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ファストリに見る事業撤退と事業強化の対応の仕方:集中と選択 [事業撤退に関する課題と対応]

                                               2010年7月23日

皆様、
おはようございます。
グローバル・ビジネスマッチング・アドバイザー 山本 雅暁です。

7月22日付の日経新聞に、『ファストリ、婦人服店部分撤退を発表 200店を転換・閉鎖 特別損失30億円を計上へ』のタイトルで記事が掲載されました。

主な内容は、以下の通りです。

『ファストリテイリングはキャビンの急成長は難しいとみて、撤退を決めた。

ファーストリテイリングは22日、婦人服専門店運営子会社、キャビンの事業を整理すると正式発表した。同じくファストリ子会社で高価格の婦人服や紳士服のブランド事業を展開するリンク・セオリー・ジャパンが9月1日に吸収合併。キャビン運営の「ザジ」などのブランドは来年初頭をメドに休止する。この事業整理に伴い、10年8月期連結決算で約30億円の特別損失を計上する。

ファストリはキャビンの買収に約300億円を投じており、買収後に撤退する事業としては最大規模になる。

キャビンは「ザジ」「アンラシーネ」などの店舗名で主にショッピングセンターに出店している。ファストリは婦人服強化を狙い、キャビンに06年に出資、07年に完全子会社化。買収時に約200億円だった年商の1000億円への拡大を目標に新型店開発などを進めてきた。』

だが業績は好転せず、店舗数や売上高は現在も買収時と同規模にとどまっているもよう。ファストリは事業を継続しても構想通りに成長させるのは難しいと判断。今後は人員や資金をユニクロのアジアなど海外出店加速に集中する。。。。』

ファストリは、過去においても、キャビン以外にも04~05年に婦人服アパレル「ナショナルスタンダード」、靴専門店「ワンゾーン」などを相次いで買収したが収益を好転させられず、事実上撤退しています。

ファストリは、国内のアパレル業界で殆ど唯一と言ってよいほど、積極的な世界展開を行っており、将来は数兆円の売上確保を目標としています。

売上拡大は、扱いブランド品と店舗数の増加で実現する考えです。
ブランド品の確保は、M&Aで対応してきました。

これは、推測ですが、M&Aを実行する時に、費用対効果を計算し、数年後の売上目標を立て、その実現に向けて人材を投入していると考えます。
同時に、売上目標を達成できない場合、売却や撤退のシナリオも持っていると考えます。

売上目標を達成できない場合、買収に要した投資を回収できませんので、見切りは早めに付けた方が損失は少なくてすみます。

他の企業では、この『損切り』がなかなか出来ません。
損失の計上になる事と、将来好転するかもしれないとの淡い期待があるためです。
多くの場合、具体策は持っていないケースが多いようです。

この点、ファストリのやり方は単純明快です。

買収、売却、撤退を決める物差しがあるのでしょう。
同時に、柳井さんの決断力が大きいと思います。

M&Aや集中と選択を日常業務的に行っていくと、ノウハウが蓄積され、合理的な物差しの確立と、迅速な決定がより容易に行われるようになります。リーダーシップの発揮は当然のごとく必要です。

この事により、欧米の世界企業と同じかより早いスピードで事業展開できるようになります。

同じ日の日経新聞に、『ファストリ、高価格ブランド強化 「セオリー」中国店舗を倍増』の記事が掲載されました。撤退と同時に拡大を行っています。

M&Aを活用して、集中と選択を繰り返しているファストリの今後の動きを注視したいと思います。
ベンチャー・中小企業にとっても、M&Aや集中と選択を行う際の参考になります。

よろしくお願いいたします。
グローバル・ビジネスマッチング・アドバイザー 山本 雅暁

 


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