日経電子版;『エコ商品の世界基準作り「日本企業参加を」ウォルマート主導の団体 』に関する考察 [ベンチャー・中小企業支援]
2010年12月20日
皆様、
こんにちは。
グローバル・ビジネスマッチング・アドバイザー 山本 雅暁です。
12月20日付の日経電子版に、『エコ商品の世界基準作り「日本企業参加を」ウォルマート主導の団体 』のタイトルで記事が掲載されました。
本日はこの記事に関して考えを述べます。
記事の主な内容は以下の通りです。
『世界最大の小売業、米ウォルマート・ストアーズが中心となって進めている「エコ商品」の世界統一基準作りが日本に及んできた。同社を含む約60社からなる団体がソニー、シャープ、花王といった主要メーカーに参加を要請した。来年中にまず洗剤、パソコンなど25品目で合意を目指す。ウォルマートは商品調達の際にこの基準を使う方針で、日本メーカーも対応を迫られそうだ。
エコ商品の基準は、生産から消費までに排出された二酸化炭素(CO2)の量、水の消費量のほか、特定の化学物質を使っていないかなどを総合的に数値化したもの。商品に表示するなどして消費者が選ぶ際の目安にする。ウォルマートはメーカーや小売り、学者らに呼びかけて「サステナビリティー・コンソーシアム」を設立し検討を進めている。
このほど同コンソーシアムのケビン・ドゥーリー共同代表(アリゾナ州立大教授)が来日し、日本の主要メーカーに参加を要請した。今後は日本の小売りについてもウォルマート傘下の西友にとどまらず、大手スーパーなどに幅広く参加を呼びかける方針だ。
同コンソーシアムは来年中にまずシャンプー、掃除用品、オレンジジュース、ヨーグルト、シリアルなど25品目で試験的な基準を作り、5年以内に数百品目に広げる方針。エコ商品の基準は各国でばらばらになっており、統一基準を作ることで世界規模の調達が容易になるとみている。
メーカーがウォルマートに商品を供給するには、この基準をもとに商談する必要が出てくる。ウォルマートの購買力は巨大で、同コンソーシアムには主要な欧米メーカーが参加している。日本企業は東芝のみ。花王は「要請を受けたのは事実で、参加するかどうかは検討中」としている。』
この記事は幾つかの示唆を示しています。
先進国市場では自社が売る商品がこのようなエコ基準に合致するかどうかが今後の事業活動に関して重要なことの一つになってくると考えます。
エコの他に安全や安心もキーワードとして加わる可能性もあります。
ウォルマートは、顧客に「自社で扱う商品はエコ基準を達成しているので安心して買ってください。環境に優しい商品のみを販売しています。」などの点をアピールしお客を引き込もうとする戦略です。
エコに強い関心を持つ顧客や欧州などの地域での販売基盤を強固にする狙いがあります。
国内家電業界のセットメーカーも独自の安全・安心基準を作って、当該基準に合致する材料・部品メーカーのみと取引を行うとする動きも出ています。
これは、グローバル市場で事業を行う企業にとって、エコ・安全・安心の基準を満たす商品を作り供給することが至上命題になっているからです。
例えば、欧州地域で販売するには、商品にCEマーク《欧州地域(欧州連合(EU)及び欧州自由貿易機構(EFTA)の大部分)における各国の法的規制に対して適合していることを示す“マーク”を商品に貼る規制》を付ける必要があります。
CEマーク自体が年々変化し続けており、欧州地域内で商売する上での障壁になりつつとの見方をする人々もいます。
しかし、CEマークは、国民に安心・安全を保証し、エコ基準を満足する商品のみを使えるという大きなメリットがあることは言うまでもありません。
障壁と考えるかどうかは、自社が欧州地域を含むグローバル市場に対してどう立ち向かっていくかの観点で考える姿勢によります。
欧州地域の基準が何れ大きなグローバルスタンダードになる可能性もあります。
ウォルマートの場合は企業単独の動きですが、欧州地域は非常に大きいマーケットですので、CEマークを付けるかどうかは大きな決断になります。
中小企業の場合、一層この決断の意味合いが大きくなります。
欧州で商売したい、或いは、輸出したい企業は、例外なくCEマークを付ける必要があります。
もし欧州地域での事業を考えている企業は、どのようにすればCEマークを付けられるか、コストや取得までに要する時間などを計算して対応する必要があります。
これは米国のUL規格に対する対応でも同じです。
私は中小企業に対する輸出支援の立場から、安全規格の専門家や評価施設(テストラボ)の経営者などと共に連携してチームを組んで、海外市場への輸出支援を応援しています。
中小企業単独では、CEマークをなどの安全規格・規制への対応は大変難しいのが実情です。
高い、或いは独自性を備えた技術を持つ商品は、海外市場に輸出可能ですし、採算も取れます。
中小企業は、安全規格や規制を後ろ向きに考えず、グローバル市場で事業を行う上での必要な税金と考えて積極的に取得し商売に活用する発想が必要です。
よろしくお願いいたします。
グローバル・ビジネスマッチング・アドバイザー 山本 雅暁
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