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「国境を越える電子商取引の法的問題に関する検討会」の概要について [ビジネス雑感]

                                                             2010年9月27日

皆様、

おはようございます。
グローバル・ビジネスマッチング・アドバイザー 山本 雅暁です。

経済産業省は、 「国境を越える電子商取引の法的問題に関する検討会」が行ってきた検討結果を9月16日に報告書にまとめ公表しました。

本日は、この公表結果の概要について述べます。

私は、中小企業の社長さんに対して、海外市場への輸出を積極的に行いましょうと言っています。
これは、国内市場だけでは売上の拡大を見込めないためです。
海外に輸出するときに大事な事の一つとして、英語版の自社Webサイトを用意し、海外の顧客が自社商品・サービスや技術を知ってもらいます。

同時に、販路開拓の一環として、商社や代理店などの“実店舗ルート”に加えて、ネット通販の活用も勧めています。実店舗に加えて、自社の独自ルートの確保が可能になるためです。

ネットを活用すれば、現地に拠点を置くことなく海外に進出することも可能です。多額の投資が必要ないことから、海外に販路を拡大するツールとして使えます。

この様にネット通販は、中小企業にとって有効な販路ツールですが、片一方、国境を越えた取引に関しては、相手国の言語の問題や決済・物流面でのビジネスパートナーの問題に加え、取引相手との間に争いが発生した場合の対応の仕方についても考えておく必要があります。

上記検討会では、海外取引先との争いになった時の、法的な対応について、問題点の指摘と対応策を提言しています。

論点として次の三つを想定しています。

【論点1】(事業者間取引:BtoB)日本の電子商取引事業者が、外国の事業者を相手にインターネットを介して商品販売やサービス提供を行う場合、契約成立の時期や要件、契約履行の考え方など、取引の基本的なルールについては、どこの国の法律が適用されるか。

【論点2】(事業者・消費者間取引:BtoC)
日本の電子商取引事業者が、外国の消費者を相手にインターネットを介して商品販売やサービス提供を行う場合、どこの国の法律が適用されるか。

【論点3】(製造物責任)
外国の消費者が、日本の電子商取引事業者からインターネットを介して購入した商品を使用したところ身体に被害が生じたとして、当該商品を製造した別の日本の事業者に損害賠償を請求している。この場合、どこの国の法律が適用されるか。

本ブログでは、 【論点1】への対応について書きます。

海外企業との争いになった場合、裁判所に訴えて決着をつける事になります。
この時に、大事な事は、「相手国の裁判所で訴える」か、「日本の裁判所で訴える」かです。

常識的に、国内企業が国境を越える電子商取引に係る法的リスクやコストを減らす上では、日本の裁判所で、日本法に基づき、紛争解決に取り組めるようにしておくことが望ましいです。

このために、売買契約を締結するときに、国際裁判管轄や準拠法について、当事者間で予め合意しておくことが重要です。

具体的には、取引に関するトラブルが生じた場合に、
1.日本の裁判所で争う、
2.裁判に際しては日本法を適用することを予め明確にしておくとともに、
3.ウィーン売買条約の適用の排除を望む場合にはその旨も合意内容に盛り込んでおくことが重要です。

<<ウィーン売買条約>>については、下記事項をお読みください。
国際物品売買契約に関する国際連合条約(ウィーン売買条約)

・異なる国に営業所を有する当事者間の物品売買契約に関し、
1.これらの国がいずれもウィーン売買条約の締約国である場合、又は、
2.国際私法の準則によってウィーン売買条約の締約国の法が適用される場合には、ウィーン売買条約が直接適用される。

・なお、契約において、ウィーン売買条約を適用しない旨明記している場合、本条約の適用を排除することができる。
・また、消費者相手の販売には、ウィーン売買条約は適用されない。

【締結国】日本、米国、オーストラリア、フランス、ドイツ、中国、韓国等、74カ国。先進国で批准していないのはイギリスのみ。(2010年5月17日現在)


【論点2】(事業者・消費者間取引:BtoC)や【論点3】(製造物責任)についても重要な事が報告書で述べられています。

海外企業や顧客との取引を行うとしている、或いは、既に行っている企業は、この報告書を良く読んで必要な対応を行う事をお勧めします。

私の場合、海外企業と多くの契約を結んできました。
相手先は、通常相手国の裁判所とその国の法律適用を要求してきました。

基本的には、日本の裁判所と日本法の適用を主張しましたが、平行線の場合、お互いにとって中立的な国、例えば、米国のニューヨーク州の裁判所や州法の適用で妥協を図りました。
これは、私どもがニューヨーク州の法律に詳しい弁護士と契約していた事によります。

一つの方法として、外国、例えば、米国の法律に詳しい弁護士と契約しておき、海外企業や顧客との取引を開始するやり方もあります。


「国境を越える電子商取引の法的問題に関する検討会」の報告は、下記Webサイトから見れます。
http://www.meti.go.jp/press/20100916001/20100916001-2.pdf

よろしくお願いいたします。

グローバル・ビジネスマッチング・アドバイザー 山本 雅暁


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