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中小製造業者の海外事業展開に関する考察 [ベンチャー・中小企業支援]

                                                                 2011年2月6日

皆様、
こんにちは。
グローバル・ビジネスマッチング・アドバイザー 山本 雅暁です。

本日は、首記の件について考えを述べます。

2月6日付の日経新聞に、『海外子会社、製造業の4社に1社が保有 10年3月末』のタイトルで記事が掲載されました。

記事の主な内容は以下の通りです。

『製造業の海外シフトが続いている。経済産業省の調べによると海外に子会社を持つ企業の割合は2010年3月末で24.4%と、調査を始めた1992年3月末以来の最高となった。保有割合は15年で10ポイント上昇。子会社の所在地は中国などアジアが6割を占めた。

調査は従業員数50人以上で資本金3000万円以上の企業を対象に集計した。昨年3月末で海外子会社を持つ企業は3191社。調査対象1万3070社の約4分の1を占めた。

海外子会社の総数は2万2845社で、1社あたりの子会社数(7.2社)は前年に比べて0.1社増えた。子会社の所在地別ではアジアが最も多く、特に中国の子会社は6048社で欧州(4427社)、北米(4102社)を上回った。。。。』

上記記事は製造業全体の海外シフト増加について書いています。
このことを中小企業に焦点を当ててみますと少々異なったことが見えてきます。

中小企業庁が2010年春に発表しました「中小企業白書2010年版 ~ピンチを乗り越えて~全体概要」を見ますと、中小企業が海外市場に対してどうのように取り組んでいるか感じ取れます・

「第2章国外の成長機会の取り込み」から以下の情報を抜粋します。

1.中小製造業の08年度での輸出割合は7.4%で毎年上昇している。ちなみに、大企業と中堅企業の輸出割合は各々、11.8%、27.8%となり、中小より高い。

2.海外子会社を保有する企業の割合は、07年度で中小製造業17.1%、大企業 28.2%となっている。上記記事にある92年からの比較を同じように行うと以下のようになる。

     94年 ⇒ 07年
・中小  8.1%    17.1%
・大企業 25.1%   28.2%

中小製造業の海外展開は、約15年間で倍増した。

3.従業者規模別の輸出企業の割合(製造業)は以下の通り。

・0~5人;0.3%
・6~10人;0.6%
・11~15人;1.3%
・16~20人;1.7%
・21~30人;2.6%
。。。。。
・51~100人;7.1%
・101~200人;12.1%
。。。。
・501~1000人;34.5%
・1001人超;55.3%

従業者規模と輸出企業の割合は正比例している。

4.中小企業の輸出先

アジア;65.8%、北米;14.7%、欧州;11.3%。。。

大企業の場合、アジア;40.4%、北米;26.6%、欧州;19.3%となり、中小はアジア向け輸出比率が高い。

5.中小企業の国際化のきっかけ

・自社製品に自信があり、海外市場で販売しようと考えた:38.0%
・取引先の生産拠点が海外に移転した:23.3%
・コスト削減要請に対応するため海外生産の必要性を強く認識した:22.2%
・取引先に勧められた:21.7%
・国内の販売が伸び悩んだため、海外市場に打って出ようと考えた:21.0%。。。

総じて中小企業の前向きさが感じられる。

6.中小企業の国際化後のための取組と課題

・現地における販売チャネルの開拓:46.5%
・海外市場の情報収集:55.3%
・海外マーケティングの強化:38.1%
・生産効率向上・コスト削減:40.8%。。。

国際化後は、「現地における販売チャネルの開拓」や「海外マーケティングの強化」の割合が増加する。

7.規模別の輸出開始企業の継続割合(00年度から07年度)

・中小企業;47.8%
・大企業;59.4%

輸出開始後に、輸出を継続する中小企業の割合は、大企業と比較して低く、2000年度に輸出を開始した企業のうち、半数以上の企業が2007年度までに撤退している。


上記数字と、現在支援している中小製造業の実態を見ると次のことが言えます。

1.差異化を可能にする技術を持っている中小企業のうち、自社製品に自信があり、ニッチな市場・顧客を見つけているところは輸出を確実に行っている。
対象市場は、医療、バイオ、環境関連など。輸出先は欧州と北米が多い。

これらの市場は、小さいため中堅や大手は入って来ない。

2.差異化を可能にする技術を持っているが市場・顧客がまだ見えていない中小は、自社Webサイトの英語版を作って情報発信を行ったり、各種のトレードショーや交流会に出展して市場・顧客を探している。
欧州や北米の顧客がWebサイトの検索で探して、商売につながるケースが増えており、国際的なネット対応が必要であり効果的と考える。

3.中小企業は、大企業や中堅が行うような比較的大きな市場を相手にするより、自社技術・製品の良さを理解してくれる顧客に売った方が事業の継続性が可能になる。
顧客がいれば、販路開拓は代理店や商社などを使える可能性が高い。
顧客や市場があいまいなまま輸出を始めると販路開拓が難しく、継続困難になる場合が多い。アジア地域でこの傾向が高いように感じる。

4.差異化を可能にする技術を持っていて顧客を見つけられる中小企業は、従業員規模に関係なく北米や欧州を中心に積極的に輸出開拓を行う。


共通して言えますのは、中小製造業が勝ち残っていくために、差異化を可能にする技術・製品を持つことが必要だと考えています。

よろしくお願いいたします。

グローバル・ビジネスマッチング・アドバイザー GBM&A 山本 雅暁

 


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