用化を行う米国内の拠点になります。


今後、トヨタは、自動運転機能付EVの開発・実用化で、米大手IT企業のグーグル(ウェイモ)と激しい競争を戦い抜く必要があります。


トヨタがグーグルとの激しい競争を勝ち抜くには、何度か本ブログ・コラムで書いていますように、従来の1社単独で行ってきた垂直統合方式の開発・実用化のやり方ではなく、オープンイノベーションを有効に活用するやり方で、開発・実用化を行う必要があります。


今回のTRIの発表は、他社とのオープンイノベーションを具体化するやり方の一つになります。


ガーディアンは、自動運転技術のプラットフォームになります。TRIは、このガーディアンを、現時点では、他社に有償で提供することを発表しました。


トヨタは、このガーディアンを自動車業界に広めることで、グーグルが行おうとしている自動運転技術のプラットフォーム提供に対抗する狙いがあります。


グーグルは、何度か本ブログ・コラムで書いていますように、決して自動車メーカーになる経営意図はもっていません。


グーグルは、欧米フィアット・クライスラー・オートモービルズ(FCA)と連携・協業(アライアンス)を行うことにより、ハードウェア製品である自動車本体を確保します。


グーグルは、スマートフォンのプラットフォームであるOSのアンドロイドを、無償で提供することにより、スマートフォンOSのプラットフォーマーになっています。


グーグルは、この立場を利用して、自社の検索エンジン、翻訳エンジン、地図情報サービスなどのアプリケーションソフトを無料で提供して、企業が行うインターネット広告宣伝収入を稼いでいます。


グーグルが自動運転機能付EVの開発・実用化を行っているのは、自動運転車のプラットフォームになるOSを自社のものにすることで、スマートフォンと同じように動く電子端末機器化することにあります。


グーグルが自動運転車に適用するビジネスモデルは、スマートフォンと同じです。


トヨタの社長は、このグーグルの動きに、深刻な危機感をもっています。これは、グーグルやアップルなどの米大手IT企業が、行ってきた既存事業基盤を急速に破壊・再構築する動きをみていることによります。


自動運転車の市場をグーグルが支配した場合、トヨタなどの自動車メーカーは、単なるハードウエアの供給者になります。


今後、自動運転車は、EVが主流になると見込まれますので、現在のガソリンエンジン車の強みは、生きません。


国内の自動車産業は、日本経済の大きな柱の一つです。この自動車産業が、過去に日本のAV家電商品と同じように、米大手IT企業との競争に負けると、その影響は計り知れないものになります。


この視点から、今回、トヨタが打ち出したオープンイノベーションの施策が、広く受け入れらるようにする必要があります。


このオープンイノベーションの実行部隊がTRIであれば、ガーディアンが自動運転車のプラットフォームになる確率が高くなります。


TRIは、米国の優秀なIT技術者達で運営されており、言わば、米国のIT企業になります。


トヨタ本社は、TRIにFull Autonomy(完全な自治権)を与えて、このプラットフォーマー化を推し進めるのが、成功のカギになります。


トヨタの今後のオープンイノベーションのやり方に注目していきます。


よろしくお願いいたします。


グローバルビジネスマッチングアドバイザー GBM&A 山本 雅暁


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