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日経記事;『ディスラプションその先にハンドルはデータが握る 車・IT融合の波 合従連衡の顔ぶれ一変』考察 [何故アライアンスが必要なの?]

                                                  2018年1月3日

皆様、
明けましておめでとうございます。
本年もよろしくお願いいたします。

今年初めてのブログ・コラムを書きます。


1月3日付の日経新聞に、『ディスラプションその先にハンドルはデータが握る 車・IT融合の波 合従連衡の顔ぶれ一変』のタイトルで記事が掲載されました。


本日は、この記事に関して考えを述べます。


本記事の冒頭部分は、以下の通りです。


『自動車産業のプレーヤーが大きく変わりつつある。自動運転やシェアリングといった新しい波に乗ってネット企業などが技術開発を進め、既存の自動車メーカーに対してディスラプション(創造的破壊)を仕掛けつつある。

グーグル系のウェイモは2009年から自動運転の技術開発を進めている。

トヨタも転換

19年はトヨタ自動車が販売事業を根本から見直す転換点となる。毎月一定額を支払えば複数の車を乗り換えられるサブスクリプション(定額制)サービスを始め、販売店を拠点にカーシェア事業にも乗り出す。。。』


今まで何度か本ブログ・コラムで書いていますように、2019年から2020年は、トヨタにとって大きな意味をもつ年になります。


これは、トヨタが当初次世代環境対応車の切り札として設定していた燃料電池車が、日本以外では受け入れられずに、米国、欧州、中国の大市場では、電気自動車(EV)が次世代環境対応車として位置付けられたことが大きく影響しています。


EVの開発・実用化は、既存の自動車メーカーの強みの源泉となるガソリンエンジン車に固有の技術やノウハウを必要としません。


EVの開発・実用化は、しょうしょう極端なことを言いますと、電池、タイヤ、車体などの主要部品を調達できれば、既存の自動車メーカーでなくても、実行できます。


この視点からみますと、ガソリンエンジン車の開発・実用化ノウハウを生かせる、トヨタや日本政府が仕掛けた燃料電池車の開発・実用化は、現時点では、思うように進まない状況になっています。


ガソリンエンジン車の普及には、水素ステーションのような高額投資を要する社会インフラの設置が必要になることも、現時点では足かせになっています。


結局、トヨタをはじめとする国内自動車メーカーは、EVの開発・実用化を集中して行い世界市場で勝負することになります。


加えて、EVの開発・実用化の方向は、自動運転機能を付加することが必要不可欠になっています。


自動運転機能付EVの開発・実用化は、IoTという言葉に代表されるように、自動車自体をインターネットに常時つなげる能力を保持する必要があります。一般的にこの機能は、コネクテッドと言われます。


自動運転機能は、自動車に設置されたセンサーやレーダーなどのデバイスから供給される大量のデータを瞬時に解析して判断できるようにするための高度なアルゴリズムや人工知能(AI)の活用が、必要不可欠になります。


このコネクテッドやアルゴリズム・AIの開発・実用化は、既存の自動車メーカーにとって、もっていない技術やノウハウです。


当該技術やノウハウは、米大手IT企業であるグーグル、アップル、アマゾンなどがもっています。


特にグーグルは、世界で初めて自動運転車の開発・実用化を行っており、今までに2018年10月時点で走行距離が地球400周分にあたる1000万マイルを超えているとされています。


自動運転車の頭脳になるAIは、賢くなるために大量のデータを必要とします。グーグルの検索エンジンや翻訳エンジンの能力が年々向上しているのは、毎日世界中の人が多く活用することで、膨大なデータの蓄積・活用が可能になっていることによります。


トヨタなどの国内自動車メーカーは、自動運転車能力を左右するAIの開発・実用化で大きく遅れています。


もう一つ国内自動車メーカーにとって厄介な課題は、日米欧の自動車市場で自動車が所有から共有となるビジネスモデルの大きな変革の可能性があることです。


トヨタは、このような大きな事業環境の変化を察知しており、ここ2~3年以内に、積極的にオープンイノベーションのやり方を取り入れて大胆な施策を実行しています。


たとえば、2018年末に発表されたトヨタとソフトバンクの提携は、自動車の共有化を意識したトヨタの強い思惑が反映されています。


過去、米大手企業は、既存事業基盤を急速に破壊・再構築してきましたし、今も実行しています。既存自動車業界も、その対象になっています。


グーグルは、決して自ら自動車メーカーになる意図はなく、自動車自体を走るインターネット出口端末機器として認識しています。


このことは、グーグルは自動車本体から収益を上げずに、自動車に搭載した検索エンジンなどからの広告宣伝収入の拡大を図るビジネスモデルを実行する可能性が高くなります。


トヨタは、十分にそのリスクを認識しています。トヨタがグーグルと対抗するには、オープンイノベーションのやり方を徹底的に行って、自ら自動車事業基盤を破壊・再構築するように迅速に対応することが必要になります。


トヨタとグーグルの戦いは、今後の国内自動車産業に大きな影響を与えますので、
今後の両社の動きに、注目していきます。


よろしくお願いいたします。


グローバルビジネスマッチングアドバイザー GBM&A 山本 雅暁


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