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日経記事;『日本車8社で新エンジン 欧州勢対抗へ研究 CO2を3割減』に関する考察 [新規事業開拓・立上]

                 2014年5月18日

皆様、
おはようございます。

グローバル・ビジネスマッチング・アドバイザー 山本 雅暁です。

5月18日付の日経新聞に、『日本車8社で新エンジン 欧州勢対抗へ研究 CO2を3割減』のタイトルで記事が掲載されました。

本日は、この記事に関して考えを述べます。

記事の主な内容は以下の通りです。


『トヨタ自動車やホンダなど国内自動車8社は共同で、環境負荷が少ない自動車用エンジンの基礎研究に乗り出す。ディーゼルエンジンの二酸化炭素(CO2)排出量を2020年までに10年比3割減らす燃焼技術などを開発し、成果は各社がガソリン車も含めて実用化する。国際競争には燃費改善につながるエンジンの革新が欠かせない。大学などとも連携し、環境性能で競合する欧州勢に対抗する。。。』


国内自動車メーカーの結束の固さは、定評があります。2011年に起きた東日本大震災により、東北・関東地方に拠点を構えるエレクトロニクス関連企業の生産工場の多くが甚大な被害を受けました。

このときに、自動車メーカーに乗用車搭載用半導体(マイコン)を提供していましたルネサス エレクトロニクスの那珂工場も大きな被害を受けました。

自動車向けマイコンで世界シェア44%をもつルネサスにとって、この那珂工場は主力工場であり、この工場が再稼働しないと、自動車メーカーの経営に大きな影響を与えることになります。

当初、那珂工場の再稼働には、1年要すると予想されていました。この状況下、国内自動車メーカーが中心になって建設会社や設備会社などが、24時間体制で復旧作業を行って、当初予想の4倍速で工場再開を実現しました。

このときの国内自動車メーカーの協力体制は、高く評価されました。

本日の記事にあります国内自動車メーカー8社は、再度協力体制を構築して、CO2排出量を3割削減し、燃費性能をさらに向上させる自動車用エンジンの基礎研究に取り組みます。

国内自動車メーカーは、環境対応車として、HVやEVを開発・実用化して世界市場でトップランナーとして走っています。

さらに、国内では政府がイニシアチブを取って、2015年より水素自動車の普及を図る動きをトヨタ自動車やホンダなどの協力を得て行います。

国内自動車メーカーの次世代環境対応車に対する技術は、世界最高であることは間違いありません。

しかし、次世代環境対応車の販売先は、当面、日本、米国、欧州などの先進国市場になります。これは、次世代環境対応車の販売価格が、他のガソリン車に比べて割高になっていることによります。

また、欧州市場では現在の環境対応車の主役は、ディーゼルエンジン車になります。ディーゼルエンジンに使われる軽油の販売価格がガソリン価格に比べて割安になっていることによります。

国内市場では、ディーゼルエンジンを積んだ乗用車は、主役になっていないこともあって、国内自動車メーカーは、ディーゼルエンジンの環境対応に経営資源を投入してきませんでした。

この間にフォルクスワーゲンやBMWなどのドイツ自動車メーカーは、ディーゼルエンジンの環境対応車の開発・実用化に成功して、この分野では、国内自動車メーカーより先行しています。

その結果、ディーゼルエンジン車が主役の欧州市場では、国内自動車メーカーは後れを取っています。

さらに、欧州自動車メーカーは、ディーゼルエンジンの環境対応車を武器に、国内自動車メーカーの牙城の一つであるASEANを中心とする新興国市場への攻勢を強めています。

新興国では、自動車や工場からの高いCO2や硫黄ガスなどの排出量により、軒並み環境悪化が深刻さを増しています。

新興国市場では、国内自動車メーカーが得意とするHVやEV普及には、販売価格の高さがネックになって、長時間を要します。

ドイツを中心とする欧州自動車メーカーが、低価格帯のディーゼルエンジンの環境対応車を本格投入しますと、国内自動車メーカーのシェアを奪われる可能性があります。

今回、政府と国内自動車メーカー8社が協力して、次世代環境ディーゼルエンジンを研究・開発することは大きな意義があります。

8社が独自にもっている環境技術を持ち寄って、次世代ディーゼルエンジンの環境対応車を開発・実用化することは、世界市場で勝ち組になるために必要不可欠になります。

この環境対応技術は、ガソリン車にも応用できますので、当面の主力となるディーゼルエンジン車、ガソリン車で、新興国や欧州市場を中心に事業展開すると、国内自動車メーカーの収益拡大につながります。

