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「中小企業憲章」閣議決定に関する考察 [ベンチャー・中小企業支援]

                          2010年6月19日

皆様、
こんにちは。グローバル・ビジネスマッチング・アドバイザー 山本 雅暁です。

6月18日、政府は「中小企業憲章」を閣議決定しました。
この憲章は、国の中小企業活性化策の基本理念を盛り込んだもので、中小支援を前面に掲げた憲章を制定するのは日本では初めてです。

「中小企業憲章」は、下記Webサイトで見れます。
URL;http://bit.ly/bduQPz


民主党のベンチャー・中小企業育成に対する考えを具体的な施策として実行したとの点で、期待しています。


成長分野として、医療、福祉、情報通信技術、地球温暖化問題を始めとする環境・エネルギーなどは、市場の成長が期待できる分野として明記しています。

憲章は「基本理念」「基本原則」「行動指針」の3部構成となっています。行動指針には(1)中小企業の立場に立った経営支援(2)人材の育成・確保(3)起業・新事業展開しやすい環境の整備(4)海外展開支援――など7項目を立てました。


「基本原則」と「行動指針」の骨子は以下の通りです。

「基本原則」

一.経済活力の源泉である中小企業が、その力を思う存分に発揮できるよう支援する。

資金、人材、海外展開力などの経営資源の確保を支援し、中小企業の持てる力の発揮を促す。その際、経営資源の確保が特に困難であることの多い小規模企業に配意する。中小企業組合、業種間連携などの取組を支援し、力の発揮を増幅する。

二.起業を増やす。

起業は、人々が潜在力と意欲を、組織の枠にとらわれず発揮することを可能にし、雇用を増やす。起業促進策を抜本的に充実し、日本経済を一段と活性化する。

三.創意工夫で、新しい市場を切り拓く中小企業の挑戦を促す。

中小企業の持つ多様な力を発揮し、創意工夫で経営革新を行うなど多くの分野で自由に挑戦できるよう、制約の少ない市場を整える。また、中小企業の海外への事業展開を促し、支える政策を充実する。

四.公正な市場環境を整える。

力の大きい企業との間で実質的に対等な取引や競争ができず、中小企業の自立性が損なわれることのないよう、市場を公正に保つ努力を不断に払う。

五.セーフティネットを整備し、中小企業の安心を確保する。

中小企業は、経済や社会の変化の影響を受け易いので、金融や共済制度などの面で、セーフティネットを整える。また、再生の途をより利用し易いものとし、再挑戦を容易にする。

政策を実施ポイントは、以下の通り。

・中小企業が誇りを持って自立することや、地域への貢献を始め社会的課題に取り組むことを高く評価する。
・家族経営の持つ意義への意識を強め、また、事業承継を円滑化する。
・中小企業の声を聴き、どんな問題も中小企業の立場で考え、政策評価につなげる。
・地域経済団体、取引先企業、民間金融機関、教育・研究機関や産業支援人材などの更なる理解と協力を促す。
・地方自治体との連携を一層強める。
・政府一体となって取り組む。


「行動指針」


一.中小企業の立場から経営支援を充実・徹底する。

・中小企業の技術力向上のため、ものづくり分野を始めとする技術開発、教育・研究機関、他企業などとの共同研究を支援するとともに、競争力の鍵となる企業集積の維持・発展を図る。また、業種間での連携・共同化や知的財産の活用を進め、中小企業の事業能力を強める。

二.人材の育成・確保を支援する。
三.起業・新事業展開のしやすい環境を整える。
四.海外展開を支援する。
五.公正な市場環境を整える。
六.中小企業向けの金融を円滑化する。
七.地域及び社会に貢献できるよう体制を整備する。
八.中小企業への影響を考慮し政策を総合的に進め、政策評価に中小企業の声を生かす。


「基本原則」と「行動指針」は、上記の通り明快に中小企業支援を述べています。

今後の実施にあたって、以下の点に留意してもらいたいと考えています。


1.連携支援

連携支援は、仕組み作りで協力する。官が連携の実務を取り仕切る事は出来ないので、異業種交流が出来る場の提供や、尖がった技術やノウハウを持ち、実行可能な事業計画を持っている協業体には補助金を積極的に出して欲しい。
場の提供と資金の面での支援をお願いしたい。


2.資金調達

創業したての中小企業が融資を受けられるのは、現状容易ではない。実績のない企業への融資はなかなか実施されない事が多い。
1項と同様に、尖がった技術やノウハウを持ち、実行可能な事業計画を持っている中小企業には、その技術やノウハウを“担保”実現性や経営者の資質を評価して融資を行う、或いは、VC(ベンチャーキャピタル)の活用なども方法も含めてより柔軟な選択肢を用意して欲しい。

結果として、不動産担保や保証人へ依存を減らし、万が一失敗しても再生可能な環境づくりを期待する。


3.税負担の軽減

成長分野での創業にたいして、創業時のある期間は、法人税を殆ど0にして欲しい。例えば、創業後3年くらいの期間設定を希望する。


4.○○振興協会や財団などの運営組織や方法の見直し

官がリードして設置した、○○振興協会や財団などの運営組織や方法を見直して、憲章の趣旨に合ったものにすることを希望します。

政府や自冶体から派遣された官僚が主導権を取っている組織の多くは、保守的で変革を好まず、民間事業者の希望・要望を理解出来ない。前例を作るのを嫌がる。

多くの○○振興協会や財団などは、経営支援相談員を置いているが、一部の相談員は勉強しないため、中小企業の課題・問題に対して具体的な応援や指導が出来ない。


5.規制緩和・撤廃

縦割りの行政機関が各々定めている規制で、創業・起業を行う時に弊害になり、無意味なものは撤廃か大幅な変更を迅速に行って欲しい。
この点については、民主党の政治指導を大いに期待する。
官僚には絶対できないと確信します。


6.立ち上げ・集客を支援するプロフェッショナルとしての専門家の育成と派遣

中小企業が生き残るための最大のポイントは、集客です。
この集客が出来る仕組みづくり(市場調査、販路、宣伝広告、インターネット活用、海外展開・進出など)に、経験豊かな民間の知恵を活かせるスキームを希望する。
たとえば、真に実力のある専門家を育成、登録し、創業時のある一定期間中小企業へ派遣し、経営支援する制度の確立。支援料は国でカバーする。

この時の支援料は、専門家の実力に応じて設定し、プロフェッショナルとしての専門家が職業として成り立つようにする。

現在は、定年対象くしたシルバー世代が、ボランティアで行っているのが主だが、これに加えて創業支援できる専門家の育成も行う事が必要と考える。

立ち上げや集客支援は、片手間では出来ず支援者・専門家も相当の力量と時間も取られます。
見合った支援料体系が必要です。


よろしくお願いいたします。
以上、

グローバル・ビジネスマッチング・アドバイザー 山本 雅暁


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