10. 他社との共同設計の展開;(9)特許・ノウハウの取り扱い方法/所有権 [アライアンス先の選定実施]
2006年9月30日
今回は、(F)特許・ノウハウの取り扱い方法/所有権 について述べます。
このポイントも、部品の共同設計作業を相手先と行う時に、事前にしっかりと押さえておかなければならない事項です。
特許・ノウハウは、どの製造業者にとっても、大事な知的財産であり、他社と差異化を図るための経営力の源泉の一つです。
従って、相手先と共同設計を行うのに際し、きちんと相手先と会話を行って、同意を取っておきます。
明確にするポイントは、以下の通りです。
A.共同作業開始前に、自社及び相手先が所有していた特許・ノウハウの所有権
B.共同作業の過程で生まれた特許・ノウハウの所有権
C.共同作業の過程で生まれた特許・ノウハウのお互いの使用条件
D.第三者に共同作業の過程で生まれた特許・ノウハウのライセンス条件
上記4つのポイントについて、おさえておかなければならない事は次の通りです。
A.共同作業開始前に、自社及び相手先が所有していた特許・ノウハウの所有権
⇒お互いの所有権を認める。
⇒相手先の特許・ノウハウを使用する場合の条件をC項と共に明確化する。
B.共同作業の過程で生まれた特許・ノウハウの所有権
⇒所有権を決めるのには幾つかの方法があります。
例えば、当該特許・ノウハウ作成に貢献した度合いなどで配分を決める。 但し、実際には自社と相手先の貢献度合いを客観的に測ることは難しく、下手をすると、合意が得られないばかりか、感情的なしこりを残す事態もあります。
そこで、お勧めしたいのは、当該知的財産を折半する(50:50)とする事です。これが一番、もめない方法ですよ。(私の一押しの方法です!!)
C.共同作業の過程で生まれた特許・ノウハウのお互いの使用条件
⇒B項で所有権を折半した場合、お互いの使用条件は無償とします。
この場合、A項のお互いが共同作業前から持っていた特許・ノウハウの使用条件も含めて、すべての関連する知的財産をお互いに無償で使えるようにする”クロスライセンス”にする方法があります。(これが一番簡単で実用的です!!)
D.第三者に共同作業の過程で生まれた特許・ノウハウのライセンス条件
⇒お互いの所有権が50:50の場合、自社、相手先ともお互いの事前了解を得た上で、第三者にライセンス供与出来るようにします。
但し、ライセンス条件(ライセンス料率など)は、両者で事前に合意しておきどちらがライセンスしても第三者からのライセンス収入は、折半するようにしておきます。
上記AからD項のポイントや内容は、当然の事として"覚書"の中で明確化しておきます。
次回は、(G)共同設計の対象となる部品自体の扱い について述べます。
今回の記事について、ご関心或いはご質問がある方は、私まで下記アドレスにeメールにてご連絡下さい。
私は、すぐにはご回答出来ない場合もありますが、24時間以内にはご連絡します。
よろしく御願いします。
以上、
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