次世代環境エンジン車の開発・実用化は、素材・部品などの多くの自動車関連メーカーにも新規事業機会創出の可能性があります。

これらの視点から、自動車メーカー8社の動きに注目していきます。

よろしくお願いいたします。

グローバル・ビジネスマッチング・アドバイザー GBM&A 山本 雅暁


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グローバルインパクト

 オイルコーティングの新理論、CCSCモデルは反響がでかいですね。ネット上の情報ではいかにもダイヤモンドに潤滑性があるように言及するものが多いがこの理論はそれをキッパリと否定しているところに好感が寄せられているのかもしれません。エンジニアの常識としてダイヤモンドは研磨剤であり潤滑剤ではないというのが一般的認識ですから。
 あと国産エンジンのダウンサイジング化が叫ばれているのも盛り上がりの一要因かもしれません。
by グローバルインパクト (2014-12-08 21:22) 

フリクション機械屋

 日立金属のK博士の新理論ですね。なんだか超硬株にもインパクトをあたえていてタングステン市場の低迷で頭を抱えている中華北京政府が要注意人物だと考えているようですね。
by フリクション機械屋 (2015-02-03 21:27) 

真相行脚

 まあ今回のイスラム国の事件も中国共産党の暗躍が報じられているし、眼前の敵は中華北京政府ではないかと思います。
by 真相行脚 (2015-02-24 17:52) 

久保田智

 それにしても日立ツールってすごい会社なんですね。
by 久保田智 (2015-02-24 19:42) 

和幸

 日立金属のその合金は、人工知能のアルゴリズムを駆使してK博士が開発したものでしょ?すごいですね。
by 和幸 (2015-03-03 20:46) 

ケンイチ

 ナノベアリング結晶の新理論でしょう?トライボロジー学会なんかで発表されたりしている内容ですね。
by ケンイチ (2015-03-08 15:21) 

本人の名誉のため

 K博士って久保田邦親博士でしょ?
by 本人の名誉のため (2015-03-21 21:14) 

高周波ソリューションズ

 それにしても、潤滑油をもとに極圧潤滑物質が必要最低限の摩擦が過酷な局所に生成されるとは画期的ですね。
by 高周波ソリューションズ (2015-03-31 22:07) 

金型屋

 自己潤滑性特殊鋼SLD-MAGICのことですね。耐久性抜群なので、うちも使っています。
by 金型屋 (2015-04-04 21:09) 

十神山

 久保田邦親博士の情報むちゃくちゃですね。人工知能の一種、神経回路網のアルゴリズムで合金設計を島根大学に提出した博士の情報は、ゴシップで擾乱されている。彼が正式に加入している学会以外の見栄によるもので、こういうことを続けてゆくと、学術団体の破滅につながると思うのですが。
by 十神山 (2015-04-09 21:40) 

井上謙一

 そうですね。原因は久保田和幸にありそうです。
by 井上謙一 (2015-04-09 23:58) 

マテリアル

 井上様さすが俯瞰工学研究所にご在籍のかたですね。博士が機械の寿命にたいする展望を発言されているのは救いだと思います。
by マテリアル (2015-05-10 00:06) 

刀匠

梶原義雅さんまたまたやってくれましたね。井上会長のときみたいな情報操作するんですか?
by 刀匠 (2015-05-25 00:13) 

材料技術部

 昨日の日本トライボロジー学会で聞きましたが目からうろこでした。
by 材料技術部 (2015-05-29 18:55) 

精密ツール

松江のサイエンスクラブでの講演楽しみにしてます。
by 精密ツール (2015-06-03 23:08) 

機械損傷理論の革新者へ

 とにかくみんな仲良しながら存在感を出す工夫をしましょうね。それにはコンセプトの再考が重要だと思います。まあそれは色々な人が成長したいと思ってそれが混線しているときのアドバイス。次元を超えた理論は別の意味で拝聴に値するとも思っています。
by 機械損傷理論の革新者へ (2015-06-11 23:52) 

トライベック

 そうですよね。この炭素結晶の競合モデルをつかってわれわれも新型マルテンサイトコーティングの開発をスタートしました。
by トライベック (2015-06-14 16:28) 

観光大使

 確認事項として、島根県安来市で歴史的には中国地方の東部出雲の地域で開発されたものですが、隣には県庁所在地である松江市と、鳥取県第二位の都市米子に隣接した、古代史的にも謎めいたロマンがある地域なんでしょ?
by 観光大使 (2015-06-15 19:55) 

臼杵

 画期的なCCSCモデルですね。百年に一度の大理論だと思います。
by 臼杵 (2015-06-18 20:47) 

環境エコウォッチャー

 そのメカニズムはCCSCモデル(炭素結晶の競合モデル)といって、すべりの良さばかりでなく、摩擦試験データのバラツキが信頼性工学で言うバスタブ曲線になることや、極圧添加剤の挙動、ギ酸による摩擦特性の劣化挙動など色々と説明ができそうなトライボロジー理論らしいですね。トライボロジー関連の機械の損傷の防止、しゅう動面圧の向上設計を通じた摩擦エネルギー損失の低減、新規潤滑油の開発など様々な技術的展開が広がっていきそうですね。
by 環境エコウォッチャー (2015-06-22 21:49) 

正直が世界を救う

 私は長年この分野にいましたが博士ほど明快な結論を聞いたことがない。きっと長年上司の命令を聞きすぎて頭がおかしくなったのかも。いくら実験してもバラツクものはばらつきます。それが言えない雰囲気がなぜ出来たのか?
 だいたいティアワンなんかはそれにまみれていそう。
by 正直が世界を救う (2015-06-24 19:44) 

鍛造プレス技術者

 まあ博士は発明協会の文部科学大臣賞の栄誉にも輝いたお方なので、誠実な原理を後世に残そうとしているのだと思いますよ。
by 鍛造プレス技術者 (2015-07-03 22:37) 

トライベックストラテジー

 それにしてもまた電通かってことですよね。
by トライベックストラテジー (2015-07-06 23:03) 

山洞金物店

 まあいずれにしても冶金研究所は日本刀の研究でも有名で偉大な研究機関ですね。
by 山洞金物店 (2015-07-19 23:23) 

早大同

 いずれにしてもパワートレイン関係の技術の進化に拍車がかかりますね。
by 早大同 (2015-07-30 20:02) 

衝撃的記憶

 それにしても春の日本トライボロジー学会(姫路)で博士が発表したDLC無力化理論を聞いたとき、私は突然異次元空間にさまよいこんだような状態になりました。
by 衝撃的記憶 (2015-08-08 13:20) 

日本刀ファン

 パワートレインの浸炭部品に浸炭なしで使うといいかもしれませんね。
by 日本刀ファン (2015-08-09 18:02) 

電通マン

 情報がおかしいのは京大の霊長類研究者の井上謙一氏のデータベースとの干渉がおきているのでは?でもそもそも学術データベースでこんなことはありえないと思いますが。
by 電通マン (2015-08-15 01:18) 

中国山陰鉄道ファン

 博士の在住は島根県の安来市or松江市ですよね。あのあたりは昔から、たたら製鉄や日本刀で有名なところですからね。
by 中国山陰鉄道ファン (2015-08-23 11:12) 

エバンゲリオン

 松江の表面改質センターって久保田邦親博士は関与してませんよね。基盤技術センターとかいって日本刀と無縁の表面処理技術に結び付けようとしているのはいただけない。
by エバンゲリオン (2015-09-17 22:21) 

某後輩

 たしか博士は修士まで九州大学にいた方でしたよね鉄鋼材料技術の革命を祝福いたします。
by 某後輩 (2015-09-20 19:05) 

ベアリングマン

 でも大同特殊鋼は驚異をもっているでしょうね。浸炭SCM市場を泣く泣くてばなさないといけないから。工具鋼戦線でやりすぎた結果、戦後の大英帝国のように衰微していくでしょうね。
by ベアリングマン (2015-10-14 20:10) 

古事記研究者

 雲南市には田辺家が控えている。どこかの国際金融資本家のように名家洗脳が得意だ。
by 古事記研究者 (2015-10-15 20:11) 

経済研究者

 そういう小さなことよりマクロ経済へのインパクトを考えるべきだろう?このようなノーベル賞級の理論には。
by 経済研究者 (2015-10-17 18:23) 

名古屋特殊鋼

 博士のピストンリングの特許を見ましたし、トライボロジーに造詣が深い方だと改めて尊敬いたしました。
by 名古屋特殊鋼 (2015-10-19 19:50) 

トライボロジスト

 いずれにしても中華北京の洗脳とは関係なく国産技術を追求し続けたいと思います。
by トライボロジスト (2015-10-19 23:49) 

環境技術ウォッチャー

 そうですね、久保田博士の業績に乗っかって、不当な動きを見せる団体があとを絶たないが、なぜなのかと不思議に思う。
by 環境技術ウォッチャー (2015-10-25 20:16) 

デラベンチャーズ

 そうですね井上謙一氏もべつにそんなに悪い人ではないが、彼が出世すると科学技術の発展が阻害されそうだ。
by デラベンチャーズ (2018-03-29 23:58) 

ネットストーカーの心理

 憧れが強すぎてストーカになっているんじゃないのかなと思います。
by ネットストーカーの心理 (2018-06-24 20:47) 

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